画像引用:©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【哀れなるものたち】です。
2023年公開のイギリス・アメリカ・アイルランド合作の
コメディドラマ作品。
監督はギリシャ出身の奇才・ヨルゴス・ランティモス。
独特の世界観の中で、
人間の道徳心や常識を徹底的に破壊する
奇抜で奇怪な物語。
そんな今作は第80回ヴェネツィア国際映画祭に於いて
最高賞の金獅子賞を受賞し、
第96回アカデミー賞では主演女優賞など4部門に輝きました。
正に唯一無二の映画体験があなたを待っています!
この映画はこんな人におススメ!!
●兎に角変わった映画が観たい人
●常識を覆して欲しい人
●美しいフィルム映像に飢えている人
●全ての哀れなるものたち
| タイトル | 哀れなるものたち |
| 製作国 | イギリス、アメリカ、アイルランド |
| 公開日 | 2024年1月24日(日本公開) |
| 上映時間 | 141分 |
| 監督 | ヨルゴス・ランティモス |
| 出演 | エマ・ストーン、マーク・ラファロ、 ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフ |
固定概念をぶっ飛ばして欲しい時に観る映画
兎に角強烈な作品です。
観る人によっては嫌悪感から途中退席もあり得る様な。
あらゆる常識や倫理観、道徳観を吹き飛ばす様な物語です。
卑猥で残酷で理解に苦しむシーンもあるかも知れません。
しかしそれと同時にこれまで観た事が無い程に美しく、
また人間の存在の根源に言及した深い哲学的なテーマが描かれてもいます。
つまりは規格外のとんでもない映画という事になります。
監督のヨルゴス・ランティモスは、
2009年の【籠の中の乙女】で世界的な注目を集め、
2015年の【ロブスター】で早くも世界的な巨匠と見做されます。
2018年の【女王陛下のお気に入り】では、
ヴェネツィア国際映画祭で審査員大賞を受賞し、
主演のオリヴィア・コールマンにオスカーをもたらしました。
そして今作で主演を務めたエマ・ストーンとは、
その後も2024年の【憐れみの3章】と、
2025年の【ブゴニア】でもコンビを組んでいます。
正に作品毎に世界中で物議を醸す奇才。
批判を怖れない圧倒的に過激な描写と、
人間の滑稽さを執拗に描く皮肉たっぷりなユーモアセンス。
それでいて映画に対する真摯で愚直なまでの愛情を感じさせるクリエイティブ精神。
今世界中で多様性に花開いた個性的な映画作家が百花繚乱していますが、
その中でも極めて異質で芸術性の高い映画を量産しているのが、
ヨルゴス・ランティモスという存在なのです。
異形なる者達の愛の物語

画像引用:©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
物語は正に荒唐無稽、吃驚仰天、奇妙奇天烈という言葉がぴったり。
セットデザインや衣装、メイク、美術に至るまで
徹底したデカダンスな雰囲気の世界で展開される超絶にぶっ飛んだストーリー。
投身自殺した身重の女性の胎児の脳を、
その女性に移植して蘇らせるという基本設定にして既にアウトな倫理観。
かのフランケンシュタイン博士が作り出したクリーチャーを連想しますが、
この神をも恐れぬ所業によって誕生したのが、
今作の主人公であるベラ(エマ・ストーン)なのです。
この無垢なる悪魔が次第に成長し、
知を得、性に目覚め、生と死の意味を体現していく。
そこには常識に捉われる事の無い自由で過激な思想が溢れ、
他者を踏み台にして鮮やかに羽ばたく一人の女性の逞しい自立が描かれています。
理不尽な価値観や男性優位の社会的軋轢から、
このベラという女性は力強く脱却していくのです。
その踏み台となる彼女の創造主・天才外科医バクスター(ウィレム・デウォー)や、
実直な医学生マックス(ラミー・ユセフ)や、
病的なプレイボーイ弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)などは、
正に彼女の圧倒的な生命力の前にひれ伏すしかないのです。
彼女は生まれたての無垢なる雛鳥であり、
全ての価値判断を実践から学んでいきます。
本能の赴くままに、欲望の誘いの方へ。
そんな獣の様な強い女性の周りで、
取り乱し、懇願し、絶望する男達の滑稽振りに抱腹絶倒。
実にシニカルでブラックなユーモアセンスです。
シュウマイの花畑

今日のおつまみは【お花シュウマイ】です。
シュウマイの皮では無く敢えて餃子の皮で、
豚挽肉とたっぷりのニラをシュウマイ型に包んで蒸しました。
皮をお花の花弁に見立てて。
簡単レシピは決して手抜きではありません。
手間を省いてより合理的に目的を達する。
固定概念に捉われない新しい時代の料理文化なのです。
でも時代が変わってもシュウマイにはビールが合いますね。
勿論、辛子醤油で。
哀れなる世界

画像引用:©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
原題の「Poor Things」とはかわいそうなものという様な意味だそうです。
この映画に於けるかわいそうなものとは一体何なのでしょうか?
人生に絶望して身重ながら自殺したヴィクトリアでしょうか?
望まない「生」を与えられたベラでしょうか?
それともそんなベラに振り回される愚かな男達の事でしょうか?
答えは勿論、鑑賞者の数だけ存在するのでしょうが、
哀れなるものとは生きとし生ける全ての生き物の事では無いでしょうか?
バクスターの手に依って鶏の身体に首をすげられた犬や、
豚の頭部を持つ鳥などが登場しますが(正に倫理的にアウトですが)
これらの哀れな生き物達を含めて、
「死」の運命を負って儚い「生」に縋りつく生き物の定め、
その命自体に哀れみと深い情愛を込めてこの物語は語られていくのです。
この作品で主人公のベラを演じたエマ・ストーンは、
自身二度目のアカデミー主演女優賞を受賞しました。
この映画史上最高に難易度の高い役を見事に演じ切った彼女には、
その栄誉に浴する権利があります。
何せ胎児の脳を持った大人の女性という役柄。
稚拙な幼児期から急速に成長していき、
自我に目覚め飛躍的な知性を得ていく。
誰も演じた事のない、そして誰でも出来る様な役でも無い。
そんな難役をプロデューサーとしても携わりながら演じ切った彼女の
能力と情熱は作品に絶大な力をもたらしました。
そしてこの作品のもう一つの魅力は何と言っても映像の力です。
昨今のCG全盛の時代に於いて、
非常にクラシカルな撮影方法に拘った今作は、
デジタルでは無くフィルムで撮影され、
一台のカメラで移動撮影やワイドレンズやクローズアップなどの古典的技術も多用し、
実に色彩豊かで独創性に富んだ映像を実現しています。
物語の寓話性に非常にマッチしたドリーミーな映像。
不協和音を多用した印象的な音楽。
あらゆるスタッフワークが見事に結集した
唯一無二の世界観になっています。
固定概念をぶっ飛ばして欲しい時に観る映画。
この映画は目先の派手なインパクトだけでなく、
それと同時に実に普遍的で希望に満ちたテーマをも表現しています。
混乱と支配欲に満ちた世界の中で、
無垢なる生命が自由闊達に「知」を得て成長していく。
そこには無限の可能性があり、
固定概念をいとも容易く飛び越え、
私達に新しい時代の「希望」を垣間見せてくれるのです。
是非前代未聞の映画ヒロインの爆誕を共に体験しましょう!



