ヒューマンドラマ映画

映画【レディ・バード】おつまみ【胡瓜とトマトの味噌和え】

画像引用:IMDB

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【レディー・バード】です。

ノア・バームバック監督作品【フランシス・ハ】などで知られる女優、

グレタ・ガーウィグが脚本・監督した自伝的作品。

青春期の瑞々しい感性が爆発した、

家族と自我をテーマにしたヒューマンドラマ作品です!

この映画はこんな人におススメ!!

●学生時代が懐かしい人

●家族から自立したい人

●娘が自立しようとしている人

●自由に生きる力を貰いたい人

タイトルレディ・バード
製作国アメリカ
公開日2018年6月1日(日本公開)
上映時間94分
監督グレタ・ガーウィグ
出演シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、
ティモシー・シャラメ、ルーカス・ヘッジズ
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等身大の主人公に共感したい時に観る映画

今回の作品は女性の共感率が特に高い作品なのではないでしょうか。

誰しも経験ある家族との葛藤や恋愛の悩み、友人関係の歪みなどが、

丹念に等身大の視点で描かれています。

脚本・監督のグレタ・ガーウィグは、アメリカにおけるインディペンデント映画の

一つのムーブメントである「マンブルコア」を象徴する存在。

物語性を敢えて排除し、日常的なエピソードを羅列する事で、

リアルな現実を描こうとする低予算映画を指す言葉らしいです。

この【レディー・バード】もごく普通の等身大の少女の生活の中に、

自然と浮かび上がってくるアメリカ中流階級社会の姿をリアルに表現しています。

そこに声高なプロパガンダは無く、

自分らしく生きる事の清々しさが、実にさり気無く描かれています。

家族や友人とのコミニュティーの中で、自分の価値観を冷静に捉えていく。

新しい世代の女性観を自然体で描くスタイルが当世向きと言えます。

こういった絶妙なバランス感覚を持った新たな才能が、

次から次へと頭角を現してくるアメリカ映画界の層の厚さは流石だと思います。

私生活でのパートナーであるノア・バームバック監督作品と共に、

現代のアメリカのインディペンデント映画を象徴する作品であると言えます。

旧態依然とした骨太なエンターテイメントも素晴らしいとは思うのですが、

新鮮な感性と新たな価値観に触れてみたいという方には、

正に打って付けの作品だと思います。

自意識過剰の最強時代

主人公のクリスティンは保守的なカトリック系のハイスクールに通う17歳の少女。

この年代の例に漏れず、退屈な田舎町や抑圧的な学校に反感を持ち、

親の価値観と相容れないごく普通の高校生です。

イケてない地元では無く、洗練された東海岸の大学進学を熱望しています。

映画冒頭、その進学問題から母親と口論となり、

主人公がとんでもない行動を起こすシーンには、

余りの衝撃に一気に主人公に引き込まれてしまう事でしょう。

どうしてもぶつかってしまう親子関係。

互いに愛しているのに、受け入れる事の出来ない関係性には、

誰しも少なからず心当たりがある事と思います。

主演のシアーシャ・ローナンの飾り気の無い等身大の姿には、

観ている者に映画である事を忘れさせてしまう程の実在感があります。

極度な自意識過剰と、感情を辺り構わずまき散らす行動。

あの年代特有とも言える、ある意味での無敵状態。

髪を赤く染め、自分の事をレディー・バードと呼ぶ様に強要する。

これだけ聞くとちょっと痛い子の様なのですが、

その内面は創造力豊かで、幼気な心優しさを持っていたりします。

この辺りのキャラクター造形、自然な台詞回し、ストレートな表現手段が、

「マンブルコア」における新しい世代のヒロインであると感じさせます。

自由な不自由を享受する、愛すべきかまってちゃんが、

所謂、どこにでもいる等身大のティーンとして多くの共感を得る事には納得出来ます。

自分の未来が無限では無い事を知る、非常に微妙な年代とも言えると思います。

厳しい現実を前にして初めて人生の不条理を知る。

誰もが多かれ少なかれ通る道ですが、

この映画の何事にも全身でぶつかっていく主人公には、

自然とエールを送らざるを得なくなってしまう事でしょう。

素材の味に勝るものは無し

今日のおつまみは【胡瓜とトマトの味噌和え】です。

正にシンプル・イズ・ベストな我が家の定番メニューです。

この料理のちょっとしたコツは胡瓜を手でぶっかく事です。

包丁で綺麗にカットされた断面よりも、ボキボキと手で割った方が、

程よく味噌が絡まって旨いです。

隠し味は胡麻油。

味噌がまろやかに乳化して、絶妙な風味になります。

調理時間3分の超簡単レシピですが、最高です。

正に素材の味に勝るものは無し。

人生は常に輝いている

画像引用:IMDB

皆、誰しも一度は考えた事があるはずです。

「私の居場所はここでは無い」「本当の自分はこんなでは無い」

若気の至り。青春の迷いとも言えるかも知れません。

しかし当の本人にとっては、正に生き死にの重大事項です。

漠然とした将来に、ジタバタとする事は若さの特権とも言えます。

そしていつの日か、窮屈で退屈だった学生時代も懐かしく感じたりするんですよね。

親との確執は、自分を認めて欲しいという欲求と共に、

似ている所が許せないという一面も感じさせます。

母親の様な人生を歩みたくないという反発の中に、

複雑な想いを垣間見せる所が、この作品の深い部分だったりします。

それでも進む時間の流れと共に、成長していく少女の姿が本当にリアルなんですよね。

活きた会話ばかりの脚本と、それを生身でしっかりと体現出来る俳優陣。

様々な人間が暮らす街並みを、その体温ごと写し取った様な見事な撮影。

衣装や美術や音楽など挙げればキリが無い程に良い仕事が成されています。

奇をてらう事無く、素材の味を活かす調理法で制作された映画という感じです。

何より辛辣で多感な青春を、全力で肯定している姿勢が素晴らしいです。

等身大の主人公に共感したい時に観る映画。

誰もが共感を感じずにはいられない美しい生命の輝きが閉じ込められた作品です。

落ち込んでいれば元気が貰えるし、

心が尖っていたら和らぐ事が出来る抜群の効能を持っています。

映画に新しい価値観と風を吹き込むグレタ・ガーウィグ監督の自伝的物語。

どんな世代にも刺さる事間違い無しの一作です。