SF映画

映画【オデッセイ】おつまみ【ポークチョップソテー】

画像引用:(C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

この映画はこんな人におススメ!!

●逆境に強くなりたい人

●忍耐力を付けたい人

●絶望的な状況に今ある人

●それでも冒険心を失いたくない人

タイトルオデッセイ
製作国アメリカ
公開日2016年2月5日(日本公開)
上映時間141分
監督リドリー・スコット
出演マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、キウェテル・イジェフォー、
ショーン・ビーン、マイケル・ペーニャ、
セバスチャン・スタン、ジェフ・ダニエルズ
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不屈の精神を学びたい時に観る映画

ハリウッドの生ける伝説リドリー・スコット監督の十八番であるSF。

1979年の【エイリアン】や1982年の【ブレードランナー】は、

SF映画のオールタイムベストに必ず名前が挙がる傑作です。

今作はアメリカのSF作家マイケル・ウィアーのベストセラー小説「火星の人」を原作に、

科学的にも極力リアリティを追求して制作されたそうです。

有人火星探査のミッション中に不慮の事故で火星に一人取り残された主人公。

絶体絶命の状況に置かれても生きる希望を捨てず、

持てる知識と技術で事態を一つ一つ打開していく人間の力強さを描いています。

地球から遠く離れた火星でたった一人。

まさに究極の孤独です。

しかし今作はそれを重厚な雰囲気で描くのでは無く、

時には笑えるユーモラスな描写も交えながら、

人間の本来の生命力をじっくりを堪能させてくれます。

ベテラン監督のバランス感覚と実力派のキャスト達の素晴らしい演技が、

手に汗握る宇宙飛行士達のサバイバルストーリーを、

味わい深いエンターテイメントに見事に昇華させた作品となっています。

どんな逆境にも挫けない不屈の精神と、

限りないフロンティア精神の果ての人類の希望を描いた、

感動のSFドラマです!

火星でひとりぼっち

画像引用:(C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

今作は2035年という近未来を舞台にしています。

現代の知識や技術とそう遠くないこの設定が、

物語に絶大なリアリティを与える事に成功しています。

NASAによる有人火星探査計画は1969年のアポロ11号の月面着陸以降、

歴代のアメリカ大統領によって計画されたり中止されたりを繰り返してきました。

ロシアや中国などのライバル国も宇宙開発競争の中で、

火星の有人探査に積極的な目標を置いてきました。

しかし2025年現在までにどこの国も実現には至っていません。

あらゆる国際的な問題が山積する中、

宇宙開発に予算を割く事への否定的な意見がある事も致し方無いでしょう。

この辺りのNASAを取り巻く各立場の人間達の思惑というものが、

この映画にも巧みに取り入れられています。

宇宙飛行士がたった一人で火星に取り残されたという状況を受けて、

莫大な予算が必要な救出作戦にもNASAに対する、

プラスイメージ効果を鑑みていたりするシーンは実にリアルであると言えます。

綺麗事ばかりでは無い打算や思惑が交差して、

人の命とお金が天秤に掛けられる。

これはアメリカだからとかNASAがどうこうという話では無く、

人間社会の本質を鋭く描いたリドリー・スコットの批判精神であったりもします。

かたや主人公のマークは地球との交信も出来ず、食料・空気・水が不足する中、

植物学者としての知識をフル活用して火星の土でジャガイモの栽培を始めます。

水素を加熱して水を作り、排泄物を肥料にし、16進法の通信手段も開発する。

正に持てる能力を駆使して生きる為に這いつくばります。

この不屈の精神とバイタリティが観客を強烈に引き込んでいくのです。

助けられる側と助ける側それぞれの苦悩。

一人の人間の物語に終始せずに、

様々な立場の人間達の葛藤を描いた群像劇である事が、

また今作の大きな魅力になっているのだと思います。

不屈の食欲

今日のおつまみは【ポークチョップソテー】です。

たまには骨付きの肉にしゃぶりつきたいという激しい欲求。

年を重ねてもありますよね。

こんがりと焼き上げたポークチョップ。

骨の周りが一番旨いんです。

付け合せは勿論火星で栽培したジャガイモ。

粒マスタードを付けてシンプルに食しました。

我々の不屈の食欲は永遠です。

如何に生き残るか

画像引用:(C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

今作は主人公の救出というカタルシスまでの、

登場人物達の葛藤がメインのドラマ作品ですが、

刮目すべきはやはりサバイバル精神にある様な気がします。

資源も無く絶望的状況に置かれた主人公が少しづつ成長していく姿が、

観客にとって最も感情移入出来る所なのではないでしょうか。

必要な食料や水を確保する為に、

マークは持てる知識と技術を活用して打開しようと試みます。

しかし全てが目論見通りいくはずも無く、失敗を繰り返しその都度改良を施すのです。

大きな失敗の中に小さな成功を積み上げる。

一個一個目標に向かってミッションをクリアしていく彼の姿は、

ハリウッド大作のヒーロー的主人公というよりも私達に近い等身大を感じさせてくれます。

壮大なSF超大作でありながらやっている事は地味なジャガイモの栽培というギャップ。

これが他には無いリアリティとカタルシスを観客に与えてくれるのです。

如何に生き残るのかというテーマに、

こういったアプローチを重ねていく作品はとても珍しいと思います。

誰かを救う為に我が身を投げ打つ勇気も心を掴まれますが、

人間の不屈の精神をこういう形で体感出来る作品も貴重なのではないでしょうか。

不屈の精神を学びたい時に観る映画。

一人の宇宙飛行士が困難の末に勝ち取ったのは、

「帰還」という言わばプラスマイナスゼロでしかない結果。

しかし彼等が無事帰還する事で繋がる未来というものがある。

彼等の経験、知識、絆が次の世代に受け継がれる。

そしていつの日か人類は果てぬ開拓精神を持って宇宙に旅立つのでしょうか。

それが地球資源を根こそぎ使い果たし破壊し尽くした、

人類の「身から出た錆」だと言ってしまえばそれまでなのですが、

あらゆるエゴのその先に生き残る強い意志を感じる、

力強いメッセージを持った作品であると言えるでしょう。