画像引用:© 2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【アバター】です。
言わずと知れた歴代興行収入NO.1のSF超大作。
監督・脚本はジェームズ・キャメロン。
驚異的な3DCGの映像。
先住民達との侵略戦争を描いた政治的メッセージ。
自然の力と文明との衝突を訴えたテーマ性。
マイノリティとマジョリティの問題を描きつつ、
如何に生きるべきかという根源的な主題に迫る、
壮大な叙事詩的超大作。
正に映画の歴史を塗り替えた必見の作品です!
この映画はこんな人におススメ!!
●圧倒的な映像美を観たい人
●新しい映像技術に目が無い人
●SFを通して人類の負の歴史を学びたい人
●超越した何かしらの力を感じたい人
| タイトル | アバター |
| 製作国 | アメリカ |
| 公開日 | 2009年12月23日(日本公開) |
| 上映時間 | 162分 |
| 監督 | ジェームズ・キャメロン |
| 出演 | サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、 シガニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング、ミシェル・ロドリゲス |
映画の新しい夜明けを目撃したい時に観る映画
世界中で30億ドル以上の興行収入を得て、
歴代最高記録を現在も維持している正に歴史的大ヒット映画。
作品の出来不出来を語るに興行収入だけで判断する事は出来ませんが、
これだけ多くの観客に支持されているという現実を無視する訳にもいきません。
今作が劇場公開時に特にセンセーショナルな話題となった要因の一つに、
3D上映があります。
所謂劇場で3D眼鏡を掛けて鑑賞するという例の奴です。
最近では余り見掛けなくなっていますが、
当時誰もが新しい映画の幕開けを見届けようと、
劇場に足を運んだものです。
無声映画がトーキーになった瞬間。
モノクロ映画に色が付いた瞬間。
後に伝説として語られるそれらの革新に並び評される、
【アバター】という作品の驚異的な映像は、
年月を経た今改めて鑑賞してもその特出した映像美が色褪せる事はありません。
1984年の【ターミネーター】で脚光を浴びて以来、
1991年の【ターミネーター2】、1994年の【トゥルーライズ】とヒットを連発。
1997年には極めつけの記録的大ヒット映画【タイタニック】を監督し、
ジェームズ・キャメロンは名実ともにハリウッド最高の映画監督となりました。
そんな彼が正に生涯を掛けて取り組んだ集大成として、
全5部作で構想した大河ドラマこそが、
この【アバター】シリーズなのです。
伝統と革新の物語

画像引用:© 2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.
今作の物語には古今東西の様々な作品や宗教的モチーフから材が取られています。
その基本的ラインはアメリカの西部劇にあります。
所謂侵略者としての白人達が未開の地に攻め入る。
まだ見ぬ莫大な資源を奪う為に、先住民達との争いとなる。
そして侵略者側にあった主人公と先住民側の娘とが恋愛関係に陥る所は、
「ポカホンタス」などで描かれてきたモチーフを踏襲しています。
そこには少なからず宮﨑駿監督の「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」からの
影響も垣間見え、今作の主人公であるジェイクにはキリストの姿が投影されていたり、
SF超大作によく見られる様な宗教的なモチーフが至る所に散見出来ます。
正にジェームズ・キャメロンにとって集大成として長い間構想を練ってきた作品だけに、
その物語の重厚で幾重にも折り重なるテーマの深さには驚かされます。
まるでネイティブアメリカン達の暮らしの様に、
自然に対し畏敬の念と深い信仰をもつ「パンドラ」の民ナヴィ。
彼等に対して云わばスパイとして潜入する主人公のジェイクが、
次第に人類が文明の利器と引き換えに失ってしまった
「力」に目覚めていくというストーリーが、
ジェームズ・キャメロンの道徳観として打ち出されている様です。
素朴な暮らしの中に豊かな知識と技術を持ったナヴィの人々。
自然や動物達と意識を共有し、
全てと繋がり命を全うする誇り高き種族。
マイノリティとマジョリティの関係性が、
資本主義社会と自然主義の対比が、
遥か彼方の惑星の物語として私達に強く問い掛けてくるのです。
「幸せ」とは何か?
「生きる」事の意味とは何か?
この辺りのファンタジー設定を現実社会に結び付けて描く手腕が、
凡百のSF映画を今作が一線を画す所であるのでしょう。
おつまみの夜明け

今日のおつまみは【ポークリエット】です。
妻の誕生日のリクエストに応えて、わたくころっぷが作りました。
豚バラ肉を玉葱の細切りと共に炒め、
その後白ワインでくたくたになるまで2時間程煮込みます。
十分に柔らかくなった肉をフォークの背で圧し潰し、
煮汁を少しづつ混ぜながら練っていきます。
塩コショウで味を整え冷蔵庫で冷やし固めれば完成。
シンプルな料理ですがこれがまたすこぶる旨いのです。
バゲットに塗って白ワインを共に。
特別な日の特別な一品です。
壮大な叙事詩の始まり

画像引用:© 2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.
この【アバター】という作品は5部作構成になるそうです。
既に2022年には二作目の【アバター ウェイ・オブ・ウォーター】が公開され、
2025年に三作目の【アバター ファイアー・アンド・アッシュ】が公開。
撮影技術の進化に合わせその映像表現も作品毎にパワーアップし、
壮大な物語もより深淵なものへとなっているようです。
ジョージ・ルーカスが生み出した「スターウォーズ」シリーズの様に、
その作品自体が一つの神話として長く語り継がれる事になるのでしょう。
160分以上の長尺にも関わらず、
一切の中弛みを感じさせない展開力とアクションシーンの迫力、
美しい風景描写やユニークな笑いの要素。
最先端の映像技術を駆使しながら普遍的なテーマを正面から描く作家性。
数々の作品で己の演出家哲学を貫いてきたジェームズ・キャメロンであるからこそ、
その全てを詰め込んだこの「アバター」シリーズは人を惹き付け続けるのかも知れません。
コンピューター上の仮想空間に於いて、
自分の分身として存在し行動する為に作られた「アバター」という概念。
私達が映画を観て主人公達に感情移入する時に生じる「没入感」が、
そのままテーマになっている所も実に興味深い所です。
自分であって自分では無い存在。
大きな力を持ち、実生活とは違ったコミュニティに於いて存在価値を与えられる。
そこに少なからずある変身願望や自己肯定を実現してくれる存在。
人間の飽くなき欲望が生み出した存在とも言える「アバター」が、
自分自身と置き換わって生まれ直すこの映画のラストシーンに、
キリストの復活を重ねる人も少なくないと思います。
正に「パンドラ」の救世主として生まれ変わったジェイクの行く先も気になりますが、
長いシリーズの幕開けとして、
強烈に完成した世界観を見せ付けたエポックメイキングな映画だったと思います。
映画の新しい夜明けを目撃したい時に観る映画。
130年前にリュミエール兄弟が映し出した工場から出てくる人々のフィルム。
これが映画の誕生と言われていますが、
そこから考えると本当に信じられない様な進化です。
更にこれからどんな進化を見せてくれるのか。
我々映画ファンにとって「アバター」シリーズが見せてくれる驚愕の映像の中に、
その行く末のヒントがある様な気がします。



