コメディ映画

映画【アナザーラウンド】おつまみ【鱈のレモンバター焼き】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【アナザーラウンド】です。

デンマークの俊英トマス・ヴィンターベアー監督の人生讃歌。

「お酒」をテーマに笑って泣いて考えさせる、

一級のエンターテインメント作品に仕上がっています。

この映画はこんな人におススメ!!

●生活に変化が欲しい人

●人生に刺激が欲しい人

●まだまだ友達とハシャギたい中高年の人

●お酒が友達な人

タイトルアナザーラウンド
製作国デンマーク、オランダ、スウェーデン
公開日2021年9月3日(日本公開)
上映時間117分
監督トマス・ヴィンターベア
出演マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、
マグナス・ミラン、ラーセ・ランゼ

時にはお酒に溺れてみたいと思った時に観る映画

今回の映画はデンマークの作品です。

第93回アカデミー賞において国際長編映画賞を受賞しました。

「お酒」がテーマの作品と聞いては放っておく事は出来ません。

映画は人生の黄昏を迎える中年オヤジ4人組が「お酒」によって変わっていく物語。

こう書くとどうも「やけ酒」のイメージが湧いてきてしまいますが、

このオヤジ達にとっては至って真剣な中年の危機を乗り越える為の物語なのです。

人は誰しも悩みを抱え、毎日の生活に何とか立ち向かって生きています。

年を取り、自分の置かれている状況を改めて眺めてみれば、

「こんなはずじゃなかった」という事だらけです。

努力と苦労を重ねて手にした社会的地位や家庭が、

何だか上手く行かなくなってきてしまったと感じる中年オヤジ4人組。

軽い気持ちで始めた実験が「血中アルコール濃度を0・05%に保つ」というものでした。

「お酒」は気持ちが大きくなり、精神的な不安が取り払われ安定する面があります。

時にはお酒の力を借りて、ピンチを乗り越えたいという気持ちも理解出来ます。

4人は全員高校教師なのですが、当然仕事中も血中アルコール濃度は保たれたまま。

ほろ酔い状態での授業ですが、これが意外にも功を奏し生徒にも好評。

家庭でも久し振りの和やかな団欒が持てたり。

それならもう少しお酒の量を増やしてみればと実験は加速していきます。

さて、どうなることやらですね。

お酒は与えもし、奪いもする

お酒を嗜む人には少なからずお酒での失敗談があるはずです。

楽しい一時と、その後にやってくる後悔の念。

「酒は飲んでも、のまれるな」とは昭和の名文句ですが、

羽目の外し過ぎは危険です。

映画の主人公マーティンは生徒から冷笑を受ける冴えない高校教師。

家庭でも妻や子供とすれ違い、人生の黄昏の中、生きる張り合いを失い掛けています。

友人であり、同僚でもある3人のオヤジ達の境遇も似たり寄ったり。

既に人生は後半戦。

下り坂をブレーキ無しで進む恐怖から必死で目を逸らそうとしています。

しかし何気ない思い付きから「お酒」の力で生活を変化させる術を身に付けた4人。

仕事も家庭も上手く行きだし、人生に輝きが蘇ってきます。

「生きがい」とは全く難解な概念で、「楽しい」という単純さとは異なります。

苦しさの中にも、生きる為のエネルギーに転化し得る燃料があったはずなのですが、

血中アルコール濃度はその全てを忘れさせる「負」の作用も併せ持っているのです。

当然の様にアルコールの量は増え続け、「依存」という新たな破滅がドアを開けています。

何か大きな力を持った対象には、表裏一体の危険が潜んでいるもの。

「お金」も「地位」も「名誉」も「神」も人に何か与える分、奪う事もあるのです。

今夜も映画をおつまみに

この「えいがひとつまみ」というブログは、

そもそも私達夫婦の映画をおつまみにお酒を飲むという習慣から始まっています。

テレビを全く見ないので、晩酌時には毎日映画を観ています。

好きな映画を観ながら好きなお酒を飲み、美味しいおつまみを食べる。

好き勝手にあーだこーだ言いながら、見逃したシーンがあれば戻しちゃったり。

これが毎日の疲れを癒す、ストレス解消の一時なのです。

そしてどうせなら観た映画の感想とおつまみの内容を記録出来ればと考えました。

それが「えいがひとつまみ」の始まりです。

それから4か月経過し、最近は書く事も楽しめる様になりました。

おつまみ担当の妻のおかげでもあります。

今日のおつまみは【鱈のレモンバター焼き】

付け合わせは「蓮根の酢漬け」「人参と大豆のガーリック炒め」

「ひじきと水菜のサラダ」「冷奴」「茄子と舞茸のソテー」です。

最近は「いいちこハイボール」で晩酌しています。

北欧の人生讃歌

画像引用:IMDb

中年オヤジ達のお酒に溺れる姿は滑稽でついつい笑ってしまいますが、

心の何処かに見て見ぬ振りをしている後ろめたさを感じたりします。

この普遍的なテーマを監督のトマス・ヴィンターベアは冷静な視点で映し取ります。

4人の表情の中に、心の大海で繰り返される時化と凪を描写していきます。

彼等の抱える人生の重みが、事の発展をただの笑い事には出来無くさせるのですが、

それでもニヤリと笑ってしまうのは、監督の人生讃歌の視線に温かさがあるからでしょう。

人間はいくつになっても失敗を繰り返します。

情けなくも、恥ずかしくも、それでも必死で生きていく。

その人間らしい滑稽さの中にこそ、美しさが潜んでいるのかも知れません。

気の置ける仲間がいたからこそ、無様な自分を奮い立たせる事が出来たのでしょう。

主演のマッツ・ミケルセンの無骨な表情の中にある憂い。

他人を思いやる気持ちを上手く表現出来なかった人間が、

自分を見つめ直し解き放つ事に、清濁言っている場合ではありません。

「お酒」の力だろうが何だろうが、今を必死で生きるという事の力強さ。

肯定の力を全身で表現したダンスシーンは必見の迫力です。

時にはお酒に溺れてみたいと思った時に観る映画。

溺れない程度に飲むのが本当は良いのですが、

映画で気持ちを全開放したい人におススメの一本です!