恋愛映画

映画【君の名前で僕を呼んで】おつまみ【ごぼうの唐揚げ】

画像引用:© Frenesy, La Cinefacture

この映画はこんな人におススメ!!

●同性愛を扱った作品が好きな人

●イタリアの美しい風景が観たい人

●多感な時期の内証を体感したい人

●忘れられない恋の思い出に浸りたい人

タイトル君の名前で僕を呼んで
製作国アメリカ、ブラジル、イタリア、フランス
公開日2018年4月27日(日本公開)
上映時間130分
監督ルカ・グァダニーノ
出演ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、
マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール

恋の痛みを味わいたい時に観る映画

強烈な陽光が降り注ぐ北イタリアの田舎町。

麗しき有閑貴族達の気怠いバカンスの一時。

ハイスペックな人種達によるハイスペックな心の交感。

正に眼福としか言いようの無い様な、

市井の民には生涯縁の無い天上の世界の戯れ。

この映画は実に映画らしく、

私達に現の世界の些事を忘れさせ、

一時夢の世界に誘ってくれます。

「プリンス・オブ・ハリウッド」の異名を持つティモシー・シャラメが、

繊細でウブなティーンを演じ切り、

アカデミ―賞に初めてノミネートされた作品でもあります。

監督はイタリア出身のルカ・グァダニーノ。

2009年の【ミラノ、愛に生きる】や2015年の【胸騒ぎのシチリア】などで、

情熱的であり退廃的でもある作風で高い評価を挙げた彼は、

今作の後も2018年の【サスペリア】や2022年の【ボーンズ アンド オール】で、

更なる注目も集めています。

今作はアンドレ・アシマンの同名小説を【日の名残り】などで知られるベテラン監督、

ジェームズ・アイヴォリーが脚色し、

2010年公開のタイ映画【ブンミおじさんの森】の撮影を担当した

サヨムプー・ムックディプロームが美しい映像を撮影しました。

非ハリウッドの世界中の才能が集結し、

クラシック映画の様な落ち着いた雰囲気の恋愛映画をたっぷりとした叙情で描く。

正に映画の王道を往く、細部にまで手の込んだ確かな仕事を感じられる作品なのです。

運命の出会い

画像引用:© Frenesy, La Cinefacture

物語は主人公のエリオの一家がバカンスを過ごす北イタリアの田舎町に、

アメリカから大学院生のオリヴァーが大学教授である父親の助手として

やってくる所から始まります。

17歳の繊細で多感な青年エリオと、

24歳の才気溢れる自信家オリヴァ―との出会い。

正に好対照なキャスティングで二人の対比を序盤で描いていきます。

線が細い中性的な雰囲気を纏うエリオ役のティモシー・シャラメと、

快活でマッチョなオリヴァー役のアーミー・ハマー。

この映画では登場人物のモノローグを排し、

風景と表情と会話だけで説明的な描写を敢えてせずに

如実に感情表現をしている所が素晴らしいです。

観客の我々もその場に居合わせた様な気分で、

登場人物達の人間性や関係性を体感していく展開。

徐々に彼等の特性が分かってきて、

それをまるで自分達の感受性で得た様な感覚で見せてくれる。

そんな絶妙な匙加減が巧い監督だと思います。

二人は互いの出方を牽制し合う様に、

手の内を探り合う様に次第に関係を深めていきます。

異性間であろうが同性間であろうが人が出会い理解を深めていく様には、

ハラハラさせるサスペンス要素とドキドキさせる感情移入が付き物。

何かが確かに進行しているという高揚感が、

映画をドラマチックなものにしています。

旨くて健康的は最強

今日のおつまみは【ごぼうの唐揚げ】です。

整腸効果大のキング・オブ・食物繊維食材。

大人になってから益々ごぼうの旨さに目覚めましたが、

唐揚げにしても旨いとはもう脱帽です。

鶏の唐揚げと同じ様に下味を付けて、

片栗粉をまぶして油でカラッと揚げるだけ。

ごぼう独特の滋味と歯応えがたまりません。

これはビールが合うかと思います。

人生の美しい瞬間

画像引用:© Frenesy, La Cinefacture

二人は互いに相手を慈しみ、

その一瞬の輝かしい時に身を委ねました。

その愛情の余りの苛烈さと純粋さは、

それが永遠に続かない事を予見する切なさも内包していました。

自分の気持ちに戸惑い、傷付き、怯えるエリオの純真は、

少し大人であるオリヴァーの心にも深く突き刺さるナイフであったのです。

映画の様な恋と良く言いますが、

恋愛映画が最も盛り上がるのは「赦されぬ愛」「秘めた恋」です。

ジェンダーへの啓蒙理解が広まった昨今であっても、

同性愛を扱った映画はまだまだジャンルとしてスタンダードであるとは言えません。

今作の素晴らしい所は当人同士の葛藤の傍らで、

エリオの両親が彼等を優しく見守っている所では無いでしょうか。

全て分った上で、何も言わず、距離を置いて見守る。

そして悲しみ、傷付いたエリオをそっと包み込み、

飾らない言葉で心からの真意を伝える。

エリオの父親役のマイケル・スタールバーグが息子に言葉を掛けるラストシーンは、

数ある親子関係を描いた映画の中でも屈指の名シーンなので是非ご覧頂きたいです。

恋の痛みを味わいたい時に観る映画。

美しい風景の中で、優しく寛大な家族や友人達に囲まれ、

生涯で最高の恋に没頭したひと夏を過ごしたエリオ。

実にポエティックで観念的な作品ですが、

リアルで実在感のある人間を描いた骨太の映画です。

撮影も、演技も、音楽も本当に素晴らしいので、

未見の方は是非おススメ致します!