画像引用: (C)2021 Focus Features, LLC. All Rights Reserved
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【ブルー・バイユー】です。
2021年に製作されたアメリカの社会派ドラマ。
国際的な養子縁組制度の問題を扱い、
家族とは何かという深いテーマを問う作品です。
韓国系アメリカ人の俳優ジャスティン・チョンが、
脚本・監督・主演を務めた渾身の映画。
美しい映像と見事な演技で、
涙無くしては観られない感動の作品になっています!
この映画はこんな人におススメ!!
●アメリカの社会問題に関心がある人
●家族とは何かを考えたい人
●自身のアイデンティティについて考えたい人
●人生における大きな岐路に立たされている人
タイトル | ブルー・バイユー |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2022年2月11日(日本公開) |
上映時間 | 118分 |
監督 | ジャスティン・チョン |
出演 | ジャスティン・チョン、アリシア・ヴィキャンデル、マーク・オブライエン、 シドニー・コワルスケ、リン・ダン・ファン |
家族について考えたい時に観る映画
今作は涙腺崩壊を覚悟して鑑賞して頂く必要があります。
丁寧に積み上げられた登場人物達の関係性が一気に我々の琴線を突き破ります。
監督・脚本・主演を務めたのは韓国系アメリカ人の俳優ジャスティン・チョン。
自身のアイデンティティにも大いに関する所の人種問題や、
多人種間による養子縁組に関する問題点などを提起した作品になっています。
アメリカの移民法では2000年以前に国際養子縁組をした子供達に対しては、
市民権を与えてこなかったという事実があります。
この制度によってアメリカ国籍を持たない移民達が、
不法滞在者として家族や友人と別れ国外退去処分を受けてしまう事もあるのです。
ただ家族と平和に暮らしたいという願いを叶えられない人々がいるという事。
制度には様々な事情・背景があるにしても、
これを他人事では無く考えて欲しいという監督の想いが、
この作品の根底には流れているのです。
またこの不完全な制度によって分かたれる一つの「家族」の姿を通して、
「家族」とは何かという普遍的なテーマを今作は私達に問い掛けてもいます。
移民問題は決して他人事ではありません。
日本でも海外からの長期滞在労働者数は増加し続け、
将来的には全人口の1割程度になるだろうという予測もあります。
我々の暮らす社会の変化に如何に向き合うべきなのか。
この映画が描く「家族」の姿はきっと多くの事を私達に教えてくれるはずです。
断絶と格差
画像引用: (C)2021 Focus Features, LLC. All Rights Reserved
やはり時事的に大きな出来事として無視出来ないのは、
ドナルド・トランプ氏のアメリカ合衆国大統領再就任でしょう。
彼個人に関しては人それぞれに意見が分かれる所だとは思いますが、
その政治的思想の中に「断絶」や「差別」の影が色濃く存在する事には、
深い懸念を感じざるを得ません。
メキシコ国境沿いに関する政策にもそれは現れていますが、
強烈なアメリカン・ファーストを打ち出す剛腕振りには、
怒りというよりも悲しさを覚えてしまいます。
この物語の主人公であるアントニオは韓国で生まれ、3歳でアメリカに渡ってきました。
国際養子縁組をしていますが当時の移民法では市民権を与えられず、
30年以上アメリカで生活していて尚、不法滞在者という事になってしまいます。
妻とその連れ子と供に仲睦まじく暮らす彼に、
ある日唐突に残酷で理不尽な仕打ちが振り落とされてしまいます。
不法移民による犯罪、特に麻薬密売に悩まされるアメリカ社会にとっては、
「分断」と「差別」は不可避的な現象なのかも知れません。
しかし制度的な不備によって、
ある日突然家族から引き離される様な事はあってはならない事です。
経済的な理由で正当な裁判手続きも困難なアントニオは犯罪に手を染めてしまいます。
人に優しく、家族を愛する一人の男の切実な姿が胸を打ちます。
移民者に対する心無い「差別」も根強く存在します。
社会的弱者を切り捨てた上での繁栄に明るい未来はあるのでしょうか。
これは私達一人一人に突き付けられた命題でもあるのだと思います。
人種間でも、男女間でも、世代間であっても、
「制度」では線引き出来ない一人一人に対する物差しが必ずあるはずで、
それが何よりも重要な論点なのでは無いでしょうか。
多国籍料理
今日のおつまみは【海南鶏飯プレート】です。
前にも一度海南鶏飯の時がありましたが、
今回は韓国風のプレートになっています。
ナムルっぽい野菜の付け合せとキムチをたっぷりとトッピング。
鶏の出汁が染み込んだご飯とごちゃ混ぜにして食べると、
多国籍な幸福感でいっぱいになります。
これはキンキンに冷えたビールが最高に合いますね。
これからも「おつまみ」とは何かという問いに、
全力で向き合っていきます。
家族とは何か
画像引用: (C)2021 Focus Features, LLC. All Rights Reserved
主人公のアントニオには身重の妻キャシーと、
その連れ子であるジェシーという「家族」がいます。
血の繋がりの無いジェシーは自分とは似ても似つかないアントニオに対して、
「パパ」と呼び掛けます。
夫婦とはそもそもが自分の意思で相手を「選択」するものですが、
親子という関係性においても自由意志による「選択」が重要であるという事を、
この作品は説いています。
自分でその相手の事を「家族」であると認識する事。
血が繋がっている事が「家族」の唯一の条件では無いのです。
幼いジェシーにとって、アントニオは掛け替えの無い存在です。
そしてアントニオもジェシーの事を、
自分が選んだ「家族」であると強く意識しています。
養子として育った家庭で酷い虐待を受けていたアントニオにとって、
キャシーとジェシーとの「家族」は何よりも大切なものだったのです。
法や社会は全ての人間に対して平等なルールを目指すべき。
特定の立場や関係性にのみ有利に働く法律や、
大多数の声にのみ答える政治であるのなら、
それは断固として否定するべきだと思います。
現代の酷く捻じれたコンプライアンスにおける、
大きな声になびいて歯止めの効かない大衆心理は本当に危険な兆候だと思います。
自分の意思による「選択」で、
自分自身の「幸せ」を当たり前に傍受出来る社会であって欲しいと願うばかりです。
家族について考えたい時に観る映画。
今回は重く社会的なテーマが内奥された映画だったので、
えいがひとつまみもお固い論調になってしまいました。
でもこの映画には本当に美しい「家族」の絆が描かれています。
人生において心の底から誰かを必要とする事が出来るのは、
とても美しい事だと思います。
新たな時代に向けて、
私達がもっと考えなければならない事。
熱い映画によって熱い議論が生まれる事を期待したいと思います。