恋愛映画

映画【シェイプ・オブ・ウォーター】おつまみ【真鯛のカルパッチョ】

画像引用:IMDb

この映画はこんな人におススメ!!

●ダークな世界観が好きな人

●一風変わったラブストーリーが観たい人

●独創的な作家性に触れたい人

●究極の愛を目撃したい人

タイトルシェイプ・オブ・ウォーター
製作国アメリカ
公開日2018年3月1日(日本公開)
上映時間123分
監督ギレルモ・デル・トロ
出演サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、
リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、
マイケル・スタールバーグ、オクタヴィア・スペンサー

強烈な作家性を感じたい時に観る映画

今回の作品はかなり変わった趣向の作品なので、

ちょっと覚悟が必要かも知れません。

監督のギレルモ・デル・トロは熱狂的な映画オタクで、

特に日本の特撮怪獣映画や、漫画、アニメに影響を受けている人物です。

この作品に登場する「半魚人」も、日本の特撮怪獣映画を参考に、

着ぐるみを着た俳優が演じて、独特のキャラクターを造形しています。

現代の完全分業化されたハリウッドの映画制作システムの中で、

映画監督の個性は、徐々に徐々に薄れていってしまった感があります。

独創的な作家性や強烈なカラーを感じる作品が淘汰されてしまう時代。

しかしそんな風潮を吹き飛ばす様な強烈な世界観で、

世界中の映画ファンを熱狂させるのがギレルモ・デル・トロという存在なのです。

時には常識をはみ出した過激な表現や、超個人的な偏愛を感じさせる作品。

しかし、表現者とはそもそもがそういった物なのではないでしょうか?

そうでなければ人間が作る意味なんて無くなってしまいます。

このコンプライアンスでがんじがらめの世界にあって、

こういった規格外の個性を持ったアーティストは絶滅危惧種と言えるのかも知れません。

そんな天才監督のこれまでのキャリアの集大成的な作品が、

この【シェイプ・オブ・ウォーター】なのです。

幸福に閉じた世界を変えたもの

画像引用:IMDb

物語の舞台は1960年代の冷戦下のアメリカ。

主人公のイライザは政府の極秘研究施設で夜間清掃員の仕事をしています。

彼女は言葉を話す事が出来ない発話障害を持っています。

それは幼少期に川に捨てられていたという自身の生い立ちに起因しています。

友人と言えるのはアパートの隣に住むゲイの老人と、

同じ職場で働く黒人女性くらい。

毎日、同じルーティンで完璧な自分の世界を作り上げている彼女の、

安定しながらも孤独で閉じた生活に唐突な変化が訪れます。

それが研究施設にアマゾン川から連れて来られた謎の「半魚人」。

この異形の者との出会いが彼女の運命を変えてしまいます。

まさに現代の御伽噺というようなファンタジー的な展開なのですが、

監督はこの作品のテーマを「愛の多様性」と言っています。

社会の片隅で、障害を抱えミニマルな暮らしをする主人公と、

人ならざるクリーチャーとの間に芽生える愛情。

これは正に究極の多様性。異種間の禁断の愛な訳です。

そして障害を持った孤独な女性と、ゲイで失業中の老人、

常に家庭生活の不満を抱える黒人女性の3人が、

巨大な国家権力を向こうに回して「半魚人」を助ける為に奔走するプロットには、

巨大なハリウッドの映画業界に対して自身の作家性を貫いた、

監督の反骨精神が色濃く表現されていて痛快です。

これは恋愛映画であり、ハラハラドキドキのサスペンス映画でもあり、

独特の世界観を作り上げたファンタジー作品でもあります。

映画のタイトル【シェイプ・オブ・ウォーター】とは直訳すると水の形。

水の様に自由自在に形を変える「愛」の多様性を表現し、

「幸福」の本質を描いた哲学的なテーマも持ち合わせています。

柑橘の世界

今日のおつまみは【真鯛のカルパッチョ】です。

「半魚人」との愛を描いた映画のお供にはちょっとアレですが、

お酒のお供には抜群の一皿です。

今回は、カルパッチョの味付けに柑橘を使いました。

ピンクグレープフルーツとオリーブオイルを使ったドレッシング。

更に柚子の皮を散らして、香りよくさっぱりとした味付けになっています。

白ワインとの相性は言わずもがな。

究極の愛の物語

画像引用:IMDb

この許されぬ「愛」を描いた物語。

実に奥深いのは、彼等が互いに見た目では無い「本質」を見ているという所にあります。

言葉を介さない2人の間に、直感的に互いを認めあう心が芽生えるのです。

主人公のイライザは異形の者の目が、

自分のありのままの姿を見てくれているという確信を持ちます。

逆に謎の「半魚人」も、自分を助けようとするイライザが、

種の違いを越えて自分を愛してくれている事を理解します。

この立場や言葉を越えて、互いの本質を認め合う相互理解が、

現代社会に最も必要とされる究極の愛なのであるという、

ギレルモ・デル・トロのメッセージなのです。

強烈な作家性を感じたい時に観る映画。

この作品には過激な性描写や残酷な暴力描写があります。

決して万人に受ける映画とは言えないでしょう。

しかし、この強烈な個性を持った作品がアカデミー賞を受賞した事には、

少なからぬ希望を感じます。

映画には大衆文化であるというエンターテイメント性と共に、

何を表現するかという作家性が重要であるという事。

それを体現してくれた作品であると思います。

差別やヘイト、SNSでの叩き合い。

こういった時代にこそ、価値のある物語だと思います。

マイノリティである事は悲劇では無い。

マジョリティである事が幸福なのでは無い。

映画は物語の力で私達に多くの事を教えてくれます。