画像引用:© 2006 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【ディパーテッド】です。
2006年公開のアメリカの犯罪アクション映画。
レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、
ジャック・ニコルソンの三人の大スターの豪華共演。
2002年の香港映画【インファナル・アフェア】のリメイクで、
メガホンを取ったのは巨匠マーティン・スコセッシ監督。
第79回アカデミー賞に於いては作品賞を含む主要4冠に輝き、
全世界で3億ドルに迫る大ヒットを記録しました。
緊張感の途切れないサスペンスフルな展開と、
名優達の迫力の演技に片時も目が離せない傑作です。
この映画はこんな人におススメ!!
●演技派俳優達に酔いしれたい人
●フィルムノワール(犯罪映画)が好物な人
●ギリギリの緊張感を味わいたい人
●何か人には言えない秘密がある人
| タイトル | ディパーテッド |
| 製作国 | アメリカ |
| 公開日 | 2007年1月20日(日本公開) |
| 上映時間 | 150分 |
| 監督 | マーティン・スコセッシ |
| 出演 | レオナルド・ディカプリオ、 マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、 マーク・ウォルバーグ、マーティン・シーン |
誰にも言えない秘密を抱えた時に観る映画
アメリカ映画に確固たるジャンルとして存在するギャング映画。
フィルムノワール(犯罪映画)とも評される人気ジャンルに於ける、
正にゴッドファーザーとして君臨するのが今作の監督マーティン・スコセッシです。
現在83歳になるイタリア系アメリカ人の御大が、
1973年公開の【ミーン・ストリート】で無軌道な若者達の生き様を描いて以来、
常に貫いてきたのが不器用で刹那的な男の美学を表現する事でした。
1976年の【タクシードライバー】。
1990年の【グッドフェローズ】。
2002年の【ギャング・オブ・ニューヨーク】では今作の主演である
レオナルド・ディカプリオと初タッグを組みました。
敬虔なカトリックの家に育ったスコセッシは、
キリスト教に材を取った作品も多く、
作品の根底に常に父と子の因縁めいた関係性を描く事からも、
映画監督として以前の人間的な素質が伺えます。
この【ディパーデット】という作品にも、
血の繋がりはありませんが、
二組の疑似的な父子の物語が色濃く表現されています。
絶対的なマフィアのボスとして君臨するジャック・ニコルソン演じるフランクと、
幼少期から目を掛けられてきたマット・デイモン演じる警察官のコリン。
マフィアの殲滅捜査の指揮を執るマーティン・シーン演じるクイーナン警部と、
マフィア組織に潜入捜査員として派遣されるレオナルド・ディカプリオ演じるビリー。
互いに誰にも言えない秘密を抱えた警察官の二人が、
運命の糸に導かれる様に交錯する人生模様。
重厚な男達のドラマをヒリヒリするような緊迫感ある演出で描いた、
名匠マーティン・スコセッシの正に集大成の様な作品になっています。
交錯する人生

物語の舞台はボストン南部の「サウシ―」と呼ばれる暗黒街。
そこはアイリッシュ系のマフィアのボス、
フランク・コステロ(ジャック・ニコルソン)が牛耳る犯罪多発地域でした。
そのコステロに幼少期から目を掛けられてきたコリン・サリバン(マット・デイモン)は、
マフィア組織の内通者(ネズミ)として警察の内部情報をコステロに流し、
逆にコステロから様々な犯罪の情報を得る事で出世してきた警察官。
二人に血の繋がりは無いのですがマフィアの世界の仁義よろしく、
コステロとコリンはまるで父子の様な強い絆で結ばれ、
持ちつ持たれつの関係で互いに利益を得ていました。
そしてもう一人の主人公ビリー・コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)は、
犯罪一家に生まれたものの優秀な成績で警察学校を卒業した人物。
しかしその出自の悪さからボストン警察に赴任すると
マフィア組織への潜入捜査官としての指令が下る。
素性がバレれば即殺されてしまう極限の状態に置かれたビリーにとって、
彼の秘密の任務を知るクイーナン警部(マーティン・シーン)は、
これまた血の繋がらない疑似的な父子関係の様な絆を感じさせるのです。
マフィアに潜入する警察官と、警察に潜入するマフィアの子飼い。
この二人の複雑なバックボーンを持った若者の人生が交錯し、
やがて抜き差しならない状況にドラマが盛り上がり臨界点を迎える。
共に裏社会に生きる人間の悲哀と苦悩が、
徹底的に乾いたハードボイルドな演出で描かれていくのです。
そしてヤクザ映画に付き物なのが裏切りに次ぐ裏切り。
血を血で洗う抗争劇です。
それぞれが偽りの人物を演じ続け、
それがどんな拍子に暴かれてしまうのかという緊迫感。
互いに利害を持って接している疑似親子なのですが、
マフィアのボスと警察官という立場を越えて、
信頼と疑惑が波の様に寄せては返す様、
その心理的揺らぎが実にリアルで観る者を強烈に惹きつけます。
刻一刻と変化する状況の中で、
二人の主人公が何を選び取り、何を捨て去るのか。
そんな所に凡百のギャング映画とは一線を画す深いドラマ性があったりするのです。
そして勿論迫力満点のアクションシーンも満載。
正にアカデミー賞受賞も納得の全部乗せの豪華演出なのです。
おつまみの秘密

今日のおつまみは【青じそパスタ】です。
数ある妻のパスタメニューの中でも絶品の、
具沢山な一皿です。
ソーセージとブラックオリーブ。
しめじにトマトにタップリの青じそ。
我が家の夕食の定番は、
シンプルな味付けのパスタときりっと冷えた白ワイン。
これが幸せの秘密です。
秘密を抱えた人生

今作で狂気的なマフィアのボスを演じたジャック・ニコルソン。
全盛期の70年代の様な迫力と色気を老いても感じさせるその存在感。
レオナルド・ディカプリオやマット・デイモンといった
現代を代表するスター俳優に対して、
彼はこの作品で自身の俳優としての生き様を伝承していった様な気すらします。
この作品の出演後は2010年を最後に銀幕から姿を消し、
表舞台から降り悠々自適な余生を送っているようです。
映画の内容同様に伝説の俳優から引導を渡された後進者達にとって、
かつての自由だった時代とは異なる表現手段を求められる現代の映画界は、
やや窮屈なものであるのかも知れません。
どうしても嘗ての名画と比べられてしまうのも避けられない道なのかも知れません。
コッポラの【ゴッドファーザー】シリーズがマフィア映画の金字塔であり、
嘗てのマーロン・ブランドやアル・パチーノやロバート・デ・ニーロの様な、
規格外の名優達はもう生まれこないのかも知れません。
しかし新たな映画は間違いなく次々と誕生していくのです。
伝説の存在達を踏み越え、足蹴にして裏切ってでも足掻いてのし上がった、
今作の二人の主人公の様に。
その末路は無惨であったとしても自分達の道を必死に切り開こうと足掻く姿には、
人間の力強さと美しさが垣間見えた様な気がします。
カトリック信者のスコセッシにとって、
子が親を裏切るという物語にはどうしてもキリストとユダの図式が思い返されたりします。
マフィアの凄惨な殺し合いの果てに、
呆気なく散っていく若き魂の迸りが、
ベテラン監督の映画に対する儚い夢の様にも思えます。
たとえそれが悪の道への求道者であったとしても、
父と子の何にも代えられない人智を越えた絆が、
このヤクザ映画をより高尚で味わい深い物に押し上げてくれているのです。
誰にも言えない秘密を抱えた時に観る映画。
人間の脆さ、弱さ、醜さをこれでもかと描写した渾身の犯罪映画。
この豪華キャストにして最早駄作はあり得ませんが、
テンポの早いサスペンスフルな展開は予想以上に濃い内容になっています。
是非ハリウッドきってのキャスト・スタッフの一流の仕事をご堪能下さい。



