コメディ

映画【サイドウェイ】おつまみ【トンテキ・デリプレート】

画像引用:© 2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

この映画はこんな人におススメ!!

●ロードムービーが好きな人

●ワインに目が無い人

●人生の寄り道の途上にある人

●兎に角元気を出したいという人

タイトルサイドウェイ
製作国アメリカ
公開日2005年3月5日(日本公開)
上映時間130分
監督アレクサンダー・ペイン
出演ポール・ジアマッティ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ヴァージニア・マドセン、
サンドラ・オー

憂鬱な気分を笑いで吹き飛ばしたい時に観る映画

唐突ですが、独断と偏見で言わせて頂ければ、

映画に於いて最も難しいジャンルは何と言ってもコメディだと思います。

泣かせる事よりも、驚かせる事よりも、怖がらせる事よりも、

一番難易度が高いのが笑わせる事です。

人の笑いのツボは千差万別。

そのアベレージを計り間違えた駄作は古今東西枚挙に暇がありません。

そう言った意味で今作の脚本・監督を務める

アレクサンダー・ペインは異常な打率の高さを誇る

コメディの首位打者なのです。

2002年の【アバウト・シュミット】。

2004年の【サイドウェイ】。

2011年の【ファミリー・ツリー】

2013年の【ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅】。

どれもよく練り込まれた脚本が魅力の笑えるコメディドラマです。

彼の描く人間は皆不完全で、見っとも無くて、惨めな一面を持っています。

それでいて彼等はとても人間臭くて、憎めない愛嬌を併せ持っている。

観客はそこに自分の一面を見たり、

パートナーの癖を発見したり、過去の友人の面影を思い出したりします。

実に普遍的で身につまされる物語の書き手なのです。

笑いとは緊張と緩和による作用であると良く言われますが、

如何に異常な状況を作り込もうが、

登場人物に感情移入出来なければその効果は半減してしまいます。

そして私達は決して見た目や性格が魅力的だから感情移入する訳でもありません。

例えどうしようもない様な人間であったとしても、

それを笑ってしまえる様に緩和させる事が出来る人物描写こそが、

非常に難しいテクニックであると思うのです。

熟成するワインの様に

画像引用:© 2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

物語は所謂ロードムービーの形を取って進んでいきます。

小説家志望のバツイチ中学教師マイルスと、

結婚式を控え最後の独身ライフを謳歌しようと考えている

テレビドラマ俳優のジャックは、

カリフォルニア州のワイナリーを巡る自動車旅に出掛けます。

その旅先で出会う二人の女性達と

それぞれが良い感じに発展していくのですが、

前妻に未練のあるマイルスはあと一歩の所で煮え切らなかったり、

結婚する身である事を隠していたジャックは修羅場を演じたりで、

人生は中々に思う様には行かないのです。

それぞれにまた問題のある人物だったりするのですが、

年齢と共に積み重ねられた人間としての澱は、

ワインの熟成の様に芳醇な香りや豊かな味わいには中々なってはくれません。

ぶつかったり、ひっくり返ったり、裸で逃げ出したり、

嘘ばっかり吐く汚い大人になっていたりしても、

そんな無様な自分自身を引き摺って生きていくしかないという様な、

一種の開き直りの中にそれまで感じられなかった滋味の様なものが芽生えたり。

彼等なりに必死にあがなうその姿に、

いつの間にかこなれた熟成期間を感じられたり。

人の一生というのもワイン作りの行程の様な気の遠くなる様な紆余曲折を経て、

思いも寄らぬマリアージュに到達したりするものですよね。

予測付かないからこそ楽しいという部分もあったりします。

そんなそこはかとない肯定感を持たせてくれるのが、

アレクサンダー・ペイン監督のマジックなのかも知れません。

おつまみのロードムービー

今日のおつまみは【トンテキ・デリプレート】です。

ワインにピッタリのおつまみにしたい所でしたが、

食欲の奴隷の我々はガッツリとした一皿を食していました。

申し訳程度の野菜を摂る為に、

人参のラペとひじき煮。

サニーレタスのサラダに茗荷の酢漬けを付け合せました。

やはり肉食の我々。

でも美味しいワインに出会いたいと、

心の底から願う今日のえいがひとつまみでした。

人生に寄り添う映画

画像引用:© 2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

この「えいがひとつまみ」というブログは、

映画をおつまみにお酒を飲むというコンセプトの元に始まりました。

映画は人生を映す鏡でもあります。

色んな記憶を思い出したり、

日々の些末な事を忘れられたり、

刺激を受けて何か新しい事を考えられたり。

映画もおつまみもお酒も人生を味わい深くしてくれる、

最良の友なのです。

だからこそこの【サイドウェイ】という映画は

このブログにとっても実に親和性の高い作品と言えるのです。

人生の寄り道に供される極上のワインと、

抱腹絶倒のシュチュエーション。

やや辛辣な教訓を含んだ展開と、

微かな希望を感じさせるラストシーン。

20代の頃に初めてこの映画を観た時には分からなかった様な、

人生の悲哀がワインの熟成の様に40代の今になると味わい深く感じたりする。

そんな体験が出来るのも映画を見続けてきた事の利点である様に思います。

ここに閉じ込められた人々の人生は、

再生ボタンを押せばいつでも見直す事が出来る。

また最初からやり直す事も出来る。

解釈がその都度変化したり、

物語の理解度や解像度が増したりもする。

そんな事が出来るのも映画の素晴らしい所だと思うのです。

自分が変わったから映画の感じ方も変わる。

何だかそんな事がとても有難く感じられる程に、

また自分も年を取ったのだと感じました。

憂鬱な気分を笑いで吹き飛ばしたい時に観る映画。

今作は何度見返しても新たな発見と気付きがある

懐の深い映画だと思います。

時に気分が塞ぐ様な事があったならば、

是非またこの作品を見返して人生に寄り添ってくれる

映画の素晴らしさを味わって頂きたいと思います。