恋愛映画

映画【ポンヌフの恋人】おつまみ【プロシュートサラダ】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【ポンヌフの恋人】です。

圧倒的な映像美で描いたパリの路上の恋人達。

奇跡の映画体験があなたを待っています。

この映画はこんな人におススメ!!

●アーティスティックなカメラワークに酔いしれたい人

●色んな愛の形を知りたい人

●パリを舞台にした映画を観たい人

●生涯最高の映画を探している人

動画引用:cinematoday

タイトルポンヌフの恋人
製作国フランス
公開日1992年3月28日(日本公開)
上映時間125分
監督レオス・カラックス
出演ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ

一番好きな映画を誰かに聞かれた時の為の映画

今回は記事を書く為に、約20年振りにこの作品を観ました。

125分の物語が終わった時、体中が痺れた様になってしばらく動けませんでした。

(心配には及びません。病気とか怪我では無いですからね)

もう、本当にノックアウトされてしまったんです。人生初の体験かも知れないです。

正直、こんな事言ったら駄目なんでしょうが、言葉では表せない感動があります。

(でもブログですから、勿論言葉を使って記事にしますが)

よく誰かと映画の話になると、「一番好きな映画は?」という質問に出くわします。

これが中々、答え難い質問なんですよね。まず相手がその映画を知らないかもだし。

「えーと、ゴッド・ファーザーかなぁ」なんて答えてました。今までは。

でも、これからは迷いなく「ポンヌフの恋人です!」と答えます。

何せノックアウトされましたから。体中痺れてますから。こっちは。

相手がこの映画を知ってようが、知らなかろうが、もう関係ありません。

レンズ越しの澄んだ世界

物語はパリのセーヌ河に架かるポンヌフ(新しい橋の意)の上が舞台。

ホームレスの大道芸人と、失明の危機にある画家の女性のお話。

この映画の魅力の一つはカメラワークだと思います。

画面を縦横無尽に駆け回る俳優を、躍動感溢れる動きでフレームに捉え続けた、

撮影監督のジャン=イブ=エスコフィエの貢献は甚大です。

橋の上の移動撮影。望遠レンズで捉えた激しくブレるクローズアップ。

パリの夜の色。濡れた石畳の質感。被写体との絶妙な距離感。

エスコフィエのレンズ越しに観る世界は、信じられない位に澄み切った空気を感じます。

レオス・カラックスという他に類の無い純度の芸術家の頭の中を、

フィルムに焼き付ける事が出来たのはエスコフィエだけでした。

映画はよく総合芸術だと言われます。

そこには文学があり、音楽があり、演劇があり、デザインとテクノロジーがあります。

でも、観客の記憶に残るのは、たったワンフレームの画だったりする事もあるんです。

125分の中の一瞬の閃光。

この映画の観客には、それぞれのワンフレームが強烈に残っているんじゃないでしょうか。

きのう何食べた?

今日はちょっと贅沢にプロシュートで白ワインです。

毎晩、映画をおつまみに晩酌をしておりますが、

ふと「あれ、きのう何食べたっけ?」となったりします。

印象が薄いとかではなくて、毎日の喜びが特別ではなくなっているんですよね。

何気ない事が、いかに幸せな事なのかを忘れては駄目ですね。

今日の失敗や明日の不安を乗り越えていけるのも、

映画とお酒とおつまみが色んな感情を浄化してくれてるからなんですよね。

たった一皿のプロシュートにも、わずか2時間足らずの映画の中にも、

忘れられない瞬間(ワンフレーム)がちゃんとあるんですよね。

愛は身勝手で不公平でも美しい。

画像引用:IMDb

映画の主人公は孤独でした。それは深淵を覗き込む様な。

社会からはみ出て、セーヌ河の右岸と左岸の中間で、修復途中の橋の上に住んでいます。

うまく眠る事が出来ず、毎晩睡眠薬を飲んで何とか目を閉じ、朝を迎えています。

そこへ失明の恐怖を抱え、恋人に去られた絵描きの家出人である女性が流れ着いてきます。

彼は最初の瞬間から身勝手で、一方的な愛情を持つ様になります。

不器用で、乱暴で、疑り深いエゴの塊を相手に投げつけます。

絵描きの女性も絶望を抱え、ワラをもすがり、エゴを投げ返します。

この誰の目にも痛々しく、未来の無い二人の「愛」の様なものが、

かつて見た事のない程に美しく、尊いものに見えてしまうのが不思議です。

都会の真ん中に、そこだけ忘れ去られた様な二人だけの世界が浮かんでいます。

ポンヌフの薄汚れた橋の上は、人類の歴史からも、時の流れからも切り離された様です。

この映画の奇跡は、この二人だけの世界の筆舌に尽くし難い「自由」にあると感じます。

誰にも理解されなくても、全身全霊で相手を欲する「自由」が胸を打つのです。

自分の為だけに相手を愛しても、それも美しいという事を映画は教えてくれます。

映画が終わった時、体中を痺れさせたものの正体がこれでした。