画像引用:© Warner Bros. Entertainment Inc.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【ワイルドバンチ】です。
1969年に公開された伝説のバイオレンスアクション映画。
余りに過激な暴力描写で「血まみれのサム」という
異名を持つ監督のサム・ペキンパー。
時代の流れに取り残された不器用な男達の美学を描いたピカレスク。
多くの映画ファンがベスト映画に挙げる程の、
熱狂的な支持を集めている作品でもあります。
この映画はこんな人におススメ!!
●過激な暴力描写が観たい人
●男臭い友情物語が好きな人
●アクション映画の源流を辿りたい人
●映画の多様性を改めて感じたい人
タイトル | ワイルドバンチ |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 1969年8月9日(日本公開) |
上映時間 | 137分 |
監督 | サム・ペキンパー |
出演 | ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、 ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン |
滅びの美学を体感したい時に観る映画
後のアクション映画の歴史に多大な影響を与え、
熱狂的なファンとフォロワーを獲得した伝説の西部劇を今回はおススメ致します。
監督のサム・ペキンパーはハリウッドの異端児として、
その完璧主義故にプロデューサーや映画会社と衝突し数々の逸話を遺してきた人物。
スローモーションと細かいカット割りで作り上げられた独自のバイオレンス描写。
滅びゆく西部劇のアウトロー達を悲哀たっぷりに描いた世界観。
人間味溢れるキャラクター造形は映画の一つの到達点と言っても過言では無いと思います。
主演はビリー・ワイルダー監督の傑作【サンセット大通り】や、
【第十七捕虜収容所】などで知られる大スター俳優ウィリアム・ホールデン。
軽妙洒脱なコメディから重厚なドラマまでこなす長いキャリアを持つ彼の、
円熟の渋みが遺憾なく発揮されているのも今作の見所の一つです。
ペキンパーの映画は後進のクリエイター達に多大な影響を与えてきました。
数え切れない程の名立たる映画監督や俳優達が、
ペキンパー作品を自らのベスト映画に挙げています。
何故時を経てもペキンパーの作品は人々の心を掴み続けるのでしょうか。
それは彼自身がハリウッドの映画機構と戦い続け、
どこまでも自身の美学を貫き通した作家魂にどうやら所以している様です。
現代の厳しいコンプライアンスの中では到底無理な話かも知れませんが、
強烈な個性が時代を作ってきたこともまた事実。
サム・ペキンパーという異端児無くして、
後のクエンティン・タランティーノもジョン・ウーもウォシャウスキー姉妹も、
存在しなかったかも知れません。
そんなペキンパー監督が大きな影響を受けた映画監督として名前を挙げていたのが、
黒澤明であるというのも何だか日本人としては誇らしく感じたりします。
古き良き西部劇に強烈な引導を渡した作品。
余りにも不器用な男達の生き様に胸熱くなる事間違い無しの一本です!
仁義無きアウトロー達の世界

画像引用:© Warner Bros. Entertainment Inc.
物語の舞台は1913年のアメリカ南部テキサス州のメキシコ国境近くのある町。
主人公のパイク率いる強盗団(ワイルドバンチ)が、
鉄道事務所の銀貨強奪を目論み強襲するシーンで幕開けます。
このファーストシーンの銃撃戦から既にフルスロットルのバイオレンス描写が炸裂します。
町の住人を平気で盾に取って逃亡する主人公達。
誰彼構わず射殺する賞金稼ぎ達。
平和だった町が一瞬で地獄絵図と化すこのファーストシーンは、
主人公であるワイルドバンチの面々がそれまでの西部劇のヒーロー像を
完膚無きまでに破壊する存在である事を如実に象徴しています。
サム・ペキンパーの映画には仁義や正義を免罪符に戦う
欺瞞的なヒーローは存在しないのです。
犯罪者はあくまでも犯罪者であり、それ以上でも以下でも無い。
彼等はただシンプルにあくまでも己の為に犯罪行為に手を染める悪人であるのです。
そこに無駄な感傷や理屈は必要無く、
生きる事即ち強くある事という手加減の無い哲学が通底しているのです。
サム・ペキンパー自身それを時代遅れで前代的な価値観である事は熟知していました。
それが周りの映画会社の人間との軋轢にも繋がったのかも知れません。
しかし彼は己を曲げる事をせずに、滅びの美学を貫き通しました。
それをワイルドバンチの面々に重ね合わせれば、
ダイナミックで狂気じみた描写の羅列は一層に迫力を増して我々に迫ってきます。
金の為に犯罪を繰り返してきた時代遅れの犯罪者達。
最後の仕事と思って手を汚しても逃れられない己の業。
そして彼等は行く末の運命を悟り、
自らの死に場所を求めて無謀な戦いへと向かうのです。
本当に馬鹿な男達。
だからどこまでもカッコいいのです。
アウトロー達のおつまみ

今日のおつまみは【葱と蓮根の明太子グラタン】です。
大寒波到来などと言われるとやっぱり熱々のおつまみをハフハフしたくなります。
風邪など引かぬように葱と食物繊維豊富な蓮根。
体を温めてくれる牛乳に明太子とたっぷりのチーズ。
タンパク質と脂質で冬の厳しさに耐える体作り。
腹が減っては戦は出来ません。
ワイルドなおつまみで今夜もえいがをひとつまみ。
正義無き戦い

画像引用:© Warner Bros. Entertainment Inc.
今作の最大の魅力は何と言っても大迫力の映像に尽きます。
特に象徴的なのは何と言ってもクライマックスの5分間に及ぶ銃撃シーン。
この鮮烈な殺戮の場面は5分間に300を越すカットを繋ぎ合わせているそうです。
これは常軌を逸した編集です。
10台以上のマルチカメラがそれぞれにシャッタースピードを変えて同時撮影。
そのカットをペキンパーは何か月も掛けて編集したそうです。
圧倒的な迫力のシーンを作り上げたのは正に執念でした。
暴力の本当の姿をスクリーンに焼き付ける為に、
彼はフィルムのツギハギを芸術の域まで高めました。
「死のバレエ」と称されたこのラストシーンは、
陰惨な殺戮を美しく感じてしまう程のシーンに作り上げています。
古今東西様々なアクション映画が存在しますが、
このシーンに匹敵するバイオレンス描写には出会った事がありません。
まさに狂気的な撮影と編集。
完璧主義者故に撮影現場でも傍若無人であったサム・ペキンパーは、
出演俳優達からも本気で忌み嫌われていたそうです。
時代の変化の中で自らの演出家としての信念すら時代遅れであると
認識していたペキンパーの必死の足掻きでもあったのかも知れません。
結果としてそれが時代を越えて語り継がれる名画となったのは、
皮肉なの事なのか奇跡的な事なのか。
映画の不思議な力と縁を感じずにはいられません。
滅びの美学を体感したい時に観る映画。
映画ファン必見の作品である事は間違いありません。
今では信じられない様な熱量がフィルムの端々に宿っています。
リアリティだとか時代考証だとか言ったら今作の荒唐無稽振りには
呆れてしまう事でしょう。
しかしここには人間の本質が描かれています。
何の得にもならない事に己の誇りを掛けて散っていくアウトロー達の姿に、
どこか潔い憧れを感じてしまうのもまた事実。
実に男臭い前代的な作品ですが、
この際コンプライアンスには目を瞑って、
思いっ切り美学に惹き付けられてしまうのも一興かと思います。