画像引用:© 2020 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【Mr.ノーバディ】です。
2021年公開のアメリカのアクション映画。
冴えない中年オヤジが実は最強というコメディ色の強い作品。
こだわり抜いたアクションシーンの迫力と、
圧倒的なバイオレンスによって
自我を取り戻していくという規格外のキャラクター造形が新しい。
理屈抜きで引き込まれる一級のアクションドラマです!!
この映画はこんな人におススメ!!
●平凡な男の覚醒を見たい人
●期待を裏切る展開に飢えている人
●最強のオヤジに憧れる人
●家族の絆を取り戻したい人
タイトル | Mr.ノーバディ |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2021年6月11日(日本公開) |
上映時間 | 92分 |
監督 | イリヤ・ナイシュラー |
出演 | ボブ・オデンカーク、コニー・ニールセン、 RZA、クリストファー・ロイド |
封印していた本能を呼び起こしたい時に観る映画
古今東西数多あるアクション映画の系譜の中に、
一見普通に見える登場人物が
実は最強に強いというパターンの作品が散見出来ます。
今作の主人公も冴えない中年オヤジ。
家庭では妻と冷え切った関係で、
息子からも軽んじられ、
毎週のゴミ出しも収集の時間に間に合わず、
職場でも存在感の薄い人物。
しかしそんな男が実は最強の戦闘能力を持っているというパターンです。
これは言わずもがな荒唐無稽にして非常識的な絵空事なのですが、
本来の自分の姿をひた隠しにし、
現実の世界に順応しようと藻掻く現代人の姿としてこれを考えれば、
少し特異な状況ながら普遍性を帯びたテーマであると取れなくも無い作品と言えます。
圧倒的なバイオレンスシーンや、
執拗に練り上げられたアクションの数々は観ていて楽しく惹きつけられるのですが、
一人の中年男性が自分の本来の姿に戻りたいという欲求を、
願ってもなかった命の危険というシュチュエーションによって爆発させる様は、
ナンセンスなコメディという要素を通り越して
感動的ですらあると言えるのでは無いでしょうか。
覚醒した本能

画像引用:© 2020 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
主人公のハッチの生活は判で押した様な繰り返しの日々。
自宅と職場の往復、平穏ながらも単調で、
多くを望まず、それなりの幸せ。
しかし夫婦関係や親子関係は決して順調とは言えず、
日々悶々としたフラストレーションに苛まれてもいたのです。
実は彼はとある政府機関で活躍していた最強のエージェント。
その肉体一つで死線を潜ってきた生粋のタフガイだったのです。
彼は普通の人間として愛する家族と共に理想の家庭人として生きてきましたが、
その本能に染着いた正義感と暴力性は抑えつけようとすればするだけ、
内奥に軋轢を生み煩悶の日々を送る羽目になっていたのです。
この手のアクション映画によく見られるのが、
引退した元ヒーローというキャラクター。
ハッチも自ら普通の生活を選び引退したはずだったのですが、
世の不条理な暴力や腐った社会の行く末を按じるあまり、
ある日バスの中で傍若無人に暴れるならず者達に対して、
遂にぶちキレてしまうのです。
一旦暴力のスパイラルに足を踏み入れたハッチにはもう後戻りは出来ません。
ロシアマフィアから命を狙われる羽目になるのですが、
悪役達が可哀相に感じてしまう程の徹底的なバイオレンス。
ハッチの強さは実に肉感的で痛みを伴いながらも、
圧倒的な重量感で敵を踏みつぶしていきます。
この笑ってしまう程の強さ、
解き放たれた本能の獰猛さが過剰で映画としての目新しさを感じさせてくれるのです。
プリプリの本能

今日のおつまみは【海老トマト卵とじ】です。
我が家の常備食材である「海老」様。
彼のプリプリさ加減を最大限に味わうには、
シンプルに卵と合わせるのが一番なのでは無いでしょうか?
トマトの酸味も合わさればもう箸が止まりません。
白ワインに抜群に合う簡単レシピです。
忘れていた自分らしさ

画像引用:© 2020 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
今作の他との差異は、
アクション映画というジャンルに自己再帰の概念を、
コミカルに取り入れた点であると思います。
元最強のエージェントである主人公のハッチは、
自ら普通の生活を選び引退し時も経って居るので当然身体も鈍っています。
彼が本来の暴力性に目覚めるキッカケとなる映画中盤のバスの中のシーンでは、
複数人のチンピラ達と実にリアルな乱闘を繰り広げるのですが、
主人公もナイフで刺され、手酷く殴られ、その痛みが物凄くリアルで、
観ている私達も痛い程。
彼にとっては久方振りの実戦。
鍛え上げられた嘗ての自分の肉体とは勝手が違う。
ボロボロになりながらもその中で相手をなぎ倒す喜びが芽生えていくのです。
このシーンでの主人公の内面の変化が物語全体にとって重要な分岐点で、
その後のマフィアとの本格的な抗争はそこからの尾鰭の様な付属物にすら感じられる程。
ハッチがバイオレンスを取り戻すバスのシーンがそれだけ傑出して素晴らしいのです。
人は加齢と共に現実と折り合いを付けて生きていきます。
それはどんな立場にある人間でも多かれ少なかれある物。
封印していた自分自身の暴力性。
抑えつけていただけで実は彼はこれを解き放ちたくて仕方無かったのでは無いでしょうか?
正義の為に、家族の為に、不正を正す為にと名目はあれど、
ハッチの欲望はただ目の前の悪を完膚なきまで叩く事。
そのカタルシスに渇望していたのです。
封印していた本能を呼び起こしたい時に観る映画。
自らの欲望の為に法を犯す事は許されません。
しかし自分らしさを取り戻す唯一の方法が暴力であったのならば、
もうそれは世直しという道しか残されていません。
非情に荒唐無稽で馬鹿馬鹿しい映画なのですが、
その一貫した人間の業の肯定が潔く、
それがナンセンスであればあるだけ魅力に映る不思議な作品だと思います。
是非、嘗ての自分の本能を呼び起こしたいという時に、
笑いながら胸に熱いものが過るこの映画をお勧め致します!!