画像引用:© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【レヴェナント:蘇えりし者】です。
2015年公開のアメリカのサバイバル・アクション映画。
2014年の【バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)】で
第87回アカデミー賞の監督賞を受賞した
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが共同脚本・監督。
そして主演には今作で念願のオスカーを獲得した
レオナルド・ディカプリオが迫真の演技を見せます。
西部開拓時代に実在した一人の猟師の、
過酷なサバイバルと復讐劇を描いた
壮大なアクション大作になっています!
この映画はこんな人におススメ!!
●壮大なアメリカの景色が観たい人
●西部開拓時代の雰囲気を味わいたい人
●究極のサバイバルを疑似体験したい人
●執念の生命力を目撃したい人
| タイトル | レヴェナント:蘇えりし者 |
| 製作国 | アメリカ |
| 公開日 | 2016年4月22日(日本公開) |
| 上映時間 | 156分 |
| 監督 | アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ |
| 出演 | レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター |
極限下の生命力を目撃したい時に観る映画
この壮絶な復讐劇を作り上げたのは、
メキシコ出身のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督。
2000年の【アモーレス・ペロス】で世界中の批評家から絶賛され、
独自の映像美と深い洞察力で
数々の骨太ドラマ作品を演出してきました。
クリストファー・ノーランやポール・トーマス・アンダーソンと並んで、
今現在最も新作が待ち望まれる巨匠の一人だと思います。
彼の映画の主人公は一様に何か大切な物を失ってしまった人物達。
それは監督自らが最愛の息子を亡くすという悲劇を経験し、
喪失感を乗り越える人間の生命力を描く事をライフワークとしているからなのです。
彼は前年に公開された【バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)】と
今作により2年連続でアカデミー監督賞を受賞するという快挙を成し遂げました。
更に今作の雄大な大自然を恐ろしいまでにリアルに写し取った
撮影監督のエマニュエル・ルベツキは、
史上初めて3年連続でアカデミー撮影賞を受賞しました。
全て自然光での撮影に拘り、
過酷な状況の中で信じられない程の
美しい映像を残した彼の功績は計り知れません。
そして音楽は監督が熱望した坂本龍一が担当。
この時既に病魔に襲われていた彼も、
監督の作品の熱心なファンであった事から引き受け、
作品に寄り添う格調高いスコアを提供しています。
正に世界中のプロフェッショナル達が尋常では無い情熱を注ぎ込み、
圧倒的な作品を作り上げてしまった一つの事件とも言える映画なのです。
徹底したリアリティの果てに

画像引用:© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
物語は19世紀の西部開拓時代のアメリカ北西部。
この未開の地にはいくつもの先住民達がいて、
侵略者である白人達とは敵対関係にあります。
レオナルド・ディカプリオが演じる主人公のグラスは、
土地勘のある猟師で、毛皮ハンター達のガイド役として帯同しています。
彼は先住民の妻との間に一人息子がいて、
妻を失った彼にとってはその息子だけが生き甲斐でした。
しかしハンターの一人の汚い裏切りによって、
目の前でその息子を刺殺され、
自分も熊に襲われ瀕死の状態で
極寒の荒野に置き去りにされてしまうのです。
正に絶望的な状況の中、
彼は息子の復讐の為にのみ命を繋ぎ、
驚異的な生命力で敵を追い詰めていくという物語なのです。
カナダで行われた撮影は時にマイナス20℃にもなる様な過酷な環境。
その中でもリアリティに拘る監督は、
オールロケの自然光のみで撮影。
CGやスタントは極力避けて、
主演のディカプリオは極寒の雪景色の中で裸になったり、
川に飛び込んだりと壮絶な環境下での演技を続けました。
時に生肉を食べたり、川魚を生で食いちぎったり、
信じられない様な役者魂を見せ付けています。
この徹底したフィジカル重視の撮影が、
圧倒的なリアリティを生み出し、
私達にその場に居合わせた様な臨場感を与え、
主人公に対する強い感情移入を促すのです。
2時間半という長尺の作品なのですが、
何日も何か月も彼等と共に、
未開の地を彷徨い歩いた様な感覚に陥ってしまいます。
主人公が感じる絶望。
深い悲しみと怒り。
しかしそれさえもちっぽけなものに感じさせてしまう様な大自然。
極力装飾的な演出を排し、
必要最低限の効果音と音楽のみで、
登場人物の呼吸の音や、
鼓動まで伝わってくる様なヒリヒリとした臨場感。
観ていてこれ程までに息苦しく、
痛みを感じる映画も他に無いと思います。
おふくろの味

今日のおつまみは【筑前煮】です。
先日隣県の実家に遊びに行った時に、
母親手製の煮物を土産に持たされました。
大根・人参・椎茸・鶏肉・蒟蒻を
醤油・酒・味醂で煮た至ってシンプルな料理。
決して料理上手とは言えない母親の精一杯の一皿が、
この極限のサバイバル映画を観ていた息子には染みました。
絶望の果てに男が見たもの

画像引用:© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
今作の主人公であるヒュー・グラスは実在の人物。
熊に襲われ瀕死になりながらも、
300キロもの距離を一人で歩き生還したという逸話が残っているのです。
彼の不屈の精神に触れていると、
人間には不可能なんてないのかも知れないとふと思ってしまいます。
現代の便利で至れり尽くせりの社会に生きていながら、
足りぬ足りぬと不平不満ばかり吐く私達にとって、
この時代の人間達の深い悲しみと不条理は
想像を絶するものがあります。
人一人の命の何と軽い事か。
何も担保されず虫けらの様に踏み潰される人々。
モラルも権利もましてコンプライアンスなどとは無縁の時代。
将来どころか明日の無事すら定かでは無い。
正に極限までに研ぎ澄まされたシンプルさの中にあった苦難の歴史。
家族を失い、生活を失い、
ただ生き残る為にその日一日の体力を尽くし、
絶望の果てに復讐の想いのみが歩を進ませる。
このグラスという壮絶な生の塊を、
全身全霊で演じきったレオナルド・ディカプリオの
パフォーマンスは映画史に残る名演であったと思います。
更に今作のもう一つの大きなテーマは、
アメリカの血塗られた歴史に触れている点でもあります。
300年以上に亘る入植者と先住民との争い。
土地を奪い、資源を奪い、信仰を奪い、
彼等の生活の悉くを破壊したアメリカの歴史。
今尚続く帝国主義的な侵略と利権争いに、
この映画は声高では無く静かな抵抗を試みようとしています。
憎しみの負の連鎖を断ち切る為に、
憎き敵を追い詰めたグラスはトドメをさす事を止め、
その命運を神に託すのです。
結果としては裏切者は無惨に先住民達によって殺されるのですが、
恨みを晴らす事で得られるものに
執着しない主人公の精神性に尊いものを感じました。
極限下の生命力を目撃したい時に観る映画。
本当に圧倒的な映像体験です。
日の入り直後の数十分間しか保たれない
俗にいうマジックアワーという時間帯に撮影をし、
失敗の許されないプレッシャーの中で、
あれだけ多くの出演者達が一斉に動くシーンを撮影しているのです。
尋常で無い綿密な撮影プランの中で、
完璧なスタッフワークが必要とされる現場なのです。
それだけやっているからこその映像の説得力。
そのプロの迫力にこそ映画のテーマの根幹が宿っているのです。



