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こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【パスト ライブス/再会】です。
2023年公開のアメリカの恋愛映画。
幼馴染だった韓国人の男女が、
24年の時を経て再会を果たすという物語。
一途な想いを持ち続けて来た男性と、
海外で自分のアイデンティティを必死で築いてきた女性。
そしてその女性を深く愛し支えるアメリカ人の夫。
三者三様の想いが絡み合う繊細な脚本が魅力的な作品です!
この映画はこんな人におススメ!!
●忘れられない過去がある人
●今を必死で生きている人
●未来に新たな一歩を踏み出したい人
●運命について考えたい人
タイトル | パスト ライブス/再会 |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2024年4月5日(日本公開) |
上映時間 | 106分 |
監督 | セリーヌ・ソン |
出演 | グレタ・リー、ユ・テオ、 ジョン・マガロ |
人生の縁を深く感じたい時に観る映画
アメリカという国は移民の国とよく言われます。
そもそもがヨーロッパからの入植者達が作った国なので、
それは当然といえば当然なのかも知れません。
多民族国家である故に様々な軋轢も生まれる訳ですが、
そんな人種の坩堝であるニューヨークを舞台にした今作は、
人が何を求めその街で生きていくのかという事について、
深い考察を促す映画になっています。
35ミリフィルムで映された街の風景が、
この映画のもう一つの主役の様で、
そこに生きる登場人物達の生活をマクロで描く事によって、
現代人のアイデンティティを如実に表現しています。
人生をもっと大きな俯瞰で眺める。
今生きている時間だけではなく、
前世や来世も含めて人生に於ける不思議な「縁」や「運命」を描く。
映画とは言わずもがな空想の産物ですが、
そこには誰の心にも触れ得る普遍性があって、
それが予期せぬ瞬間に強く胸を打ったりするので、
本当に驚かされたりします。
このシンプルで精緻な物語には、
確かな映画の魔法が掛かっていて、
観る者に実に多彩な思索をさせる力があります。
言語や文化や思想の差異が、
人を生き辛くもさせるし反対に強くもする国。
そこでどう自分らしく生きていくかという事を、
静かに描いた切ない恋愛映画になっています。
運命の人

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物語は幼馴染の韓国人男女の長いストーリーが中心です。
互いに強く惹かれ合っていたものの、
両親の仕事の都合でカナダに移住してしまった主人公のナヨン。
彼女の事が忘れられずに12年の時を経てネット上で再会を果たすヘソン。
互いを運命の人と感じながらも、
韓国とニューヨークという物理的な距離が二人の間に大きく立ちはだかります。
二人は結局また距離を取る事となり、
更に12年の年月が過ぎた時にはナヨンの隣にはアメリカ人の夫がいるのです。
実に24年の時を経て漸くニューヨークで再会を果たす二人。
時の流れの切なさと、その中で必死に生きてきた二人の想いの強さ。
しかしこの映画は「運命」の二人が今を捨てて未来に駆け出すという様な、
お決まりのドラマチックな展開を施す訳ではありません。
人がその街で地に足を付けて生きてい行く事の困難と喜びを、
実に丹念に描いていくのです。
過ぎ去ってしまった時間に心を乱される事はあっても、
自分の生きて来た事実を正面から受け止める強さ。
移民国家のアメリカで自身も同じような経験をしてきた、
監督・脚本のセリーヌ・ソンの描く主人公像は、
力強く前向きで、だからと言って自分の心に嘘を吐く事無く生きる、
現代の清麗な女性を見事に体現しています。
一方のヘソンのキャラクターは、
自分の気持ちに自信が持てない弱さを持った人物でもあります。
ずっと心に「運命」の人であるナヨンを想い、
優秀でありながら自分の人生を決断する事が出来ない。
そんな彼がナヨンと再会する事で新たな一歩に踏み出す様は、
実に感動的で心動かされるシーンです。
私達にも多かれ少なかれ人生に於ける後悔や迷いというものはあります。
それとどう向き合うか、どう乗り越えていくか。
この映画にはそれらの事に対するさり気無いヒントとなる様な言葉が満ちています。
間違いないワンプレート

今日のおつまみは【焼きビーフン】です。
おまけに鶏の唐揚げをトッピングして最強のおつまみ化を実現しています。
夫婦というものは長い時間を掛けてその関係性を変化させ続けていくものだと思います。
当然、おつまみも進化・変化し続けていきます。
年を取り胃がもたれたり胸焼けしたり。
今はまだハイカロリーなおつまみもガンガン行けますが、
この先の人生はどうなるか分かりません。
そう考えると今のうちに好きな物をいっぱい食べておこうなんて欲が生まれたりもします。
映画の二人は自分達の前世に言及していますが、
食べ物の好みにも前世が関係しているのかも知れませんね。
人生のもしも

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もしもあの時ああしていればとか、
もしもあの時あんな事言っていなかったらとか、
人は人生の曲がり角を何度も反芻して考えたりします。
不可逆的な時間に生きている以上、
あの時に戻ってやり直す事は出来ませんが、
「今」がこうしてある事にもまた、
何万通りの可能性の中の一個という「奇跡」なのだと思います。
映画のタイトルの「パストライブス」とは「前世」という意味です。
西洋人にはこの考え方が無いそうです。
キリスト教には「輪廻転生」の概念が無いので、
この映画に於ける第三の男、
ナヨンの夫であるアメリカ人のアーサーにとっては、
幼馴染の二人の「運命」的な「縁」に対して
理解の範疇では無い所があるのかも知れません。
一度きりの人生だからこそ全力で向き合うという事もあります。
個人的には「前世」も「来世」も無い様に感じますが、
「袖すり合うも他生の縁」という言葉に於ける人智を越えた不思議な「縁」が、
何十億人も存在する人間の一人一人にあったとしたらと考えると、
途方も無さすぎて目が眩む思いです。
人生に於ける「もしも」を考え出したらキリが無い訳ですが、
主人公のナヨンがその中で今の自分を確固としていて、
愛する夫のアーサーと深く結び合っている事が、
途轍もない「奇跡」の様に見えてまた感動的なのです。
人生の縁を深く感じたい時に観る映画。
今作は忘れられない初恋の人を思い出したり、
もしあの時何かアクションを起こしていたらと空想したり、
人それぞれの感じ方・楽しみ方のある映画だと思います。
また今時としては珍しいフィルム撮影の美しさや、
物語にそっと寄り添う極上の音楽が魅力の作品でもあります。
良質な映画を世界に発信し続けるA24の作品群の中でも、
一際味わい深い余韻を残す作品だと思います。
人生の不思議と、
人と人との「縁」を味わえる切なくて暖かい映画です。
是非、自分の人生に於ける大切な人と鑑賞する事をお勧め致します。