サスペンス映画

映画【L.A.コンフィデンシャル】おつまみ【鰻丼】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【L.A.コンフィデンシャル】です。

謎めいた事件に挑む3人の刑事の葛藤を描いた、

骨太のクライムサスペンス作品です。

この映画はこんな人におススメ!!

●本格的なフィルムノワールを欲している人

●50年代のL.A.の雰囲気を味わいたい人

●男達の熱い物語を求めている人

●完璧な脚本に酔いしれたい人

タイトルL.A.コンフィデンシャル
製作国アメリカ
公開日1998年7月18日(日本公開)
上映時間138分
監督カーティス・ハンソン
出演ガイ・ピアース、ラッセル・クロウ、
ケビン・スペイシー、キム・ベイシンガー、
ジェームズ・クロムウェル、ダニー・デヴィート

巨悪に立ち向かおうと思った時に観る映画

今回は本格的な犯罪映画のおススメです。

50年代のロサンゼルスを舞台に、3人の刑事が警察の内部犯罪に迫っていく、

緊迫感満点のサスペンス作品です。

この3人の刑事がタイプの全く異なる人物達で、

各キャラクターの描き分けが見事という他無い出来栄えです。

インテリで正義感が強く、曲がったことを許容出来ないガイ・ピアースが演じるエド。

寡黙で腕っぷしが強く、激情型でやや堅物なラッセル・クロウ演じるバド。

軽妙な雰囲気を漂わせ、派手で世渡りが巧いケビン・スペイシー演じるジャック。

相容れるはずの無い3人が、ぶつかり合いながらも協力し、

警察内部に蔓延る巨悪に立ち向かっていくという脚本が本当に良く出来ています。

それぞれのキャラクターが実に人間らしく、実在感を伴って観客に浸透していくので、

物語の展開により集中する事が出来るのです。

どのキャラクターに感情移入するかで物語の感じ方も変わってきますし、

謎めいた事件の裏に潜む巨悪に、観客も一緒になって近付いていく迫力を味わえます。

インパクトのある映像や、装飾的な要素での誤魔化しでは無い、

人間をしっかりと描く事で、強烈に引き込んでいく映画本来の魅力が

たっぷりと感じられる作品であると思います。

クラシックハリウッドの幻想

映画の舞台はロサンゼルス。

50年代のハリウッドはまさに黄金時代。夢の国です。

きらびやかな社交界。成功者と敗者が激しく交錯する街。

ギャングが街を牛耳り、犯罪が蔓延る淫靡な裏の顔もあります。

このエネルギッシュで怪しいクラシックハリウッドの雰囲気を、

映画は実にリアルに生き生きと描き出しています。

徹底した時代考証の元にデザインされたセットや美術の数々。

シックで洗練された衣装やメイク。

そして物語を強烈に盛り上げるジェリー・ゴールドスミスの秀逸な音楽。

どのシーンを観ても寸分の隙も無い、見事な映像が惜しげも無く展開していきます。

138分間のタイムトリップとも言うべき圧倒的なディティールで、

安心して物語に肩まで浸る事が出来ます。

映画は総合芸術と言われますが、

各セクションで様々なクリエイターが知恵と技術を絞って仕事をしています。

それぞれの音色をタクトするのが監督で、演奏する楽曲が脚本。

一流の演奏を最高のホールで鑑賞した様な満足感が

この作品にはあります。

映画ファンや批評家に絶賛された今作の魅力は、

キャストの素晴らしい演技とスタッフワークが見事に結実した、

その奇跡の瞬間に立ち会える喜びに他なりません。

奇跡の食材

今日のおつまみというかお食事は【鰻丼】です。

ああ、奇跡の食材とは正にこの事ですね。

川底でぬらりと光る、エイリアンの如き薄気味悪い黒い棒が、

何故にこんなに旨いのか。

誰がこのクリーチャーの腹を掻っ捌き、炭で焼き、極上のタレと共に

お米様の上へ鎮座させたのか。

天才過ぎますよね。ノーベル賞を付与したいです。

割き、串打ち、焼き。

職人の卓越した技術の総合芸術を口に頬張る幸甚。

この鰻様は「炭火焼寝床」という大阪心斎橋にあるお店のお取り寄せ。

妻の母君からの結婚記念日祝いの品です。

食いしん坊な我々に最大の幸せを与えていただき、

ありがとうございます。

この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

それぞれの正義

画像引用:IMDb

映画の骨幹をなすテーマは「正義」です。

犯罪を取り締まるのが警察の仕事ですから、

「正義」の名の元に為されるのは当然の事です。

しかし「正義」とは人それぞれの形を取るので一筋縄ではいきません。

時には法に背く「正義」もあり、秩序の為に闇に葬られる「正義」もあります。

暴力と権力に支配されたロサンゼルスに生きる人々の、

「正義」に対する悲哀がこの映画をよりセンチメンタルなものにしています。

様々な理由で夢の街に集まった人々は、

己の信念をいつしか忘れ、疲弊し、気が付けば「不正」の片棒を担いでいます。

生きる為に、強者の下に敷かれる弱者たち。

悪者を挫けば「正義」が達成するのでは無く、

この社会のシステムを変えない限り、「不正」は受け継がれていってしまう。

まるで街が人の夢や希望を吸い取って大きくなっていく様に。

3人の刑事達も決して清廉潔白の英雄ではありません。

トラウマを抱え、弱い心を引き摺りながら何とか奮い立っています。

警察だけでは無く、社会には「不正」や「差別」が絶えません。

声を上げれば潰され、疑問を持てば疎外されてしまいます。

そんな世の不条理に一石を投じた等身大のヒーロー達が、

僅かな希望を残すこの映画のラストシーンは必見です。

何度も何度も観るべき作品だと思います。

星の数ほど映画はありますが、

心血注がれたプロの仕事が見事に結合した、

奇跡の様な作品はほんの一握りしか存在しませんから。