アクション映画

映画【シン・シティ】おつまみ【豚バラとアスパラのピリ辛炒め】

画像引用:©2005 Miramax Film Corp. All Rights Reserved.

この映画はこんな人におススメ!!

●ハードボイルドな世界観が好きな人

●過激なアクションシーンに飢えている人

●アメコミが好きで仕方ない人

●超クールな映像を観たい人

タイトルシン・シティ
製作国アメリカ
公開日2005年10月1日(日本公開)
上映時間124分
監督ロバート・ロドリゲス、フランク・ミラー
クエンティン・タランティーノ(特別監督)
出演ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、
クライブ・オーウェン、ジェシカ・アルバ、
イライジャ・ウッド、ベニチオ・デル・トロ

アメコミの世界に入り込みたい時に観る映画

今作は正にアメコミの世界観をそのままスクリーンに移した様な映画です。

何なら共同監督にアメコミ界の奇才フランク・ミラーその人がいる位ですから、

これ以上の陣容は望めないでしょう。

更にもう一人の監督ロバート・ロドリゲスと言えば、

規格外のアクションシーンで定評のある才人。

盟友クエンティン・タランティーノも特別監督として、

とあるシーンを演出しているのですが兎に角豪華なスタッフ・キャスト陣。

こだわりのカット割りはアメコミそのもの。

テンポ良く繋がれたアクションシーンは一つの芸術とも言える程の完成度です。

全篇モノクロ撮影ながら重要なモチーフにだけ差し色のカラーを付け、

趣向を凝らしたエフェクトを施された映像は公開から20年経った今でも、

衝撃的なカッコ良さです。

キャストもミッキー・ロークやブルース・ウィリス、

クライブ・オーウェンにベニチオ・デル・トロなど主演級のスターが揃い、

ジェシカ・アルバやジェイミー・キングなどの人気女優が華を添えています。

兎に角派手なアクションシーンと渋いハードボイルド小説調の語りが特徴的で、

難しい理屈抜きに大興奮のバイオレンスエンターテイメントが繰り広げられます。

規格外のフィルム・ノワール

画像引用:©2005 Miramax Film Corp. All Rights Reserved.

物語は三つのエピソードが微妙に被さり合った群像劇の体を取っています。

舞台となるシン・シティは犯罪にまみれ汚れた権力に支配される街。

そこで暗躍する権力者達の陰謀や悪事に、

それぞれのエピソードの主人公達が立ち向かっていくというのが大筋です。

しかし今作の主人公達は決して清廉潔白な正義のヒーローではありません。

平気で人を殺すし、悪事も働くし、そもそもがアウトローまっしぐらの人物達。

強面の大男マーヴ(ミッキー・ローク)は札付きの悪だし、

流れ者のドワイト(クライブ・オーウェン)も犯罪歴のある逃亡者だし、

心臓病を抱える刑事ハーティガンも街の支配者に嵌められて殺人者として投獄されます。

この脛に傷を持つ屈強な男達が、

皆一人の女の為に命を賭して戦うというのがまた、

正にハードボイルドの王道で強烈に観客を引き込んでいくのです。

一つ一つのアクションが実にアイディア豊富に作られていて、

悪者をただ殺すだけでなく笑ってしまう程残酷に事も無げに行うので、

リアリティというよりも本当に漫画的で、

ただその映像的な面白さを享受している内に世界観にハマっていくという、

作為的で巧い演出になっています。

勧善懲悪が胸を空くというのも伝統としてありますが、

観客達は過激なバイオレンスの中にこそカタルシスを感じるという事を、

熟知したクリエイター達の確かな仕事を見せてくれています。

ここまで荒唐無稽であれば、

人命を軽んじているとかいう次元では既に無いでしょう。

暴力さえもブラックジョークとして十分に機能するという、

お手本の様な作品と言えるのでは無いでしょうか。

ピリッと刺激的な一皿

今日のおつまみは【豚バラとアスパラのピリ辛炒め】です。

暖かい日が続いてまるで初夏の様な陽気の日もある今日この頃、

少し刺激的なおつまみが恋しくなる季節です。

今日はシンプルに豚バラ肉の薄切りと春野菜のアスパラを

醤油・酒で炒めチリパウダーを振り掛けました。

汗を掻く程ではないですがピリッと効く一皿。

刺激の強いバイオレンス映画を観ながら、

身体も熱くしてくれるメニューでした。

西部劇的な伝統芸

画像引用:©2005 Miramax Film Corp. All Rights Reserved.

今作は勧善懲悪では無いと言いましたが、

基本的には巨悪に立ち向かうヒーロー像として描かれています。

ただそこにある度を越したバイオレンス描写が目を引くというだけで、

ストーリー自体に目新しい価値観がある訳ではありません。

あらゆるアイディアやプロットが出し尽くされた現代のエンターテイメントに於いて、

何を以てして他と一線を画するかという事が最も難しい所でしょう。

嘗てタランティーノが【レザボア・ドッグス】などで見せた

本筋と関係の無いディティール。

スコセッシが【タクシードライバー】で見せたどこまでもリアルなアクション。

ジャッキー・チェンがあらゆる作品でみせた身近な道具を使ったアクション。

皆時代に名を残すアクション映画には独自のスタイルが発揮されています。

今作の最大の武器は何と言っても

アメコミ界の巨匠フランク・ミラー自らが演出しているという点です。

漫画のコマ割りの様なカット割りが実に小気味良く繋がれていて、

我々の身体に染着いた漫画的リズムと完全にマッチしたテンポが絶妙なのです。

モノクロの強烈な陰影も、

モノローグによって語られる登場人物達の心情も、

漫画的なエフェクトが掛けられた映像の斬新さも、

全てアメコミの伝統的な職人技を観ている様で観客の心を鷲掴みにしてしまうのです。

本物の技術と素材に精通したスタッフをしっかりと集めた所が、

この作品の成功の要因なのです。

アメコミの世界に入り込みたい時に観る映画。

フランク・ミラーは今作のヒットと評価を受け味を占め、

2008年公開の【ザ・スピリット】や、

2014年公開の今作の続編【シン・シティ 復讐の女神】でもメガホンを取っています。

マーヴェルやDCコミックを股に掛け活躍した確かな創造性で、

それまでのアクション映画の枠組みからはみ出した怪作を世に放ちました。

正に映画界に於ける究極のアウトロー達による破格のバイオレンスムービー。

映画ファンにとってはマストな作品であると言えるでしょう。