恋愛映画

映画【ブロークバック・マウンテン】おつまみ【ローストポーク】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【ブロークバック・マウンテン】です。

台湾出身の巨匠アン・リー監督の壮大な大河ドラマ。

禁断の愛を描いた、美しくも儚い物語。

ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールの渾身の演技。

胸を締め付ける様な切ない作品です。

この映画はこんな人におススメ!!

●禁断の愛に興味がある人

●アメリカの大自然が見たい人

●ずっしりと重い作品を見たい人

●若き演技派俳優の演技に酔いしれたい人

タイトルブロークバック・マウンテン
製作国アメリカ
公開日2006年3月4日(日本公開)
上映時間134分
監督アン・リー
出演ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、
ミシェル・ウィリアムズ、アン・ハサウェイ、
ランディ・クエイド

許されぬ愛に突き進む時に観る映画

今回の作品は本当に重いです。

ずっしりとした余韻が体を貫いて、暫く痺れて動けなくなります。(個人差はありますが)

同性愛を扱った作品なのですが、

そのテーマを声高に主張する事を目的とせず、

普遍的な愛の物語として描いた作品です。

20年にも渡る2人の男の物語。

余りに繊細に様々な感情を追い続ける作品なので、

一旦物語の中に意識を入り込ませると、他人の一生を体験した様な疲れを感じます。

映画を観るという行為以上を求められる作品なのです。

主人公達の喜びや苛立ちが内奥に直接注入されている様で、

決して余裕を持って鑑賞などしていられなくなります。

それ程に説得力のある演出と演技なのです。

現代のジェンダーに対する考え方など微塵も無かった時代、

ましてや保守的なアメリカ中西部の田舎街にあっては同性愛は許されぬ行為でした。

互いの孤独を持ち寄り、純粋に求め合った主人公の2人も、

その愛をひた隠して生きるしか術がありませんでした。

「許されぬ愛」に苦悩する2人の20年に渡るドラマの重み。

若きヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールの演技が言葉を失う程に素晴らしく、

圧倒的な実在感を持って、観る者を引き込んで行きます。

それぞれの視線の先にあるもの

この映画が凡百の作品と一線を画する要素の一つに「視線」があると思います。

主人公2人の「視線」一つ取っても、実に多彩な意味を含んでいます。

互いを真っすぐ見つめ、力強く抑えきれない想いをぶつけ合う「視線」

素直な気持ちを隠し、逸らされ続ける「視線」

実社会からの束の間の逃避として、大自然に投げ掛けられた遠い「視線」

決して叶わない未来を思い、絶望に伏せられた「視線」

監督のアン・リーは台詞で感情を吐露させる以上に「視線」で語らせます。

言葉に出来ない感情を無意識に体が反応してしまう結果としての、

「視線」の効果を最大限に演出しているのです。

人間の自然な感情の動きや流れを熟知していないと、こういった演出は中々出来ません。

あくまでも作り物としての表現に留まってしまうのが普通です。

夫の秘めたる想いを知ってしまう妻を演じたミシェル・ウィリアムズの演技にも、

この「視線」が作り出す効果を強く感じました。

登場人物それぞれの「視線」の先にあるもの。

理想と現実が織り成す残酷な物語。

そのうねりに観客は「視線」を追う事で巻き込まれていきます。

ワイルドおつまみ

今日のおつまみは【ローストポーク】です。

豪快に盛り付けられたワイルドな一品です。

これまた妻の創作シリーズになりまして、

豚肩ロースのブロック肉に塩・胡椒・ハーブ類をすり込んでフライパンで焼き上げます。

カリッと全体に焼き目が付いたら、そのままジップロックに入れます。

炊飯器に熱湯を張り、肉を入れて保温状態で2時間程放っておきます。

じっくりと熱が加わり、柔らかくジューシーなローストポークになってくれます。

何だかキャンプ飯の様なメニューです。

【ブロークバック・マウンテン】の中でも大自然の中で食事するシーンがありますが、

そんなシチュエーションにはやっぱり豪快なワイルドおつまみがピッタリだと思います。

「心」を置いてきてしまった場所

画像引用:IMDb

人生には「もしもあの時」と思う事が多々あります。

後悔先に立たずですが、違う選択肢を取っていればと想像する事は誰しもあるでしょう。

この物語も時代や場所が違えば、或いは全てを投げ打って本心に従っていれば、

全く違う結末が待っていたかも知れません。

長い年月を悩み苦しんできた2人の青年にとっては、ブロークバック・マウンテンこそが

遥かな理想郷、約束の地だったのです。

2人だけの閉ざされた世界。世界から切り離され互いの存在だけが唯一の場所。

長い人生においては一瞬の間隙に過ぎなかったその場所に「心」を置いてきてしまった2人。

もしもそこに戻る事が出来ていたならば、

「心」のままに生きる選択肢もあるいはあったのかも知れません。

この映画の切ない余韻は他人事とは思えない位、意外な程に尾を引きます。

「心」を置き去りにし、それぞれの生活の中に「虚無」を抱えて生きた人間2人分の

人生の重みを実感出来るからです。

恋愛映画には往々にして悲劇が付き纏います。

要因は様々でも、そこに置き去りになった「心」の残骸を見て、

映画の観客は人生の何たるかを知るのです。

許されぬ愛に突き進む時に観る映画。

逆説的な教訓になる様ですが、

映画では叶わなかったもしもを叶える勇気や意義を感じられる作品だと思います。

全世代におススメの普遍的で奥深い作品です。