ヒューマンドラマ映画

映画【グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち】おつまみ【マグロカツレツ】

画像引用:© 1997 Miramax, LLC . All Rights Reserved.

この映画はこんな人におススメ!!

●人生の師に出会いたい人

●生まれや境遇にコンプレックスがある人

●本当の知性を学びたい人

●人生の可能性について考えたい人

タイトルグッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
製作国アメリカ
公開日1998年3月7日(日本公開)
上映時間127分
監督ガス・ヴァン・サント
出演マット・デイモン、ロビン・ウィリアムズ、
ミニー・ドライヴァー、ベン・アフレック、
ステラン・スカルスガルド、ケイシー・アフレック
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新しい扉を開きたい時に観る映画

今作は映画ファンならずともよく知られている作品だと思います。

公開から早25年以上経った今でも、

あらゆる世代に絶大な人気を誇る感動ドラマです。

特別な才能を持った若者、

しかし彼には深い心の傷があり人生に前向きになれない。

そして同じく心に深い傷を負った師と出会い、

徐々に心を開き新たな世界へと旅立っていく。

正に人間の成長物語として定石・定番と言える展開なのですが、

良く書けた脚本と演者の素晴らしい演技によって、

いつまでも深い余韻を感じさせる作品になっています。

主演を務めたマット・デイモンがハーバード大学在学中に書いた戯曲を、

幼馴染で親友のベン・アフレックと共に脚本に仕上げました。

監督は1989年の【ドラッグストア・カウボーイ】や、

1991年の【マイ・プライベート・アイダホ】などの作品で、

若者の葛藤を描くのに定評のあるガス・ヴァン・サント。

俳優達の空気感をそのまま映し取った様な画作りは、

実に繊細で生命力に溢れています。

先の見えない将来に不安を抱える若者達に、

勇気と肯定感を与える力を持った稀有な作品だと思います。

悲しみと怒りを背負った天才

画像引用:© 1997 Miramax, LLC . All Rights Reserved.

主人公のウィル・ハンティングは天才的な頭脳を持っていました。

マサチューセッツ工科大学の生徒達が解けない数学の難問を容易く解いてみせますが、

彼は孤児であり幼少時代に受けた虐待がトラウマになっていて、

社会に対して強い反発心を抱いています。

下町の低所得者地域に暮らし、その日暮らしの日雇い仕事に明け暮れ、

将来に何の目標も無く、自堕落な生活を送っていました。

人並み外れたIQと記憶力に、鋭い洞察力を兼ね備えたウィルには、

周りの大人達も社会も下らないものに映っていたのかも知れません。

世の権威や常識を嫌悪し、馬鹿にして背を向ける。

彼が受けてきた世間からの仕打ちを考えれば、

捻くれるのも当然だと思いますが、

類稀な才能と可能性は宝の持ち腐れ状態で埋もれてしまっていました。

そんな彼が出会ったのが心理学者のショーン(ロビン・ウィリアムズ)でした。

彼はこれまで馬鹿にしてきた大人達とは違っていました。

ウィルの心の奥底にあったコンプレックスや傷付いた部分を見抜き、

本音と本気で正面からぶつかってきた唯一の人間でした。

頭が良過ぎるからこそ周りの世界が全て下らなく思えていたウィルにとって、

ショーンの存在はある種看過する事の出来ない異物であったのだと思います。

自分が最も触れられたくない部分を鷲掴みにし、

一人の人間として丸裸にされた気分だったのでは無いでしょうか。

本を読み漁り、誰も知らない知識を身に付けたり、数式を解く事で保っていた

自尊心を粉々に打ち壊されてしまうのです。

人から与えられた知をひけらかす事よりも、

自分が何を考え行動するかの重要性を説いたショーンは、

頑なに凝り固まっていたウィルの心を緩やかにほどいていくのです。

おつまみの新たな扉

今日のおつまみは【マグロカツレツ】です。

丁寧に衣を付けてカリッと揚げました。

中のマグロはややレア状態で。

ソース無しでも十分に旨味を感じられる一品でした。

魚料理にはやっぱりキリっと冷えた白ワインがベストマッチ。

今回はまた新しいおつまみの扉を開けて頂きました。

自分にとって本当に大切な知識

画像引用:© 1997 Miramax, LLC . All Rights Reserved.

今作の優れた点は登場人物達が互いに影響を与え合い変わっていくという所です。

人生の師であり友でもあるショーンと出会ったウィルが変わっていった様に、

また逆にショーンの方もウィルと出会った事で変わっていきます。

最愛の妻を亡くし過去の中に生きていたショーンは、

出生の苦しみから抜け出し新たな世界へと踏み出す若者の姿を目の当たりにして、

生き方を改めようと決意するのです。

深い悲しみを知っている人間はその分だけ人に何かを与える事が出来る。

図らずも若いウィルの姿に自分自身を重ね、

もう一度世界と向き合う勇気を得たのは師の方でもあったのです。

人間には如何に努力しても到達出来ない点というものが必ずあります。

無限の可能性という言葉は概念であり現実ではありません。

しかし人それぞれが違った才能を持って生まれてきていて、

それを計るものがたまたま学力テストであったり入社試験であっただけで、

その人に何が出来るかというのはそんな杓子定規では決まらないのです。

その人にしか出来ない事、その人にしか言えない言葉。

それが全ての人に与えられたギフトであり、姿形が違っていても良いものなのです。

若い魂が死んで仕舞わぬ様に、

ショーンがウィルに対して繰り返し伝えたのが、

「君は悪く無い」という言葉でした。

これは辛い境遇にいる全ての人間に掛けてあげたい言葉ですね。

自分を責めてしまう事程辛い事はありません。

それは自分の存在の全てを否定してしまう事です。

だからショーンはそれを必死で言葉少なに繰り返したのだと思います。

新しい扉を開きたい時に観る映画。

天才的な頭脳を持った主人公のウィルは、

その知識と才能で新しい扉を開いたのではありませんでした。

それは偶然の出逢いでした。

その思わぬギフトが彼に本当に大事な知識を与え、

彼は自分のキャリアや社会的成功よりも恋人への愛に走り出すのです。

彼の人生には既に光の当たる輝かしさが予見出来ます。

それは自分自身と本気で向き合った結果だったのでは無いでしょうか。

そこに人並外れたIQなど必要無く、

ただ自分に正直に他人に誠実に生きる事でいつの間にか開かれていた扉だったのです。