画像引用:IMDb
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【マザーレス・ブルックリン】です。
名優エドワード・ノートンが脚本・監督・主演を務めたサスペンス映画。
ハードボイルド探偵小説の世界観を見事に演出し、
退廃的なニューヨークの雰囲気を満喫出来る作品です。
この映画はこんな人におススメ!!
●ハードボイルド探偵小説が好きな人
●50年代のファッションが好きな人
●ニューヨークジャズが好きな人
●権力には屈したくない人
タイトル | マザーレス・ブルックリン |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2020年1月10日(日本公開) |
上映時間 | 144分 |
監督 | エドワード・ノートン |
出演 | エドワード・ノートン、ググ・バサ=ロー、 ブルース・ウィリス、ウィレム・デフォー、 アレック・ボールドウィン |
絶対的権力に立ち向かう時に観る映画
今回はハードボイルドな雰囲気満点の探偵映画をお勧めします。
「ファイト・クラブ」や「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」などで、
高い演技力を見せるエドワード・ノートンが、
製作・監督・脚本・主演の全てを務めた意欲作です。
映画の舞台は50年代のニューヨーク。
恩人を目の前で殺された主人公の探偵ライオネルは、
事件の裏に潜む陰謀を調査する内に予想以上の巨悪と対峙する事に。
まるでレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の様な世界観で、
ハラハラドキドキの展開が観る者を強烈に引き込んでいきます。
当時の建物やファッションが忠実に再現され、
退廃的で怪しげなニューヨークの街を、
ジャズの音色と共に味わう事が出来ます。
全体的に抑えたトーンの色彩はクールな印象を持たせ、
物語の切ない抒情性を際立たせています。
エドワード・ノートンのインテリジェンスで洗練されたイメージに
ピッタリくる作品だと思います。
古くは「マルタの鷹」のハンフリー・ボガードが有名ですが、
かつて探偵物は映画の人気ジャンルの一つでした。
最近では余り見掛けなくなってしまいましたが、
ある意味社会から逸脱したアウトロー的な存在が、
現代のコンプライアンスにそぐわなくなってしまったのかも知れませんね。
個人的には大好物のジャンルなので残念ですが、
一匹狼的な探偵が巨悪組織に立ち向かう姿はやっぱりシビレますよね。
この映画は往年の探偵物へのオマージュも感じられ、
本格的なサスペンスが味わえる作品になっています。
総合芸術としての映画の幸せな成功例
この作品を他と一段違うレベルに引き上げているのは役者陣の演技力です。
主演のエドワード・ノートンの役への没入感は圧倒的で、
巨悪の権化たるアレック・ボールドウィンもベストアクトと言える迫力です。
脇を固めるブルース・ウィリスやウィレム・デフォーも存在感を遺憾なく発揮し、
バランスの取れた配役と演技に身を預けられる安心感が、より物語に集中させてくれます。
原作小説では90年代であった時代設定を、50年代に変更したのも大成功でした。
ある意味コミカライズされた様な登場人物達が、
完璧に再現された50年代のニューヨークという舞台装置の中で生きる様は、
物語を劇的で華やかにしながら同時に、退廃的な雰囲気を作り出す事に、
大いに貢献しています。
また探偵物というB級娯楽とも捉えられがちなジャンル映画を、
格調高い作品に昇華させるアイディアが随所に見られます。
テンポの良いカット割りとセンスの良い構図。
主人公の心理描写を増長する音楽の存在感。
夜のニューヨークの映像が特に美しく、
まるでエドワード・ホッパーの絵画作品の様なシビレるカットが散見出来ます。
イギリスのロックバンド「レディオヘッド」のフロントマンである
トム・ヨークがこの映画の為に書き下ろした「デイリー・バトルズ」という楽曲が、
見事に主人公のライオネルの感情を表現していたのも見過ごせない要素です。
あらゆる方向から素晴らしい仕事が集結し、
一本の映画の存在価値を押し上げる。
ただソファーに座って観ているのが何だか悪い様な気にすらなってくる、
総合芸術として味わい深い作品になっています。
幸せな組み合わせ
今日のおつまみは【しらすオイルバゲット】です。
これは超簡単。
エキストラバージンオリーブオイルにしらすを漬けておいた物を用意。
バゲットはオーブンで表面をカリッとさせ、
(お好みでにんにくをすり込んでも抜群ですが)
しらすオイルを上に乗せながら食します。
シンプル過ぎる料理ですが、白ワインのお供に最高です。
海と畑の恵みの幸せなマリアージュ。
永遠に食べていられそうな間違いない一品です。
アウトローの美学
画像引用:IMDb
この映画の主人公、探偵のライオネルには幼い頃からのハンディキャップがあります。
チック症と呼ばれる原因不明の障害です。
本人の意思に関わらず、
ストレスや不安を感じると言葉が口から次々に飛び出てきてしまうのです。
周りからの奇異の目に晒され、留める事が出来ない症状に苦しみ、
孤独で内省的な人間として生きてきました。
望む望まずに関わらず、社会から逸脱しアウトローとして生きるしかなかったライオネル。
生涯の恩人であるブルース・ウィリス演じるフランクが目の前で何者かに殺され、
深い悲しみの中に身を落とします。
危ない橋を渡ろうとして消されてしまったフランクの意思を継ぎ、
事件を調査する内に思ってもいなかった展開に発展していきます。
並外れた記憶力を持ち、洞察力と思慮深さを武器に巨悪に立ち向かう主人公。
ハードボイルド小説の真骨頂とも言える展開にグイグイと引き込まれていきます。
ただ真実を知る為に、反骨心と探求心を唯一の武器にして。
「男の子心」を強烈にくすぐるのがこの不遇のヒーローという図式なんです。
抑圧されてきた人間が日陰者の十字架を背負いながら戦う姿。
決して清廉潔白の優等生でない所に、共感を覚え感情移入させてくれるのです。
そして彼等アウトローに共通していて欲しい特徴が、
強きを挫き、弱きを助ける義理人情です。
世界を救うヒーローで無くても、自分の美学に忠実なアウトローに
身近な憧れを持ってしまうのは昔も今も変わらないのかも知れません。
ちょっと毛色は異なりますが、「フーテンの寅さん」にも共通する魅力だと思います。
絶対的権力に立ち向かう時に観る映画。
かつてのサム・スペードやフィリップ・マーロウに通ずる、
アウトローの美学。
エドワード・ノートンが完璧な演技と演出で作り上げたこの物語は、
古き良きハードボイルドの魅力に満ち溢れています。
腕力では無く、頭脳で戦う探偵ってやっぱりカッコいい!
50年代のオールドファッションや文化に興味がある人にも是非おススメの作品です。