画像引用:IMDb
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【ミスティック・リバー】です。
クリント・イーストウッド監督が演技派キャストを集めて撮った、
サスペンス作品です。
この映画はこんな人におススメ!!
●名優達の演技を堪能したい人
●人生の皮肉を味わいたい人
●心理的なサスペンスを求めている人
●重たい作品でもOKな人
タイトル | ミスティック・リバー |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2004年1月10日(日本公開) |
上映時間 | 138分 |
監督 | クリント・イーストウッド |
出演 | ショーン・ペン、ケビン・ベーコン ティム・ロビンス、マーシャ・ゲイ・ハーデン ローラ・リニー、ローレンス・フィッシュバーン |
皮肉な運命に狂わされた時に観る映画
今回は中々に考察の難しい作品です。
監督としても数々の名作を発表している、クリント・イーストウッド監督のあの骨太演出。
幼馴染の少年3人が、皮肉な運命の元に再会し悲劇的な展開に陥るクライムサスペンス。
偶然・疑念・勘違いが重なり、誤った判断を繰り返す人間の愚かさ。
何ともやり切れない、批難の矛先に困る様な内容になっています。
サスペンス映画という物をごく一般的に定義すると、
何らかの「謎」に対して、真相を明らかにするというベクトルを持っています。
例えばそれが「事件」だったら、「犯人」を追うという事が主題になります。
この作品も平穏そうな郊外の街に陰惨な「事件」が起ります。
無論「犯人」は誰だというのが、観客を引き付ける要素になります。
しかしこの作品のちょっと普通と違う所が、
「事件」の被害者の父親と「事件」を捜査する刑事と「事件」の容疑者が、
同じ街で育った幼馴染という点。
しかもこの3人は子供の頃に起きたある「事件」に関するトラウマを持っています。
他愛の無かった日常が一変する様な、強烈で辛辣な経験。
3人それぞれ心に傷を負い、「事件」は彼らの人生を大きく変えてしまいました。
無力で無自覚だった少年の日の後悔の念。
偶然とわずかな選択の過ちで、人生は途端に残酷な顔を覗かせます。
そんな誰にしも起こり得る、運命に狂わされた男達の姿が何とも痛々しい、
イーストウッド節100%の骨太作品です。
非カタルシスの放置プレイ
最初にお断りさせていただくと、この作品にカタルシスは存在しません。
特定の人物が観客の心を「浄化」してくれる事は恐らく無いでしょう。
(断定は出来ませんが)
何とも救われない、モヤモヤを抱えたままエンドロールを眺める羽目になります。
「どうするべきだったのか?」という問いには映画は答えません。
大抵の人生に安易な答えが存在しない様に、
観客は心に浮かんだ問いを余韻として引き摺りながら日常に戻らされます。
不親切な作品と言えるかも知れませんが、潔い姿勢と置き換える事も出来そうです。
懇切丁寧に用意された「浄化作用」に身を晒す快感に慣れ切ってしまう事は、
時として思考停止を招き兼ねないとも言えます。
観客に「安心・安全」の解答を与えるのでは無く、
強烈に引き込んでおいてからの、唐突に放り出す暴力的なまでの放置プレイ。
これが時として頭をハンマーで殴られた位の衝撃を伴う映画として記憶されます。
放置された観客の取るべき道は大きく2つ。
忘れ去ってしまうか、自分のロジックで考え始めるか。
クリント・イーストウッド監督はこの何割かの後者の為に、
この辛辣な物語を演出したのかなと思ったりします。
夏本番
最近、本当暑い日が続いて食欲が落ちてしまいます。
そんな時はやっぱりこれですね。
今日は絹ごし豆腐の上に千切りの胡瓜とたっぷりの青ネギ。
更に「食べるラー油」で刺激をプラス。
喉越しの良い、間違いのない一品です。
今日のおつまみ何にしようと悩んでる時なんかは、
取り敢えずこれを出しておけば文句無いでしょう。
夏本番に向けての天下の宝刀。
皆が幸せになる放置プレイです。
掛け違えたボタンを掛け直す
画像引用:IMDb
この映画は「もしも」という選択肢の向こう側を発起させる物語です。
「もしもあの時・・・」
ちょっとした選択の違いで人生は思いもしない変化を遂げる事もあります。
それが人の運命なのか、神の意思なのか、
あるいはただの偶然の積み重ねで、いずれの人生も大差無いものなのか。
様々な人生の片鱗を2時間程に要約してくれる映画というものは、
本当に多くを我々に学ばせます。
後悔の無い人生など無いでしょう。
選択の必要に迫られた時、それがその後の人生を決定してしまうかも知れないという
危機感を常に持つ事は難しいです。
人は間違うし、疑うし、それを強引に肯定しさえします。
そんな人間の暗部を、淡々としたテンポと冷静な視線で描いて見せたのが
この【ミスティック・リバー】という作品です。
アカデミー主演男優賞に輝いたショーン・ペンを始め、
俳優陣の演技は皆見事で見応えがあります。
辛辣な物語ですが、それぞれの大切な人に対する「愛情」も描かれています。
掛け違えたボタンを過去に戻って掛け直す事は不可能ですが、
今着ている服の襟を正す事は可能です。
苦しみや、悲しみに押しつぶされそうな時、
その選択がどんな結果を及ぼす事になるのか。
過去を俯瞰できる程に、一端離れた所から眺めてみて、
じっくりと向き合い、ゆっくりと繕い直す事が、
唯一、前に進む事に繋がるのかも知れません。