ヒューマンドラマ映画

映画【ムーンライト】おつまみ【豚カツ】

画像引用:IMDb

この映画はこんな人におススメ!!

●新しい黒人映画を観たい人

●少年期の繊細さを体感したい人

●一途で純粋な愛を目撃したい人

●魂の震える様な感動を味わいたい人

タイトルムーンライト
製作国アメリカ
公開日2017年3月31日(日本公開)
上映時間111分
監督バリー・ジェンキンス
出演トレンヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホランド、
アシュトン・サンダース、ナオミ・ハリス、
ジャネール・モネイ、マハーシャラ・アリ

自分を変える勇気が欲しい時に観る映画

数々の話題作を世に放つアメリカの制作配給会社A24が、

初めてアカデミー作品賞を受賞した記念すべき作品。

オール黒人キャストの映画がアカデミー作品賞を受賞するのは初めての事であり、

またLGBTを扱った作品としても初の快挙でした。

黒人映画といえば、差別・暴力・ドラッグの3点セットというイメージが強いと思います。

この作品にもそれらは重要なモチーフとして描かれていますが、

それ以上に一人の人間の純粋で一途な「愛」を描く事に重点が置かれています。

過酷な環境に育ち、ドラッグと暴力の影に怯え、

未来に希望が持てない状況の黒人少年。

誰にも本音を打ち明けられない内気な彼の、

秘めた想いが明かされる時、

長い時の流れの重みと共に我々観客の心を激しく揺さ振るのです。

これまでの黒人映画のイメージを一新した映像美。

それは強く逞しいタフな黒人男性像を全面に出していたそれまでの概念から、

美しく繊細で健気な、新しい等身大の人物像を描き出す事に成功しています。

弱く、脆く、美しい、主人公シャロンの波乱の半生。

きっとこの映画はあなたの人生観に大きな影響を与える作品になるはずです。

環境の呪縛、負の連鎖

画像引用:IMDb

主人公のシャロンはとても内気な性格の男の子でした。

麻薬依存者の母親は、一方的な教育と価値観を押し付け、

学校ではイジメの暴力に脅かされています。

タフでなければ生きていけない苛烈な環境で、

シャロンは偶然出会った麻薬の密売人、ファンに心を許す様になっていきます。

ファンはタフな世界を己の才覚一つでのし上がっってきたアウトローですが、

少年シャロンに対して父親の様な視線を向けます。

生きる事は苦しい事だが、自分の道は自分で決めろとシャロンに諭します。

密売人としての自分を顧みて、自分の様にはなるなと暗に言っている様にも取れますが、

シャロンは成長と共に更に困難な状況に追い込まれて行ってしまいます。

黒人社会に蔓延するドラッグと暴力の問題。

小さな少年達にとって、そこから脱却して自分の道を進む事は非常に困難です。

監督のバリー・ジェンキンスは正に物語の舞台である地域出身で、

自身も麻薬常習者の母親を持っていたそうです。

その自身の体験と、原作戯曲のコンセプトを見事に融合した、

リアルで、新鮮な脚本は言葉少ない中に、

繊細な表現が丁寧に積み重ねられています。

ティーンに成長したシャロンが、幼馴染で唯一心を許していたケビンと、

浜辺で過ごすシーンの美しさは言葉を失います。

孤独な少年がその時胸に秘めた一途な感情。

負の連鎖に絡め捕られてしまう多くの若者達の中で、

必死に藻掻く姿が胸を打ちます。

絶対的国民食

今日のおつまみは【豚カツ】です。

皆大好き国民食、豚カツ。

豚カツが嫌いな人はいません。

付け合わせは大根とマッシュルームとピーマンのグリルですね。

もう子供の頃から大好物です。

端っこが美味しいですよね。(脂身の所)

高カロリーで高血糖なので勿論たまにですが。

体調悪い時なんかは、本当に元気に食べられてた事が、

如何に幸せだったのかって痛感させられますよね。

病気治ったら、食べようと心に誓う食べ物ランキングNO1(暫定)です。

秘められた想い

画像引用:IMDb

映画はシャロンの半生を3人の俳優がそれぞれの世代で演じ分けています。

少年期とティーンと青年期。

そしてそれぞれの時間経過には数年のブランクがあり、

その間にも(当然ながら)様々な出来事が起こっています。

映画ではそれを極さりげ無く匂わす程度(会話の端っこ)で表現していますが、

これがなぜか凄いリアリティがあるんですよね。

これが映画らしくないというか、変に誇張して盛り上げるのでは無くて、

姿勢として淡々としている所が、スマートだと感じさせるのです。

学校で暴力事件を起こしてしまったシャロンが青年期では、

突然、マッチョで金歯のバキバキの売人になっています。

この間何があった?という変わり様。

まるで少年期の父親変わりだったファンの生き写しの様ないで立ちなのです。

しかし、よくよく見ていくと外見とは裏腹に、

やはり中身のシャロンは繊細でナイーブな人間。

麻薬更生施設で住み込みで働く母親と涙ながらに和解をし、

かつての親友であり、一途な想いの相手であるケビンに

再会する直前、さり気無くブラシで髪を整えるシーンとか

もはや可愛らしく感じてしまいます。

本当に細かくシャロンの内面を描写していて秀逸なんです。

不器用で、臆病で、傷付きやすいシャロンのまま。

見た目のマッチョは見せ掛けの鎧なのです。

ずっと自分はどうあるべきなのかと悩んで生きてきたシャロン。

黒人で、低所得家庭で、麻薬依存者の息子で、イジメられ、ゲイである。

誰からも必要とされず、愛されもしない。そんな自分のアイデンティティ。

幼い頃に洗礼を受けたファンの生き写しにならざるを得ないのも当然です。

自分らしく生きるという事がずっと分からなかったのですから。

自分を変える勇気が欲しい時に観る映画。

映画のラストそんなシャロンが自分を変える為に勇気を振り絞るシーンは、

だからこそ深く我々の心をエグルのです。

様々な要因で捻じれた人生を送ってきてしまったシャロンでしたが、

その一途に想い続けてきた気持ちを吐露する事ができたので、

全ての鎧を脱ぎ捨てて月の光に肌を晒す事が出来たのです。

この作品は特殊な映像加工技術を使って黒人の肌の色を美しく見せる為の

工夫をしているのだそうです。

月明りに照らされると、黒人の肌は青く光るという台詞が劇中登場しますが、

正にシャロンの無垢の姿は美しく、青く光り輝いていました。