画像引用: © 2016 DREAMWORKS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【ギャラクシー・クエスト】です。
1999年に制作されたアメリカのSFコメディ作品。
「スタートレック」シリーズへのオマージュと、
パロディに溢れた抱腹絶倒の映画です。
奇想天外なアイデアと予想不能な展開。
下らないギャグと熱いドラマを併せ持った、
ゴリゴリのエンターテイメント作品です!!
この映画はこんな人におススメ!!
●SFの変わり種を観たい人
●悪意の無いコメディが観たい人
●推しへの偏愛が強い人
●人の期待に応えたいといつも頑張る人
タイトル | ギャラクシー・クエスト |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2000年1月20日(日本公開) |
上映時間 | 102分 |
監督 | ディーン・パリソット |
出演 | ティム・アレン、シガニー・ウィーバー、 アラン・リックマン、サム・ロックウェル |
自分の役割を全うしたい時に観る映画
今作は映画ファンの間ではとても有名な人気作です。
特に「スタートレック」のファン達(通称トレッキー)にとっては、
自分達のアイデンティティを肯定してくれる作品と言えるのでは無いでしょうか。
嘗てテレビの人気SFシリーズだった「ギャラクシー・クエスト」。
しかし時が経ち今では一部の熱狂的なファン達を集めたイベントで、
何とか食繋ぐ様になってしまった落ち目の俳優達がこの物語の主人公なのです。
過去の栄光に捉われて中々そこから抜け出す事が出来ない彼等。
ファンや世間の目はドラマの中での役割を演じる事だけを求めてくる。
自分の夢や希望は枯れ果て、
同じ台詞、同じ仕草を繰り返す日々を暗鬱とこなすのです。
俳優という仕事の持つある種の宿命、
それを極端な形で表現したのがこのストーリーと言えるでしょう。
本当の自分を知って貰いたいという欲求。
自分の能力をもっと発揮したいという願い。
これは何も俳優という特殊な職業の人間だけにある悩みでは無く、
誰にも少なからずある普遍的なジレンマであるとも言えるのでは無いでしょうか。
良き妻、良き夫。
優等生であったり或いは問題児であっても、
そこにはどこか周りの目を気にしたキャラクター作りというものから、
離れられない人間の業の様なものがどこまでも纏わりついてくるものです。
これはSFの形を取った「自分探し」の物語とも言えるのかも知れません。
瓢箪から駒

画像引用: © 2016 DREAMWORKS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
この物語のミソは何と言っても虚構と現実の大逆転にあります。
チープな年代物のテレビドラマである「ギャラクシー・クエスト」を、
「嘘」という概念を持たないサーミアン星人という異星人達が真実と勘違いしてしまい、
自分達の星のピンチを救ってもらう為に俳優達に助けを求めてくるのです。
これは1986年公開のジョン・ランディス監督作品【サボテン・ブラザーズ】の
設定とも似ていますが、こう言った非文明的な存在が文明人に感嘆の念を抱く図式は、
時折映画や小説の世界で見掛けたりします。
これは18世紀のアイルランド人作家、
ジョナサン・スウィフトの「ガリヴァー旅行記」にも通じる、
状況の妙によるヒーロー誕生譚の様でもあります。
正に瓢箪から駒状態で異星人同士の抗争に巻き込まれたテレビドラマの出演者達。
しかし彼等は自分達でさえ忘れ掛けていたヒーローである事の自尊心を取り戻し、
期待される役割を全うしようと立ち上がるのです。
それは自らの誇りを取り戻す為の通過儀礼でもありました。
作り物の世界から、真実の痛みと危険を伴う行動へと出る主人公達。
我々が日頃目にしている世界の虚構性が見事に転換されて強烈なカタルシスを生むのです。
彼等は何の特殊技能も無い俳優達ですが、
自分に与えられた役割を演じる事に掛けては長年のプロフェッショナルなのです。
如何に荒唐無稽なオタク文化だと揶揄されようとも、
SFで培った経験と知識は心の持ちようで大きな武器となる。
この歪なジャイアントキリング現象が今作の胸空く大活劇の原動力となっています。
ギャラクシーおつまみ

今日のおつまみは【串焼きの盛合せ】です。
左から鶏胸の串焼き、ささ身の梅紫蘇巻き、つくねのネギ塩のせです。
まさに串焼きの銀河系軍団。
これは久し振りにウィスキーソーダで爽やかに流し込みたい所ですね。
手間の掛かる串打ちを嬉々として行ってくれる妻に感謝。
これも食いしん坊の二人だからこそのモチベーションですね。
信じる者は救われる

画像引用: © 2016 DREAMWORKS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
今作はテレビドラマの世界が現実になってしまったという観点でもありますが、
逆に現実の世界も荒唐無稽なドラマに満ちているという反証でもあると思います。
単調な日常の中にも普段意識していないだけで激動の物語が潜んでいたりするもの。
心の持ちよう一つで、不可能を可能にしてしまえる力が我々にもあるのかも知れません。
オタク達のニッチな知識や技術には、世界を救う事だって可能なのかも知れない。
落ちぶれた俳優達の決死の戦いが、宇宙の運命を変えた様に。
人は信じる事で自分でも驚く程の力を発揮する事が稀にあります。
火事場のクソ力では無いですが、
人から必要とされる事は何にも代え難いエネルギー源になったりもします。
世のメインストリームから忘れ去られ、一部のマニアにしか認知されない後ろめたさ。
キャリアのどん底にいたB級俳優達が、
嘗ての全盛期の様にチヤホヤされて活き活きと蘇る様。
何とものんびりとした作品ではありますが、
人生の長い旅路に於けるモチベーションの在り方。
そしていくつになっても情熱を忘れずに仕事に向かう事の美しさを、
私達に問い掛けてくれる作品でした。
自分の役割を全うしたい時に観る映画。
映画やテレビという虚構の世界の本質の部分、
虚を実に変える力というのは、
以前取り上げたアントニオ猪木のプロレス哲学にも通ずるものがあります。
役割とは押し付けられるものでは無く、自分で選び取るもの。
それぞれの適材適所で力発揮する為に、
この映画は抱腹絶倒の中からとても大切な事を教えてくれています。