コメディ映画

映画【ナイト・オン・ザ・プラネット】おつまみ【おつまみ三種盛り】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【ナイト・オン・ザ・プラネット】です。

ジム・ジャームッシュ監督の独特のわびさびが魅力の、

お洒落な短編オムニバス作品です。

この映画はこんな人におススメ!!

●お洒落な映画が観たい人

●中々寝付けない人

●一期一会の会話が好きな人

●夜の都市の空気を吸いたい人

タイトルナイト・オン・ザ・プラネット
製作国アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本
公開日1992年4月25日(日本公開)
上映時間129分
監督ジム・ジャームッシュ
出演ウィノナ・ライダー、ジーナ・ローランズ、
アーミン・ミューラー=スタール、ベアトリス・ダル、
ロベルト・ベニーニ、マッティー・ペロンパー

長い夜を持て余した時に観る映画

今回は映画ファンの間で根強い人気を誇る作品のおススメです。

監督のジム・ジャームッシュはインディペンデンス映画界を長く牽引する

反主流の代表格の様な存在ですが、

この【ナイト・オン・ザ・プラネット】は公開後じわじわと評価を高め、

一つのファッションアイコンにまで到達した異質の映画と言えます。

所謂、通好みのお洒落な映画と言えば必ず名前が上がる作品です。

ジャンル分けも困難な不思議な作品なのですが、

往々にして笑える描写があり、笑わせようという意図も感じるので

コメディ映画とさせていただきました。

でもこの作品は高い人気とは裏腹に、観る者を選ぶ映画だと思います。

決して万人受けする様なタイプの作品では無いのです。

では何故、これ程までに話題に上り

公開後30年が経っても観続けられるのでしょうか?

今回再鑑賞して個人的に感じたのは、

他の映画から得る刺激とはちょっと違う、

体の内側から何かを湧き出させる様な不思議な効能のある

作品だと思いました。

映画の中にいながら、自分自身と向き合えるとでも言えばいいんでしょうか。

本当に不思議な感覚に囚われる映画なのです。

全ての夜は繋がっている

映画は5つのショートストーリーから成るオムニバス形式を取っています。

全ての話に共通するシチュエーションは、タクシードライバーと客という点。

それも深夜の街を流すタクシーでの車内の会話劇。

ショートコントの様な映画です。

ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキ。

様々な事情でタクシーを走らせるドライバーと、

偶然乗り合わせた客とのつかの間のやり取り。

長い人生のほんの一瞬のすれ違いだからこそ起きる、不思議な交感。

交わり離れる刹那の余韻が、独特の人生讃歌の様な優しさを感じさせます。

長い夜は、国を超え繋がってる。

次々に陽が落ちて、空気が軋み、街は静まり、張り詰める。

どこかを目指す人々が車に乗り、到着し、離れていく。

そして白々と夜は明け、ドライバーも家路に付いていく。

何気ない日常の、何気ないシーンを切り取ってスクリーンに映し出す。

ジム・ジャームッシュの視線の先にある生活のリアルな手触りが、

じっくりと観客の手の平にも伝わってくる様です。

あの夜の苛立ちも、あの夜の喜びも、あの夜の悲しみだって繋がっている。

映画の中で自分自身のあの夜と向き合う、

不思議なトリップを体験出来る作品なのです。

オムニバスおつまみ

今日はおつまみもオムニバス。

妻の創作シリーズ三種盛りです。

豪華ラインナップは左上から「人参のクミンラペ」

「ひじきとツナのマヨネーズ和え」「チーズかりかり焼き」です。

どれも簡単調理で、バラエティに富んだ味を楽しめます。

色んな物をちょっとずつ味わえるのってお得な気分ですよね。

映画もおつまみも一期一会の出会いです。

何と出会う事になるか分からないから楽しいですよね。

夜のリレー

画像引用:IMDb

谷川俊太郎さんの詩に「朝のリレー」という作品がありますが、

この映画は正に「夜のリレー」ですね。

こうしているこの瞬間にも、どこかの国では深夜タクシーが街を走り、

誰かと誰かの人生がつかの間交差しているのです。

車はただの移動手段では無いと思います。

運ばれるというよりは、運ぶ。

体と一緒に感情も乗せて、自由にハンドルを切る。

右に行っても、左に曲がっても、最後は目的地に着き、そっとドアを閉める。

この映画が不器用にたどたどしく観客に伝えようとしているのは、

今日という日が昨日や明日とは似ているけど違うという事だと思います。

繋がっているけど、その瞬間にしかないものだという事。

逆説的な解釈かも知れませんが、

良い日も悪い日もあって、

それでも今日という掛け替えのないものが

ずっと繋がっていくという事は、

そんなに悪くないっていう感じの映画だと思います。

ジム・ジャームッシュ監督らしいシニカルでぶっきら棒な物言いですが、

何だか温かい気持ちにさせられるからこそ、

この作品は長く愛されるのではないかと思います。