画像引用:©TOKYO THEATERS CO.,INC./KADOKAWA SHOTEN PUBLISHING CO,.LTD./MOVIC CO.,LTD./TV Asahi/Aniplex Inc.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【老人Z】です。
1991年公開の日本のアニメーション作品。
原作・脚本に大友克洋。
キャラクターデザインに江口寿史。
原画には後にアニメーション監督として活躍する
沖浦啓之や今敏も参加。
豪華スタッフが集結し、
凡そSFアニメらしからぬ世界観で
世界をアッと驚かせた伝説の映画のおススメです!
この映画はこんな人におススメ!!
●スラップスティックが好きな人
●未来を予見した先見性に触れたい人
●90年代の空気感を体験したい人
●老いというものを考えたい人
| タイトル | 老人Z |
| 製作国 | 日本 |
| 公開日 | 1991年9月14日 |
| 上映時間 | 80分 |
| 監督 | 北久保弘之 |
| 出演 | 松村彦次郎、横山智佐、小川真司 |
天才達の本気の悪ふざけに触れたい時に観る映画
今回はちょっと懐かしい作品の紹介になります。
1991年公開と言えばかれこれ35年前の作品という事になります。
ソビエト連邦崩壊に湾岸戦争勃発と言えば、
どれ程昔の事か記憶が蘇る人もいるかと思います。
そう、まだ誰も携帯電話なんて持っていなくて、
インターネットの普及もまだまだだった時代。
バブル経済が弾けた頃でもあり、
その後の長い不景気の入口でもあった訳です。
そんな大きな転換期であり、
暗い世相に皆どこか沈みがちだった中、
こんなにもパワフルで荒唐無稽な、
且つ鋭い先見性でその後の社会を予見した様な
作品が生み出されていた事には本当に驚かされます。
高齢化社会に介護問題。
そして暴走するテクノロジーへの警句。
単なるドタバタコメディには収まらない
風刺精神には今観ても圧倒されてしまいます。
1988年公開の【AKIRA】で世界中を熱狂させた大友克洋による、
大胆且つ繊細なストーリー構成。
若き天才クリエイター達の才能の爆発が、
奇跡的なバランスで二度と表出する事の無い
凄まじいエネルギーに結実しています。
スラップスティックの教科書

画像引用:©TOKYO THEATERS CO.,INC./KADOKAWA SHOTEN PUBLISHING CO,.LTD./MOVIC CO.,LTD./TV Asahi/Aniplex Inc.
昭和・平成が生み出した偉大なる文化はスラップスティックに集約されます。
と言うのは少し暴論に過ぎますが、
リアリティが持て囃されてからの日本のアニメーションから、
失われてしまったのはこのバタ臭さでは無いでしょうか。
古くはマルクス兄弟の時代からチャップリンに代表される
ナンセンスギャグというのは一種アメリカの伝統ジャンルでした。
荒唐無稽、支離滅裂、理解不能と思われがちですが、
その実確かな知識と経験則から導き出される風刺精神が内奥された、
実に高等な技術が必要な表現手段でもあった訳です。
大友克洋と江口寿史という80年代を代表するコミック界の若き巨匠が、
アニメーション界の才気みなぎる若き才能達とタッグを組んで作り出した、
【老人Z】というスラップスティックにも
時代を鋭く炙り出した風刺精神が通底しています。
既に高齢化が危惧されていた80年代にして、
介護問題とテクノロジーの暴走というテーマを、
笑いの中に痛烈に描いた先見性は驚くべきものがあります。
最新鋭のAIが搭載された介護用ベット。
その臨床実験に推挙された老人が
亡き妻の亡霊を求めてマシンと共に大暴走するというストーリー展開。
大友克洋らしいギミックの緻密さ、
江口寿史らしいキャラクターの洗練されたデザイン性。
当時の若者達が新しい時代の幕開けを感じた映像は、
今日でも全く古びれない革新性を感じる事が出来ます。
技術がいくら進歩しようとも、
それを利用するのは人間の能力次第。
資質の問題です。
現代のクリエイター達に文句がある訳ではありませんが、
やはり当時の血気盛んな才能達の圧倒的な創造力には、
畏敬の念を禁じ得ません。
物語のテーマとこれは通底する所かも知れませんが、
テクノロジーの進化なんかよりも、
人間の情熱や意識が如何に偉大な作品を作り上げてきたかという、
実証なのでは無いでしょうか。
おつまみの戯れ

今日のおつまみは【黒麻婆豆腐】です。
これもおつまみの天才・カルディ様の傑作商品です。
挽肉を炒めて黒麻婆豆腐のソースを入れ、
豆腐と合えるだけで完成。
これが本当に本格的な味でやみつきになります。
ビールにも勿論会いますが、
やっぱり白米と思いっ切り掻っ込みたいですね。
高齢社会のなれの果てとは

画像引用:©TOKYO THEATERS CO.,INC./KADOKAWA SHOTEN PUBLISHING CO,.LTD./MOVIC CO.,LTD./TV Asahi/Aniplex Inc.
如何に老いて、如何に死んでいくかは人類の大きな命題です。
人生100年時代と言われ久しい現代に於いては、
正に切実な問題である訳です。
医療や介護従事者の人手不足は深刻で、
そこにAIやロボット技術を投入する動きは、
現実に日進月歩の状況です。
しかしそこで兎角ないがしろにされがちなのが、
一人一人の人間性を重視する視点。
個に立ち返った価値観です。
機械化とはオートメーションと画一化が必須ですが、
人間の個性は千差万別な訳です。
国の行政機関として実績が欲しい技術推進派と、
老人の本来の幸せとは何かという難問に立ち返る反対派。
答えの中々出ない問いは無視して良いという訳ではありません。
人間の尊厳に関わる大きな問題を抱えているのが介護問題です。
実際の介護従事者にとって、
様々な器具の進化は望むべき事だとは思いますが、
利便性の為の既成事実として不利益を飲まざるを得ない弱い立場に
弱者が追いやられる社会であってはならない筈です。
綺麗事になってしまうかも知れませんが、
介護に限らず社会が生み出した軋轢に蓋をする事は、
きっと周り巡って自分にも跳ね返ってくるのです。
福祉とはそもそも相互扶助であり、
そこに強者弱者の上下関係はない筈です。
人間誰しもが老い、死んでいく。
医療や介護の進歩が合理化の元に人間の尊厳を踏み躙っては、
正に本末転倒というものです。
天才達の本気の悪ふざけに触れたい時に観る映画。
と、何だか映画の雰囲気とは随分懸け離れた
真面目なレビューになってしまいましたが、
今作の魅力は兎に角その遊び心にあります。
ナンセンスでブラックな飛び切りのユーモア。
つまりは全て冗談な訳です。
その冗談を至って真面目に本気で取り組むのが面白いのです。
90年代のまだ少し腕を大きく伸ばす事の出来た時代の、
自由で滅茶苦茶な発想と展開を大いに感じられます。
この天才達の戯れに憧れた、
多くのフォロワー達が今のアニメーション界を支えているのです。
是非、日本のアニメ史に燦然と輝く傑作をご堪能下さい!



