サスペンス映画

映画【search/サーチ】おつまみ【鶏皮餃子】

画像引用:© 2018 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

この映画はこんな人におススメ!!

●ネット生活に慣れ親しんでいる人

●年頃の子供との接し方に悩んでいる人

●先の読めない展開のサスペンスに飢えている人

●家族の絆を感じたい人

タイトルsearch/サーチ
製作国アメリカ
公開日2018年10月26日(日本公開)
上映時間102分
監督アニーシャ・チャガンティ
出演ジョン・チョー、デブラ・メッシング、
ミシェル・ラー、ジョセフ・リー
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ネット社会を肌で感じたい時に観る映画

今作の最大の特徴は、

何と言っても映画全篇がパソコンの画面上で展開していくという点です。

あらゆる情報がパソコン上に集約され、

その中でリアルタイムに事件が展開されていく。

登場人物同士の会話もチャット画面や動画通話で表現され、

事件の手掛かりもメールや検索したページの記事で映される。

普段我々が如何にデジタルの世界のやり取りで生活が成り立っているかという事を、

改めてこんな形で知らしめられるとは驚きです。

これは既に現実社会がネットの中で概ね成立してしまっているという証拠でもあります。

AI技術の発展によってそれは益々加速する事と思いますが、

便利さの反面、情報の隙間に埋もれてしまう人間の感情の重要性についても、

この映画は問い掛けているのだと思います。

無駄を排し、合理性と利便性を追求した社会。

一見それは実にスマートで理想的に映りますが、

活字を読むだけでは分からない人間の本心。

直接面と向かって話す事でしか伝わってこない温度感。

そんなフィジカルコンタクトの重要性を、

逆説的に示唆している作品でもあるのだと思います。

SNSに於ける匿名の危険性。

信憑性が疑わしいネット情報の危うさ。

ネット社会に対する危惧は今に始まった事ではありませんが、

こういった便利な物と共生する上で、

何度問い直しても決して無駄にはならない類の問題提起というものも、

確かにあったりするものだと思います。

そういった意味でもこの映画は革新的でありながら、

実に普遍的で私達の生活に密着したテーマであると言えるのです。

謎の失踪事件

画像引用:© 2018 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

ある日、突然姿を消してしまった高校生のマーゴット。

父親であるデビット・キムは、

娘の行方の手掛かりを得る為に、

娘のアカウントでFacebookや動画投稿サイトにログインし、

それまで知らなかった娘の生活に触れていきます。

娘のパソコンに残されていた痕跡を辿る内に、

知られざる本当の娘の姿が浮かび上がってくるという展開の見せ方が、

実にリアルで引き込まれていくのです。

事件の真相に迫るにつれて、

娘への疑いが持ち上がったり、周囲の人間の悪意を疑ったり、

次第に疑心暗鬼に陥っていく父親の姿も実に悲痛です。

SNSで交流のあった娘の友人達を訪ねるも、

皆表面的な付き合いで何の手掛かりも得られない。

現代人の他者との関係性の希薄さ、

その曖昧で不確かな世界の脆さが強調される場面です。

インターネットの普及など精々30年位の話に過ぎないというのに、

如何に私達の生活がすっかりネットに依存してしまっているか。

情報はいくらでも氾濫しているのに、

たった一つの知りたい事が分からない。

娘はどこに行ったのか?

パソコン画面上を彷徨うマウスポインターの動きが、

如実に父親の心情を表現しています。

狼狽え、疑い、怖れ、祈る様にクリックする様。

誰もが見慣れたパソコン上の映像だからこそ、

その操作の加減だけで感情が伝わってくる見事な演出であったと思います。

年頃の娘が父親に打ち明けられなかった秘めた想い。

本心に気付いてあげられなかった後悔の念が、

父親の執念となって事件の解明に突き進んでいきます。

正に家族の絆が導いていく新しい形のサスペンス映画。

重要な事は細部に宿ると言いますが、

小さな違和感が事の真相に鋭く迫っていく展開は、

実に迫力があって見物です。

新作メニュー

今日のおつまみは【鶏皮餃子】です。

妻の創作おつまみシリーズの新作。

鶏皮を餃子の皮替わりにして、

挽肉にザーサイのみじん切りを混ぜたタネを包みます。

一枚大葉を間に挟むのがポイント。

これであっさりとした風味を加えられるそうです。

タネにしっかり目の味付けがされているので、

タレなどは付けずに十分美味しいです。

これはヤミツキの味。リピート間違い無しの一品でした!

氾濫する情報の中の真実

画像引用:© 2018 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

多くの人がSNSなどで自分のパーソナリティを主張する時代。

膨大な量の情報が氾濫し、

何が真実でどれが偽りであるかという事が、

実に分かり辛くなってしまっています。

人は自分に都合の良い情報だけに目がいき、

それを信じてしまう傾向にあるので、

逆にそれを利用した商法や犯罪も後を絶ちません。

そんな混沌とした社会の中で、

たった一つの命を守る為に、

事件の真相に迫ったものとは、

結局はやはり父娘の絆だったのです。

父親はどんな絶望的な状況でも希望を捨てず、

娘を信じ可能性を追い続けました。

自分が言えなかった事や、

本心では無かった事に対する後悔の念を抱え、

娘に掛けてあげたかった言葉を胸に奔走します。

如何にデジタル世界の利便性が世界を動かしていようとも、

最後まで彼を突き動かしたのは娘への「愛」だったのです。

それに勝る情報は無いのです。

ネット社会に埋没する事への警句は確かにあるのですが、

そこでしか繋がれない人間の絆も否定する事無く、

自分の信じる物への失わない愛情を描く事で、

大切なのはデジタルであろうがフィジカルであろうが、

自分の気持ちに嘘を吐かずに素直になる事。

その重要性を問う作品だったのでは無いかと感じました。

ネット社会を肌で感じたい時に観る映画。

この作品には決定的な悪人は登場しません。

皆が何かを守る為に暴走したり道を踏み外したりします。

0か1かのデジタルの世界では、

ジャッチはシビアで実にはっきりとしてます。

しかし人間というものは迷いの中で生きるもの。

間違えるし、疑うし、失敗を重ねます。

でもまた赦す事も出来る。

間違いを正す事も、やり直す事も出来る。

非効率的で不可解な存在ですが、

そうやってでしか分かり合えない部分も、

人間として美しいのだとこの映画は教えてくれています。