SF映画

映画【ブレードランナー】おつまみ【サーロインステーキ】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【ブレードランナー】です。

言わずと知れたSF映画の金字塔。

1982年に公開されたリドリー・スコット監督作品。

降りしきる酸性雨と妖しいネオン看板が印象的な退廃的未来世界。

後のクリエイター達に絶大な影響を与えた唯一無二の傑作です。

この映画はこんな人におススメ!!

●SF映画の歴史に興味がある人。

●退廃的な雰囲気が好きな人

●フィルム・ノワールが好きな人

●先鋭的なデザインが見たい人

タイトルブレードランナー
製作国アメリカ、香港
公開日1982年7月10日(日本公開)
上映時間117分(ファイナル・カット)
監督リドリー・スコット
出演ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、
ショーン・ヤング、ダリル・ハンナ

退廃的なムードに浸りたい時に観る映画

古今東西、数え切れない程のSF映画が存在しますが、

この作品が与えたインパクトはその後の歴史を変えてしまったと言っても

過言は無いでしょう。

アメリカのSF作家・フィリップ・K・ディックの

【アンドロイドは電気羊の夢を見るか?】を大胆に脚色し、

レイモンド・チャンドラーの探偵小説の様なハードボイルドな世界観に演出されています。

特筆すべきはそのトータルデザインで、

アメリカの工業デザイナーのシド・ミードによる革新的でレトロスペクティブな美術は、

近未来の奇妙で退廃的な雰囲気を見事に視覚的に表現しています。

更にフランスの有名な漫画家であるメビウスがデザインした衣装。

ギリシャの作曲家・ヴァンゲリスによる革新的な音楽。

著名な特撮監督であるダグラス・トランブルによるVFXは、

当時の映画界に衝撃的なインパクトを与えました。

超一流のスタッフ陣に加え【スターウォーズ】のハン・ソロ役や、

【レイダース/失われたアーク】のインディー・ジョーンズ役で人気絶頂だった、

ハリソン・フォードのニヒルで孤独な役柄も印象的です。

80年代の科学が自然を破壊するというグローバル的な風潮を、

レトロなフィルム・ノワール調で描いたこの作品は、

公開当時は暗く難解な作品として不評でした。

しかし映画ファンの間でその先鋭的なデザイン性と普遍的が高く評価され、

次第にカルト的な人気作品へとなっていくのです。

今は過去の近未来

画像引用:IMDb

物語は2019年のロサンゼルスが舞台になっています。

今は既に過去になってしまいましたが、映画が公開された1982年当時では

まだ近未来という事になります。

環境破壊が進み宇宙への移住が進む中で、高い知性と優れた体力を持った「レプリカント」

と呼ばれる人造人間が労働力として酷使されています。

やがて自我を持った彼等は人間に反旗を翻し、

それを取り締まる専門の捜査官が「ブレードランナー」と呼ばれる人間達でした。

ハリソン・フォード演じる主人公のデッカードは、

既に引退したベテランの「ブレードランナー」でしたが、

最新鋭の「レプリンカント」が地球に潜入した為に捜査に加わる事になります。

この映画の最大の特徴である2019年のロサンゼルスの街並。

映画全編に渡ってこの街の猥雑で退廃的な雰囲気が作品のトーンを決定しています。

監督のリドリー・スコットは香港の街並と新宿の歌舞伎町から着想を得て、

冷たい雨が降りしきる、妖しいネオンに照らされた未来都市を作り上げました。

傘を差し、通りに溢れ出る雑多な群衆。

暗い夜空と、けばけばしい電光看板のコントラスト。

フィルム・ノワール調の陰影が強いライティングで描かれたこの街の景色そのものが、

この映画の登場人物達の深い孤独を表現しています。

自然破壊の行く先に待つ、混沌と孤独に満ちた世界。

豊かさや利便性を追求した人間の恐ろしい末路を予見させる様な、

シニカルで暗喩的なイメージがこの映画を特別なものにしています。

リドリー・スコット監督のフィルモグラフィには、

科学技術の行く末に警句を発するテーマが常に見え隠れします。

エンターテイメント性を損なう事無く、観客を思索させるそのバランス感覚が、

長くハリウッド映画でヒット作を制作し続ける秘訣なのかも知れません。

秋の肉食

今日のおつまみは【サーロインステーキ】です。

朝晩の寒さを感じる季節になり、ここら辺でスタミナを付ける為にも肉食です。

スーパーの安売り肉でも、ル・クルーゼのグリルパンで焼き上げると

立派に見えます。

付け合わせの野菜もグリルパンで焼き目を付けて。

かぼちゃ、白茄子、椎茸、パプリカはシンプルに塩・胡椒で焼くだけ。

マッシュポテトはさつま芋で。バナナのキャラメリゼも添えて。

普段よりも少し良い赤ワインをお供に。

レプリカントはどんな夢を見るのか?

画像引用:IMDb

フィリップ・K・ディックの原作小説とは大分違う物語になっていますが、

近未来への警句という根底のテーマは共通するものがあります。

我々の目の前で今まさに「A.I」技術が革新的な発達を遂げています。

最新の人工知能とロボット技術で映画の様な「レプリカント」が人間に替わって、

様々な労働に就く日はそう遠く無いでしょう。

映画では限りなく人間に近い存在になった

「レプリカント」と人間との愛情を一つのモチーフにしています。

主人公のデッカードは「レプリカント」であるレイチェルに惹かれていくのです。

人間そっくりに作られた「レプリカント」という存在を通して、

「人間」とは何なのかという普遍的なテーマに踏み込んでいく。

主人公の孤独な心を変えていくのが「レプリカント」であるという皮肉が、

痛烈に観客の心にしこりを残すのです。

「人間」を「人間」とたらしめる要素は、

「人間」によって精巧に作り上げる事が出来る。

そこに「本物」であるとか「偽物」である事の根本的な意味は無くなってしまいます。

それが「人間」の存在の不確かさ、あやふやさを暗に表現しているのです。

人類の歴史が弛まぬ推進力で発展させ続けてきた科学技術や様々な学術的発見が、

「人間」の本質という所に集約される哲学的な物語であると言えるのかも知れません。

退廃的なムードに浸りたい時に観る映画。

この映画はその後のSF映画の方向性を決めてしまった様な

エポックメイキングな作品の一つです。

時の洗礼を受けても古びれる事も無く、

幾多の考察に耐えうる懐の大きさを持った作品。

数々のヒット作を世に放ったリドリー・スコット監督の、

弛まぬ創造性が生み出した今作は、

映画ファンなら避けては通れない傑作と言えるでしょう。