アクション映画

映画【レザボア・ドッグス】おつまみ【生春巻き】

画像引用:IMDB

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【レザボア・ドッグス】です。

1992年に制作されたクエンティン・タランティーノ監督のデビュー作。

演技巧者達による緊張感満点の会話劇。

その後の犯罪映画に多大な影響を与えたスタイリッシュな作品です。

この映画はこんな人におススメ!!

●演劇の様な臨場感のある映画が観たい人

●巧い脚本に唸りたい人

●複雑な群像劇が観たい人

●若きクエンティン・タランティーノの才能に触れたい人

タイトルレザボア・ドッグス
製作国アメリカ
公開日1993年4月24日(日本公開)
上映時間100分
監督クエンティン・タランティーノ
出演ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、
マイケル・マドセン、クリス・ペン、
スティーヴ・ブシェミ、クエンティン・タランティーノ

時代の最先端を走った作品を再確認したい時に観る映画

今回はころっぷの青春の一作のおススメです。

映画に興味を持ったのが中学生だった90年代。

この当時ハリウッドを席巻していたのがクエンティン・タランティーノ監督でした。

スタイリッシュな映像。ハイセンスな音楽の選曲。

小粋な会話とクールなファッション。

映画少年の憧れを一手に集めたこの【レザボア・ドッグス】という作品は、

その後の犯罪映画のトレンドを変えてしまった程のセンセーショナルな衝撃でした。

黒スーツと黒ネクタイにサングラスで揃えた強面集団の颯爽とした姿に、

不良に憧れる年頃の映画少年達はワクワクしたものです。

余りにも有名な映画冒頭のレストランでのシーン。

タフな犯罪者達が楽しそうに下らないジョークを長々と披露し合うこのシーンは、

その後タランティーノ監督の代名詞として、映画ファンの語り草となりました。

先の読めないサスペンス映画としても良く出来た脚本で、

何度観てもハラハラドキドキの緊迫感にシビレてしまいます。

映画史にその名を刻む、愛すべき映画オタクのクエンティン・タランティーノが、

満を持して世に出る事となった記念碑的作品。

映画ファンであれば当然観ていなければならない作品の一つであると言えるでしょう。

危険な男達のリアリティ

画像引用:IMDB

物語は宝石強盗の為に集められた互いに素性を知らないならず者達の中に、

1人裏切者がいるという設定。

一癖も二癖もある個性的なメンバーの疑心暗鬼な探り合いが、

ハラハラドキドキさせるサスペンス映画になっています。

ハードボイルドな犯罪者達がタフな所を見せ付けるハリウッドクラシックな

スタイルを踏襲しつつも、タランティーノの描く犯罪者達は兎に角人間臭い。

それぞれのキャラクター造形や性格付けに匂い立つ様なリアリティがあって、

そのユーモラスな描写についつい感情移入させられてしまうのです。

通り一遍では無い、複雑な厚みを持った人物造形がまずあって、

そこから荒唐無稽なハイテンション展開に向かうので、

観客達はぐっと臨場感を持って事の成り行きを見守ってしまうのです。

この辺りがタランティーノ監督の素晴らしい才能だと思うのですが、

その後の【パルプ・フィクション】にしても【キル・ビル】シリーズにおいても、

普通では無いキャラクターの普通では無いが故のリアリティというのが、

他の作家には出せないニュアンスなのだと思います。

観ている方がついニヤニヤしてほくそ笑んでしまう様な強烈なブラックユーモア。

本当にギリギリというか、

スレスレアウトな描写を楽しんでいる内に、目撃者として共犯にされられてしまうのです。

この映画もとんでもない悪趣味なジョークの連続なのですが、

これをクールに受け取ってこそ、映画通であるという様な踏み絵的通過儀礼が、

90年代のタランティーノ信仰の本質だったのでは無いでしょうか。

そういった時代の寵児になる要素を、

自覚的に持っていたとしか思えない策士としての才能を、

この頃のタランティーノ監督は持っていたのだと思います。

寄せ集めの個性派

今日のおつまみ【生春巻き】です。

3パターンの具材でバラエティ豊かな味の演出。

焼き豚入りのこってり巻き。

鶏のササミ入りのさっぱり巻き。

ハムと枝豆入りのヘルシー巻き。

個性豊かなキャストがそれぞれの持ち味を発揮する作品を観ながら、

食材の個性にも舌鼓。

夏らしいピッタリのおつまみでした。

映画の正義

画像引用:IMDB

この映画は大袈裟な言い方をすれば、

本当の意味で映画の歴史を変えた作品であると言えます。

何を変えたかと問われれば、映画を観る私達の固定概念を変えたのだと思います。

作り手側が試行錯誤して作り上げた所謂ハリウッド的なスタイルという物を、

観客達はいつの間にかそれが当たり前のリアルであるかの様に傍受していました。

脚本はパターン化し、演技は型にハマり、予算に見合った演出と仕掛けに喜び、

それが映画であると従順に飼い慣らされていたのです。

しかし、この【レザボア・ドッグス】を観た観客達は度肝を抜かれたのです。

映画の冒頭、宝石強盗をこれから働こうという犯罪者達が腹ごなしにダイナーで

食事を取るシーン。

如何に緊迫感を盛り上げていこうかという大事な冒頭のシーンが、

マドンナの【Like a Virgin】に対する極端過ぎる解釈のギャグ話や、

ウェイトレスにチップを払う必要は無いというどうでもいい話が永延と繰り広げられる。

まるで緊張感の無いダラけた雰囲気で、本筋と関係の無い無駄話に興じるこのシーン。

ここにそれまでの映画には無かったリアリティと温度感があったのです。

人間は悲しい時に笑い、可笑しい時に泣き、

大事があっても下らない事を考える様な生き物です。

それは勿論当たり前の事なのですが、

それをわざわざ映画の大切な冒頭のシーンでやってのけるという事が、

誰も思いつかない大それた演出だったのだと思います。

パターンに慣れ切った私達の思考はパニックに陥ります。

衝撃的なオープニングです。

正に映画の歴史は思っても見なかった形で変化を迎えたのだと思います。

時代の最先端を走った作品を再確認したい時に観る映画。

少し大仰な熱弁になってしまいましたが、

若かりし頃のころっぷにとっても、

映画にのめり込むキッカケとなる作品だったので少し興奮気味な記事になりました。

でも本当に未見の方には是非観て欲しいと思う作品です。

映画とはルールが大事なのでは無く、

やった者勝ちな世界。

人と違った事で面白いと感じさせた者が正義なのです。

今回改めて鑑賞して心に火を点けられた様な気持ちです。

ありがとう!タランティーノ!!