画像引用:IMDb
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【ミラーズ・クロッシング】です。
コーエン兄弟初期のフィルムノワール。
異質ギャング映画の傑作です。
この映画はこんな人におススメ!!
●コーエン兄弟の作品が好きな人
●クラシックハリウッド映画の雰囲気が好きな人
●物語が意外な方向に進むと嬉しくなっちゃう人
●ギャングの抗争に血沸き肉躍る人
タイトル | ミラーズ・クロッシング |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 1991年6月1日(日本公開) |
上映時間 | 115分 |
監督 | ジョエル・コーエン |
出演 | ガブリエル・バーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン ジョン・タトゥーロ、アルバート・フィニー |
絶体絶命のピンチを切り抜けたい時に観る映画
今回はとっても不思議な映画です。
ギャングの抗争を描いた、所謂フィルムノワールの体を成してはいるのですが、
小骨が喉に刺さったような違和感が、終始まとわりついてくる様な作品なんです。
主人公のトムはおそらくギャング映画史上、最弱の男です。
とにかく殴られ、蹴られ、ボコボコにされます。
喧嘩は弱いが頭はキレるというタイプなのですが、敵対するギャング組織の間に挟まれ、
更に借金にも追われ絶体絶命のピンチに陥っていきます。
巧く頭を使って攻勢に出ようとすれば叩かれ、切り抜けようとすると捕まり、
どこか諦めの境地の様な落ち着きさえ見せながら、何か腹に抱えている様子なんです。
映画中盤まで、観客はこの主人公が何を考えているのか巧く掴めません。
通常の慣例で理解しようとすると、どこか不可解な所が出てくるのです。
この落ち着かない感覚にさせる脚本の、絶妙なバランスがコーエン兄弟の非凡な所です。
観客の予想を擦り抜けていく小気味良さが、この映画の魅力なのではないでしょうか。
違和感で惹きつける
輝かしいフィルモグラフィを誇り、世界中の批評家に愛されるコーエン兄弟。
いったいどこがそれ程までに優れているのでしょうか?
兄弟で脚本を書き、兄のイーサンが製作、弟のジョエルが監督というスタイルですが、
実際は全てのセクションで共同作業しているそうです。
兄弟とは言え、異なる価値観を持った二人の人間から生み出される、
ある種の非一貫性が、逆に作品の強みになっているとも考えられます。
整合性とか合理性で余りに固まり過ぎた作品には、
どこか作り物臭いワザとらしさがあったりします。
コーエン兄弟の作品は、そこに敢えて理解出来ない不条理な部分を残す事で、
リアルに感じさせ、違和感によって興味を惹きつける事に成功していると感じます。
事実は小説よりも奇なりと良く耳にしますが、
観客にとって映画をより切実なものに近づける為には、
事実の様に奇なるものを、作為的に書く能力が必要なのです。
板挟みの局面
![](https://eigahitotsumami.com/wp-content/uploads/2022/06/IMG20220604202715-768x1024.jpg)
今日は妻の創作おつまみシリーズの新作です。
何これ?というビジュアルですが、厚揚げをバンズの様に半分に切った所に、
キャベツの千切り・チーズ・卵を挟んで、フライパンでお好み焼きの様に焼きます。
味付けも、ソース・マヨネーズ・鰹節・青海苔でお好み焼きの感じ。
でも小麦粉も山芋も使ってないので、糖質を抑えられるんです。
ヘルシーかつ満足感を得られる一品。
食欲と健康の板挟みにあったアラフォー夫婦の苦肉の策。
敵対するギャングの板挟みにあっている映画の主人公の気持ちが、
痛い程に伝わってくる様です。
相反するものに惹かれてく
![](https://eigahitotsumami.com/wp-content/uploads/2022/06/01784.jpg)
画像引用:IMDb
この映画の大きな特徴は様々なカップリングにあります。
インテリで陰気な主人公トムと、剛腕で快活な街の顔役であるレオ。
その主人公トムと狡猾なレオの情婦ヴァーナ。そのヴァーナとチンピラの弟。
敵対するイタリア系のギャングのボスとその用心棒。
それ以外にもこの作品では、キャラクター達は常に二人組で登場します。
この思惑と計算で入り乱れ、複雑な関係性を帯びたカップリングの妙が、
この物語を滑稽かつ奥深いものにしています。
絡み合えば合う程に、解けなくなってくる登場人物達の織り成す糸が、
観客の興味を引き付け続ける事に成功しているのです。
そしてふと、ずっと感じていた違和感の正体に気付きます。
主人公のトムは何が目的だったのか?何を考えている人間なのか?
物語のそこかしこに確かに散りばめられ、巧妙に隠されていた事実。
主人公のトムが手に入れたいと切望し、しかし絶対に届かないもの。
それは相反するものに惹かれてしまう人間の性。
まるで月の様に陰気なトムが、太陽の様に辺りを照らす存在のレオに対する想い。
それは友情以上のものだったという事ではないでしょうか。
往年のハリウッドギャング映画の世界観をたっぷりと見せ付けながら、
実に奇怪でリアルな人間ドラマを描いた秀作。
コーエン兄弟の脚本の巧さが際立つ作品です。