サスペンス映画

映画【タクシードライバー】おつまみ【ゴーヤと魚肉ソーセージのかき揚げ】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【タクシードライバー】です。

1976年公開のマーティン・スコセッシ監督作品。

偏狭的な正義感に病んでいく一人のタクシードライバーの孤独を描いた、

衝撃のサスペンス映画です。

名優ロバート・デ・ニーロの若き怪演が印象的です!!

この映画はこんな人におススメ!!

●世の不正が許せない人

●世界を変えたいと思う人

●孤独な人

●ギラギラのロバート・デ・ニーロが観たい人

タイトルタクシードライバー
製作国アメリカ
公開日1976年9月18日(日本公開)
上映時間114分
監督マーティン・スコセッシ
出演ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、
ジョディ・フォスター、ハーヴェイ・カイテル

人を狂わす世界の惨状を考えたい時に観る映画

今回は私の人生に多大な影響を与えた作品をおススメ致します。

高校生の時に初めてこの映画を観て衝撃を受け、

「映画監督になりたい」と漠然とした夢を持つキッカケとなった作品なのです。

渇いた空気感にクールジャズが鳴り響くニューヨークの街並。

若きロバート・デ・ニーロの孤独な眼差しの奥にある狂気が、

高校生の私に映画の新しい魅力を教えてくれたのです。

それまで観てきた映画とは全く違ったヒリヒリする様なリアルな質感が、

作り物であるという枠を超え圧倒的な感情移入を促したのでした。

夜のニューヨークの猥雑な景色の中を徘徊する一台のタクシー。

その運転席で街の腐敗に苛立ちを抱えるのが、

ベトナム帰還兵の不眠症の青年トラヴィス。

社会のあらゆる歪が街に犯罪と混沌をもたらせている事に、

彼は次第に我慢する事が出来ずにいられなくなっていきます。

この狂信的な使命感による世直しが予想も付かない展開に発展していくのですが、

高校生だった当時の私には、この主人公のトラヴィスが抱える孤独と苛立ちが

やけに心に響いたのです。

本来心優しく、強い正義感を持った主人公が、

次第に狂気的な思いに暴走していってしまうという物語が、

多感な時期のころっぷにはたまらないアンチヒーローとして映ったのです。

生きる意味を奪われた世代

画像引用:IMDb

映画の主人公のトラヴィスはベトナム戦争から帰還した元海兵隊員。

激動の過渡期にあって、社会からつまみ出された様な疎外感を持って生きています。

若い魂を戦場で疲弊させ、祖国の現状に憤りを抱えた彼等の生きがいは、

時代のうねりに絡め奪われた格好になっていたのでした。

まがい物の正義と嘘で固められた理念に命を掛けて戦ってきた彼等が、

その祖国に帰ってきて見た社会の腐敗振りは想像を絶するものだったのでしょう。

生きる目的を見出せずに、無軌道にその日暮らしを続けるトラヴィスの様な若者は、

当時のアメリカ社会を象徴する様な存在だったと言えるのではないでしょうか。

時代にその輝ける青春を奪われた若者の、

鬱屈としたエネルギーの爆発が、何とも切なく胸を打つのです。

それも人を助ける為に、たとえそれが独りよがりの正義感だったとしても、

孤独に苛立ちながら自分の存在を何とか知らしめようとする行為に、

どこか共感してしまう所もあるのです。

近年の【ジョーカー】という作品でホアキン・フェニックスが演じたキャラクターは、

この【タクシードライバー】の主人公トラヴィスを彷彿とさせますが、

社会の片隅で軽んじられていた人物が、世直しの為に凶行に及ぶという図式は、

決して絵空事では無いリアリティがあります。

こういった人物を生み出す社会の歪、構造的な悪、見て見ぬ振りをし続けてきたツケが、

強烈な物語の皮肉を生み出すのです。

夏の名物料理

今日のおつまみは【ゴーヤと魚肉ソーセージのかき揚げ】です。

健康夏野菜の代表選手のゴーヤは我が家の定番食材ですが、

この魚肉ソーセージとのかき揚げというレシピは実家の母親考案メニューです。

多分、テレビか何かで見たのだと思いますが、

この組み合わせが絶妙に旨い!

ゴーヤの苦味と魚肉ソーセージの旨味がシンプルに味わえて最高のおつまみです。

今回は懐かしい映画のおススメなので、

おつまみも思い出のメニュー。

あの頃をふと思い出すお袋の味でお酒も進みます!

狂気の時代の寵児

画像引用:IMDb

この映画はアメリカ社会におけるベトナム戦争後の若者文化を描いていますが、

いつの時代も、大きな戦乱や災害、変革の影には人生を捻じ曲げられた

名も無き人々の知られざる人生があったのだと思います。

この【タクシードライバー】という作品の中で起きた出来事も、

新聞の片隅の取るに足らない三面記事としてすぐに人々の記憶から消えてしまう様な

出来事に過ぎないのかも知れません。

しかし映画とは、そんな名も無き人の人生こそが、

時代を映す鏡であるというスタンスで語られるべきなのだと思います。

新聞の社説では片付けられない物語がそこにあるからこそ、

映画やその他の芸術には人の心に迫る切実さがあるのです。

それは時には言葉に出来ない様な感情であったり、

意図せずにフィルムに刻まれた俳優の些細な表情であったりします。

作り手の作為を越え、奇跡の様に映し出された時代の空気感。

そういったものが映画を時代を越えた芸術や文化にしていきます。

長きに渡り映画界に多大な貢献をしてきたマーティン・スコセッシ監督の、

迸る情熱が生んだ奇跡的な未完成の映画。

この【タクシードライバー】という作品には永遠に完結し得ない、

人間の深い孤独のテーマが描き出されています。

人を狂わす世界の惨状を考えたい時に観る映画。

都市の中で次第に己を先鋭化し暴走する主人公のトラヴィス。

彼の踏みにじられ続けた善意が社会悪に転換するダイナミズムが、

何度観ても悲しみを誘うセンチメンタルな作品です。

街をリアルな視点で映しとった撮影。

そこで生きる人間の息遣いを封じ込めた映像。

何度見返しても強烈に引き込まれてしまう稀有な作品です。