サスペンス映画

映画【ナイブズ・アウト】おつまみ【大人様ランチ】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【ナイブズ・アウト】です。

まるでアガサ・クリスティのミステリー小説の世界観。

クラシカルな探偵物の雰囲気を存分に味わえる一作です。

この映画はこんな人におススメ!!

●探偵推理小説が好きな人

●映画美術や衣装に興味がある人

●華麗なる一族の愛憎劇が見たい人

●犯人はあなたです!を辛抱強く待てる人

タイトルナイブズ・アウト
製作国アメリカ
公開日2020年1月31日(日本公開)
上映時間130分
監督ライアン・ジョンソン
出演ダニエル・クレイグ、クリス・エヴァンス、
アナ・デ・アルマス、ジェイミー・リー・カーチス、
マイケル・シャノン、ドン・ジョンソン、クリストファー・プラマー
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ミステリーにどっぷりと浸かりたい時に観る映画

今回は肩の力を抜いて、思いっきり楽しめる映画のおススメです。

皆さん探偵小説はお好きでしょうか?

古くはアガサ・クリスティのエルキュール・ポアロや、

アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズが有名ですね。

日本でも江戸川乱歩の明智小五郎、横溝正史の金田一耕助なんてのも人気です。

探偵物は常に娯楽作品の王道として数々の名作映画も誕生しました。

この【ナイブズ・アウト】も歴代探偵の伝統に恥じない、

個性的かつ魅力的なキャラクター造形に成功しています。

その探偵役に007シリーズで有名なダニエル・クレイグ。

強面ながら愛嬌のある探偵ブノワ・ブランを実に生き生きと演じています。

ミステリーの舞台設定としては100点満点の豪奢な大邸宅。

シックで洗練された衣装と、重厚でクラシカルな美術。

個性的な俳優達の名演が物語をリアルに浮かび上がらせ、

見事な脚本が観客をミスリードの罠に導いていく。

正にミステリーファン垂涎の本格派作品です。

更に監督・脚本のライアン・ジョンソンは強欲な質の様で、

それぞれの登場人物の思惑と欲望を複雑に絡ませ、

見応え充分の愛憎劇を演出し、切ない結末を用意し抒情性も十分。

まるでレイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウシリーズの様な、

ハードボイルドな哀愁すら感じさせるのです。

これだけ良い所取りをしておいて嫌味に感じないのは、

全体としてヘビーになり過ぎない様な当世風のユーモアを散りばめている点にあります。

笑い所や、ほっこりさせるクッションが用意されていたりして、

安心して身を任せられる実に頼りがいのあるミステリーなのです。

これだけ褒めればもうあなたも秋の夜長のミステリーに興味深々の筈です。

何せこの季節はミステリーにピッタリですからね。

騙される喜び

ミステリーの醍醐味は騙される快感にあります。

この手の作品を観ていれば、大概の人は犯人は誰だろうとか、

事件の真相はこうなんじゃないかと予想しながら観るはずです。

優れた作品であればある程、

観客は物語に引き込まれて即席探偵の誕生となります。

この観る者全てが探偵状態は正に製作サイドの大勝利と言えるでしょう。

この作品も実に巧みに事件のヒントを散りばめて、観客に発見の喜びを与えます。

そうしておいて実はミスリードに誘い込み、どんでん返しで落とす。

我々は騙された!と悔しさと充実感で大満足という事になります。

考えてみると我々のこの騙されたい欲の根源は、

日常生活における予定調和に無意識的な不満を持っているという事ではないでしょうか。

何か興味をくすぐる様な展開を期待しても、中々面白い事って起きないですよね。

意外な事実とか、謎の真相みたいな事って

やっぱりフィクションで摂取するしかないのです。

いかに観客を気持ちよく騙してあげるかという命題を抱えた、

ミステリー畑の猛者達には畏敬の念を感じます。

こういったミステリー作品の脚本というものは、

通常のドラマ作品と比べても構造的に複雑な計算が必要になってくると思うのです。

この時点ではここまで情報を与えておいて、この部分は必然性を保ちつつ隠すとか。

ここで隠されていた関係性を明かしておいて、もっと重要な事実から目を背けさせるとか。

観客の思考の最大公約数を計り、効果的に配置したパンくずを自らに拾わせながら、

森の奥に導いていく。実に見事です。

作品を観終わった後すぐにもう一回観たい!と思わせるのが、

優れたミステリーの答え合わせ現象ですよね。

欲望の塊プレート

突如迫力満点の一皿の登場ですが、

今日のおつまみは【大人様ランチ】です。

晩酌なのでランチではありませんが、凄いボリュームです。

この夏の暑さで減量した私を太らせると言い、

急遽妻が冷蔵庫の中身一掃調理。

タラコパスタに鮭のパン粉焼き、

鶏唐揚げに人参サラダ。

お腹いっぱいで明日の朝には1キロ位増えていそうです。

探偵は森ではなく木を見る

画像引用:IMDb

探偵は人として少し欠落していた方が魅力的だったりします。

歴代の有名探偵達も、どこか風変りで社会的にアウトロー寄り。

品行方正の善人探偵もそれはそれで新しいかも知れませんが、

挑発的で長い物に巻かれない気骨がある人物が多い様に感じます。

常識的な考えから逸脱し、人と同じもの見ていても、

そこから何か違うものを見出せる様な才が必要なのです。

探偵というとよく事件現場の床や壁なんかを虫眼鏡で拡大して

捜査している絵が浮かんだりします。

大きな発見は細部に宿るというやつです。

日常生活の中でも普段何気なく目にしている風景に

ふと何か引っかかりを覚えたりする事があります。

見方を変えたり少し違った角度で思考したりするだけで、

大きな発見や変化に気が付いたりする事もあります。

探偵とはスーパーヒーローでも超人でも無く、

人の眉根の動き一つとか、細部を見逃さない人なんだと思います。

そして人の心の動きも逃さない。僅かな感情もないがしろにしない。

何だか探偵がやっぱり聖人の様な気がしてきますね。

でも実際に近くにいたら相当迷惑でしょう。

どんな嘘も見破られ、どこまで逃げても追いかけてくる。

探偵はフィクションに限ります。

ミステリーにどっぷりと浸かりたい時に観る映画。

犯人捜しや、事件の真相も勿論興味深いですが、

人間の芯の部分に迫った愛憎劇としても見応えあります。

是非、ご覧ください!!