SF映画

映画【ゼロ・グラビティ】おつまみ【えのき茸の素揚げ】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【ゼロ・グラビティ】です。

超リアルな宇宙空間の映像。

息詰まる展開と深い暗喩に満ちた傑作SF作品です。

この映画はこんな人におススメ!!

●美しい宇宙空間を観たい人

●圧倒的な孤独を味わいたい人

●諦めないメンタルが欲しい人

●ピンチに強くなりたい人

タイトルゼロ・グラビティ
製作国アメリカ、イギリス
公開日2013年12月13日(日本公開)
上映時間91分
監督アルフォンソ・キュアロン
出演サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー
created by Rinker
¥1,650 (2024/11/21 03:49:22時点 楽天市場調べ-詳細)

生まれ変わりの疑似体験をしたいと思った時に観る映画

今回の作品はとにかく疲れます。

観終わった時には、体がバッキバッキに凝っている事でしょう。

サンドラ・ブロック演じる宇宙飛行士がアクシデントに見舞われ、

たった一人で地球への帰還の為に試行錯誤する姿に、

手に汗握り、全身強張りながら、息を詰まらせ続ける羽目になります。

信じられない位にリアルな宇宙空間。

縦横無尽に揺れ動くカメラワークが、無重力の不安定さを体感させます。

夢の中の様に自由の効かない体の動き。宇宙服の圧迫感。

絶望的な状況に焦る感情。圧倒的な孤独。

臨場感のある演出により、観客は主人公と完全に同化させられてしまいます。

地表から60万メートル離れた無音の世界で、「死」を限りなく近く感じる91分間。

この映画には、強烈な没入感で観客を連れ去ってしまう力があります。

それは生まれ変わりの疑似体験。

この作品でしか生まれない感情を呼び起こしてくれる、

特別な映画体験をする事になるはずです。

驚きの撮影技術

この作品の驚くべきは、全編ほぼ宇宙空間のシーンのみで、登場人物もほぼ一人。

(ジョージ・クルーニーが憎い程カッコいい役で出演してはいますが)

ストーリーもただただシンプルで、地球に無事に帰るという目的のみ。

そんな映画の企画書を突き付けられたら、私だったらGOサインは出せません。

どうやって観客の興味を引けば良いのか、余りに難易度が高過ぎますよね。

でも監督のアルフォンソ・キュアロンは流石でした。

余計なドラマを必要としない手法。

ただ観客を舞台の宇宙空間に放り込むだけで良かったのです。

しかしそれには前代未聞の撮影技術が必要でした。

まさか本当に宇宙空間で撮影する訳には行きません。(それはすぐに現実になりますが)

この作品では極限のリアリティを求め、撮影器具の開発から始まり、

独自のアイディアで誰も観た事の無い映像を作り出しました。

役者を吊るすワイヤーや器具の動きと、カメラや照明の動きをコンピューターで連動させ、

あらゆる角度に回転させながら複雑な動きを撮影していきました。

そこに背景や宇宙船内の細かい美術をCGで合成し、

本物にしか見えないリアリティを作り上げました。

この映像技術は驚異的です。

実際の宇宙飛行士や宇宙開発関係者を唸らせたのも納得です。

映画の域を遥かに超えたものがあります。

このエンターテイメントへの尋常では無いアプローチを見せ付けられると、

ハリウッド映画とのレベルの違いを痛感させられます。

謎の生命体

また奇怪な物体が唐突に現れました。

地球外生命体のミイラの様なこれはえのき茸。

数年前からクックパッドなどで流行っているらしく、

我が食卓でもレギュラー化しつつあります。

えのき茸を油で素揚げして塩を掛けるのみ。

究極のシンプルレシピですが、これ堪らなく旨いです。

やっぱりビールに良く合います。

鍋の時なんかに隅の方でクタっとしていて、

「これ本当、歯に挟まるよなぁ」なんて言われ肩身の狭かったえのき茸が、

本当に抜群の仕事をしてくれます。

生命誕生のメタファー

画像引用:IMDb

最先端技術の結集により、宇宙開発は目まぐるしい発展を遂げてきました。

何百万年という遥かな時間を掛け、地表で進化を繰り返してきた生命体にとって、

この100年の科学技術が宇宙の真理を解き明かすスピードは、信じられない程です。

我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか

ポール・ゴーギャンの名画のタイトルでは無いですが、

宇宙開発には根源的な命題を発起させる所があります。

この作品は息詰まるサバイバルを描きながら、とても繊細なテーマを内奥に隠しています。

技術進化の果てに辿り着いた宇宙空間はまるで「死」の世界。

古今東西の書が描く所の「地獄」をイメージさせる場所の様に感じます。

主人公の宇宙飛行士はこの「死」の世界で一度死に、僅かな可能性の糸を手繰って

この世に舞い戻る。まるで輪廻転生のイニシエーションの様です。

無重力空間を漂う塵芥の様な存在に陥った主人公が、

大地を力強く踏みしめ重力を体現するに至るシーンでは、

生命の進化(或いは誕生)そのものの様なメタファーを強く感じます。

幾分強引な解釈ではありますが、

宇宙空間でただ一人、生命の誕生を託された受精体が、

母体(或いは子宮を連想させる)宇宙船の産道を通り、

大地に産み落とされる(生命の誕生)と観る事も出来る様な気がします。

主人公のギリギリの生存本能が、人間の生命力を力強く表現しているのです。

SF映画には哲学的なテーマを持った作品が昔から多い様に感じますが、

この映画も様々な考察を促すメタファーに満ち溢れています。

驚異の映像と深淵なるテーマ。

ハラハラドキドキのエンターテイメントも味わえる、

正に娯楽超大作と呼ぶに相応しい作品です。