アニメ

映画【ソウルフル・ワールド】おつまみ【チャーシュー麵】

画像引用:©2020 Disney/Pixar.

この映画はこんな人におススメ!!

●ピクサー作品のファンの人

●ジャズが好きな人

●自分は何の為に生きているのかと悩んでいる人

●人生の目的が見つからない人

タイトルソウルフル・ワールド
製作国アメリカ
公開日2020年12月25日(日本公開)
上映時間101分
監督ピート・ドクター
出演ジェイミー・フォックス、ティナ・フェイ、
アンジェラ・バセット、

本当に大切なものに気付く為の映画

アニメーションが子供の為のコンテンツという考え方はもう過去の話。

大人だってアニメーション大好きですよね。

1995年に世界初の長編フルCG映画である

【トイ・ストーリー】を公開してから、

ピクサー・スタジオは子供を夢中にさせながら、

大人をも楽しませる上質な作品を作り続けてきました。

今作はピクサーの長編作品では23作品目にあたり、

アカデミー長編アニメーション賞を受賞した11番目の作品になります。

監督のピート・ドクターは2001年公開の

【モンスターズ・インク】を大ヒットさせ、

更に2009年公開の【カールじいさんの空飛ぶ家】で

アカデミー長編アニメーション賞を受賞したピクサーのエース監督。

宮﨑駿監督を崇拝する彼の作品には、

確かにジブリ作品の匂いがそこかしこに感じられたりします。

今作もおよそアニメらしからぬ設定や描写に溢れていて、

物凄いテンポで展開していくので少し子供には理解が難しいかも知れません。

何せ主人公はジャズピアニストを夢見ながら、

非常勤の中学校音楽教師をしているしがない黒人中年男性。

これは中々一筋縄ではいかなそうな設定ですよね。

人生の意味を問う不思議な旅

画像引用:©2020 Disney/Pixar.

主人公のジョー・ガードナーはジャズピアニストになりたいという夢を、

あと一歩で掴めるかもという所であっけなくマンホールに落ちて死んでしまいます。

しかしその死を受け入れたくないジョーは、

天国への階段を逆走し、

生まれる前の「魂」達が訓練を受ける不思議な場所に迷い込む。

と、説明しても摩訶不思議なストーリーなのですが、

これを無理なく楽しみながら自然と受け入れられるのが、

ピクサー作品の表現力の為せる業なのです。

【モンスターズ・インク】でも子供達を怖がらせてその悲鳴を集める工場という、

独創的な発想を見事に物語のテーマに結実していましたが、

今作でも「死」や「魂」という人類にとって永遠の命題を

実に分かりやすく可視化し理解させてくれるのです。

ここでジョーは22番と呼ばれる、

生まれる事を拒否し続けてきた問題児の「魂」と関わる事になります。

人生に何の意味も見出さず、あらゆる情報に惑わされ引きこもる22番。

まるでネット社会のデマやSNSの誹謗中傷に怯える

現代人を連想させる様な設定になっているのです。

全ては無に帰す運命にある生に対し、

22番は諦観的であり、

周りの「魂」達が自分だけの「きらめき」を見つけて

次々と生まれていく中で強い劣等感に苛まれてしまうのです。

自分には何も無い。

他の人と比べて詰まらない取るに足らない存在だと。

そんな人生に対し「夢」や「目標」をよすがとして生きてきた様なジョーと、

自分を否定して世界に背を向ける22番とが、

ひょんな事から行動を共にし日常を生きる事で、

それぞれが本当に大切なものに気付いていくという物語なのです。

ソウルフルなおつまみ

今日のおつまみは【チャーシュー麵】です。

おつまみというよりもお食事ですが、

今回は妻の手作りチャーシューと味付け玉子が乗った、

ソウルフルな一皿です。

スープはあっさりめの鶏がら醤油味。

麺は割と細目でした。

何だかんだ言ってもやっぱりラーメンは幸せの源ですよね。

塩分・糖質は気にはなりますが、

人生を豊かにしてくれるラーメンに悪い奴はいません。

幸せはずっと傍にあったのだろうか?

画像引用:©2020 Disney/Pixar.

メーテルリンクの有名な童話【青い鳥】は、

チルチルとミチルという兄妹が、

病気の娘の為に青い鳥を探して方々を旅して帰ってくる。

そして家に元々いた鳥が青くなっているのに気が付く。

そして何だ幸せはずっとここにあったんじゃないかというオチに至る。

でももう少しこの話を掘り下げてみると、

元々家にいた鳥が美しい青い鳥であると気付けたのは、

チルチルが旅の中で本質を見る目を養って帰って来たからであるとも言えます。

見る目を変えれば世界が既に美しく尊いという事に気が付く。

生きているというその事が既に奇跡で、

そう考えればジャズピアニストになるという「夢」や「目標」だけが、

自分を輝かすものでは無いという事にジョーは気付くのです。

そしてそれは22番という存在を通して学んだ事でもあったのです。

一切れのピザの美味しさや、晴れ渡る空や、風の匂い、

そして一枚の落ち葉の美しさ。

それら人生の成功体験や自己肯定感とは無縁の、

取るに足らない日常の一部。

しかしそれこそが溢れる喜びの源であり、

ただのキジバトを幸せの青い鳥に変える魔法だったのです。

ジョーは蘇生し「夢」だった有名サックスプレーヤーと共に、

最高の演奏をジャズクラブで披露します。

しかし「夢」を叶えた筈の彼の胸には達成感が無かった。

「成長」や「前向きである事」はいつしか強迫観念にも成り得、

気付かぬ内にそれ自体が生きる意味になってしまう。

でも本当は日常の一部の些細な美しさを慈しむ事にこそ、

その人の幸せがあるというメッセージなのですね。

本当に大切なものに気付く為の映画。

ジャズという音楽の素晴らしい所は、

それぞれのプレーヤーが即興で演奏するフレーズを、

他のプレーヤーが全肯定して並走する事でグルーヴが生まれる点にあります。

どんなフレーズにも「正解」も「不正解」も無い。

ただそれを受けた人間が「肯定」して次のフレーズに繋いでいく音楽。

だからとてつもなく「自由」で、

本来的な意味で「強い」のだと思います。

一つのアニメーション作品がそんな途方も無い思索の旅へと誘ってくれる。

優れた作品とは往々にして、

本筋から少し逸れた所に真理を描いてみせてくれるものだったりします。