画像引用:©2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【THE GUILTY/ギルティ】です。
2018年に製作されたデンマークのサスペンス映画。
緊急通報指令室のオペレーターの一晩の出来事を追った物語。
電話の会話だけで説明される誘拐事件の顛末。
観客の想像力を極限まで刺激するハラハラドキドキの作品です。
この映画はこんな人におススメ!!
●緊迫したサスペンスが観たい人
●音だけで想像するのが好きな人
●仕事に行き詰まりを感じる人
●自分の罪と向き合いたい人
タイトル | THE GUILTY/ギルティ |
製作国 | デンマーク |
公開日 | 2019年2月22日(日本公開) |
上映時間 | 85分 |
監督 | グスタフ・モーラー |
出演 | ヤコブ・セーダーグレン |
想像力を刺激したい時に観る映画
今回は珍しくデンマーク映画のおススメです。
ハリウッド超大作とは真逆を行く様な、
低予算で作られたのにも関わらず世界中で高い評価を得た作品です。
密室で繰り広げられる会話劇。
限られた情報がリアルタイムで明かされていく緊迫感。
まるでその場に居合わせているかの様な臨場感に観客は釘付けになります。
その緻密で繊細な脚本には事件を追うサスペンス要素と共に、
一人の人間の葛藤が描かれています。
今作は音声だけで想像させるというトリッキーな演出の中で、
しっかりと人間を描きその成長を表現した秀逸な物語なのです。
映画全篇が暗い密室の中でだけ展開されていくという大胆な着想。
画面に変わり映えが無いのにも関わらず引き込まれ続ける体験は唯一無二です。
派手なアクションや爆発シーンなど無くても、
人は想像力によって頭の中に映像を膨らませる事が出来るのです。
事件は現場で起きている
画像引用:©2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
物語の舞台は緊急通報指令室。
交通事故や痴話喧嘩の通報に対応するオペレーターであるアスガーという男が主人公です。
徐々に明かされていくのですが、アスガーは元々現場で捜査をしていた警察官で、
ある事件がきっかけでこの仕事に左遷されているという設定。
細かい言及は無いのですが周りの職員や通話相手に対する対応から、
このアスガーという人物が高慢で苛立ちやすい人間である事が分かります。
またその一方で事件被害者に対して親身になる一面もあります。
事件は正に監禁状態にあるという女性の通報から始まります。
緊迫した状況の中、アスガーは見事に機転を利かせて事件の真相に迫っていきます。
電話の通話だけで状況をありありと表現する演出は見事の一言。
映像が無いからこそ、観ている者の中で想像が膨らみ、
事件への関心が高まっていきます。
アスガーと共に我々は予想外の展開に翻弄され、
中々好転しない状況に苛立たされます。
長い夜を主人公と共に経験している様な焦燥感が、
強烈にサスペンスに引き込んでいきます。
やがて明かされる事件の真相は衝撃的なものでした。
それを受けたアスガーは自分自身の中にある「罪」の意識と向き合う事になるのです。
偏見や思い込み、身勝手な正義感や世の中を嫉む気持ち。
妻との上手くいかない関係性などがアスガーの心を圧迫していました。
そんな彼が偶然に関わった事件に影響され、
自分の人生を変えて行こうとする物語なのです。
食欲の秋到来
今日のおつまみは【秋のパーティーバーレル】です。
漸く食欲の秋が到来したという事で、
おつまみも秋本番の迫力の一皿になりました。
一晩漬け込んだタンドリーチキンを筆頭に、
小海老の香草焼きとフライドポテト。
映画を観ながらパーティー気分の宴を繰り広げました。
重いテーマのサスペンス映画とは全く不釣り合いなまさかのパリピ仕様。
食いしん坊にTPOは余り関係無いのです。
罪を背負った正義感
画像引用:©2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
映画の主人公アスガーは当たり前の情と正義感を持った人間です。
そんな彼は警察官という社会の「負」の部分と
接しざるを得ない仕事を長く続けてきた事で、
自分自身の「正義感」に疑問を持ってしまいます。
正直な人間ほど社会の不条理に過敏で、
完璧主義者ほど自分を許せなくなってしまうという傾向があります。
アスガーは正義感を持つが故に、
「法」や「正義」の限界を知りやりきれなくなっています。
そして突如降り掛かってきた誘拐事件に対しての自分の捜査に於ける判断も、
自身の固定観念と強引なワンマンプレーによって、
思いも寄らぬ窮地に立たされてしまうのです。
誰しも多かれ少なかれ職業上のジレンマに直面する事があると思いますが、
人の命に関わる極限の状況でのプレッシャーは想像を絶するものがあります。
常に犯罪と関わる生活を送る内に、
アスガーの正義感は擦れていってしまったのかも知れません。
人間に対する疑いの気持ち。
人を信じられない心。
それは社会悪というものなのでしょうか?
この作品は「罪」というものがどこからやって来て、
どこへ向かって進んでいくのかという事の深い考察を促す作品であると言えます。
想像力を刺激したい時に観る映画。
この作品はコミュニケーションの困難さを描いた映画でもあります。
主人公は電話でしか事件の当事者達と接する事が出来ず、
声の調子や周りの音からしか判断する事が出来ません。
情報源を最小にする事で、想像力の必要性を説いています。
相手の立場になってその気持ちを想像する事。
それは凶悪事件に限らず、私達の普段の生活に於いても重要な事です。
今作は思わぬ展開が引き込んで行くサスペンス映画ではありますが、
それだけに留まらない人間の「正義」と「罪」というテーマにまで踏み込んだ、
骨太の人間ドラマになっています。