画像引用:© 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【チョコレート】です。
2001年に公開されたアメリカの社会派ロマンス映画。
差別や偏見、親子の軋轢など重たいテーマを扱いながら、
人間の「赦し」を描いた鋭いドラマ作品になっています。
演技巧者達の渾身の演技にも注目。
観る者に命題を突き付ける辛辣な作品でもあります。
覚悟を持って見るべき作品です!
この映画はこんな人におススメ!!
●差別というものについて考えたい人
●社会的な問題に関心がある人
●後悔に捉われて前に進めない人
●それでも人生を肯定したい人
タイトル | チョコレート |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2002年7月20日(日本公開) |
上映時間 | 111分 |
監督 | マーク・フォースター |
出演 | ハル・ベリー、ビリー・ボブ・ソーントン、 ヒース・レジャー、ショーン・コムズ、 ピーター・ボイル、モス・デフ |
過ちや後悔を乗り越えたい時に観る映画
今回は中々に重たいテーマを持った作品です。
観るのにある程度の覚悟が必要でしょう。
人生に於ける大きな過ちと後悔に関する物語です。
そこに人種差別や男女差別、親子関係などの社会問題も絡んできます。
監督はドイツ出身の秀英、マーク・フォースター。
この作品で評価を高めた後に、
ジョニー・デップを主演に迎えた【ネバーランド】では
ゴールデングローブ賞にもノミネートされるなど注目を集めました。
今作で主演を務めたハル・ベリーは、
第74回アカデミー賞に於いて黒人女性として初の主演女優賞を受賞。
更に第52回ベルリン国際映画祭でも銀熊賞(女優賞)を受賞しました。
まさに全身全霊で役に挑んだ彼女の演技には鬼気迫るものがあります。
もう一人の主役を演じたのは、
1996年公開の【スリング・ブレイド】で、
アカデミー主演男優賞を受賞したビリー・ボブ・ソーントン。
彼の繊細な表現力も今作の大きな魅力の一つとなっています。
取り返しの付かない過ちを犯した人間達の「赦し」の物語。
過去を変える事は出来ませんが、
未来を変える事は不可能では無い。
そんな希望を感じさせてくれる重厚なドラマ作品に仕上がっています。
人は何にすがり生きるのか
画像引用:© 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
物語は一人の死刑囚を巡って幕を開けます。
この作品の原題【Monster’s Ball】(怪物の舞踏会)とは、
死刑執行前に看守達による死刑囚への餞別の宴を意味するそうです。
刑法に依る裁量で命を奪われる死刑囚。
今作は死刑制度の是非を直接的に問う作品では無いのですが、
それに携わる人間達の抱える葛藤が大きく物語に影響を与えています。
父親からの封建的な教育で育った看守のハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)は、
職業的誇りとその厳格なまでの強権主義を息子のソニーにも堅守します。
「強さ」のみを「正義」とし、
平然と人種差別や女性蔑視を口にする悪しき伝統を地で行く人物。
ハンクは常に苦虫を潰した様な顔で職務を全うする事だけを生き甲斐としていました。
しかしそんな彼の一人息子であるソニーが、
目の前で拳銃自殺を遂げてしまいます。
彼はただハンクに父親としての愛情を求めていただけだったのでした。
もう一人の主人公はハンクが死刑執行した囚人の妻レティシア(ハル・ベリー)。
彼女は肥満児の一人息子を育てながら薄給に苦しむシングルマザーとなってしまいます。
彼女もまた生活苦による苛立ちを息子にぶつけてしまい、
そんな自分の「弱さ」に精神をすり減らしていました。
二人は生活の中で取り返しの付かない過ちを犯し、
それに気付きつつも引き返す事が出来ずに最悪の結末を迎えてしまいます。
そうして「罪」の意識とどう向き合って良いのか分からないままに、
人生が最高に混乱している真っ只中に運命的に出会うのです。
人が何にすがって生きているのか。
どうやって必死の思いで立っていられるのかという辛辣なテーマを、
これでもかと観客に見せ付けていきます。
目を覆いたくなるような「不幸」が、
主人公の二人に自分と向き合う機会を与えるのです。
寒い冬を乗り切る為のスタミナ料理
今日のおつまみは【しらすペペロンチーノ】です。
寒さに負けない体力作りの為にも、
にんにくパワーは欠かせない必須食材です。
アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ。
ニンニクとオリーブオイルと唐辛子のシンプルな味付け。
そこにしらすのカルシウムを加えれば最強メニュー。
白ワインにピッタリの間違いない一皿です!
彼等は何を赦し、何に赦されたのか?
画像引用:© 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
大きな過ちと苛烈な運命に打ちひしがれた者同士。
己の「罪」を背負って、
彼等は互いの「傷」を舐め合う様に恋に落ちていきます。
しかし彼等は全てを打ち明けて理解し合っている訳ではありません。
そこにあるのはどうしようも無い「孤独」を埋め合う様な、
悲しい温もりに彩られた関係でした。
互いに多くの物を失い続けた末に、
漸く辿り着いた世界の辺境の様な生活でした。
ハンクは自分を愛していた息子を愛せなかった「罪」に。
レティシアも自分の不幸をぶつけてしまった息子への罪の意識に。
失ってしまった者達から赦されたいと藻掻く一方で、
自分自身を「赦す」事が出来ないままでいたのです。
過去を変える事は勿論出来ません。
目の前の現実を劇的に変える事も出来ません。
ただ藁をも掴む様に寄り添った相手の事を思い、
その未来に何かをする事はささやかながら出来るのです。
そうして緩やかに自分を「赦す」事で、
彼等は「赦されて」いくのだと思います。
過ちや後悔を乗り越えたい時に観る映画。
人間は誰しも多かれ少なかれ過ちを犯します。
その事で生涯罪の意識を感じ続ける事もあるかも知れません。
法律が裁けるのは「罪」の一部分でしかありません。
本当の意味で「罪」に赦されるには、
罰される事よりもそれとどう向き合うかなのかも知れません。
それは私達一人一人に課せられた命題なのだと思います。
映画とは時に私達に多くの事を教えてくれるものでもあるのです。