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こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【シコふんじゃった。】です。
1992年公開の周防正行監督作品。
大学の弱小相撲部を舞台にした、
笑えて感動できる、爽やかなコメディ映画です。
バブル末期の懐かしい雰囲気も味わえます。
この映画はこんな人におススメ!!
●90年代に懐かしさを感じる人
●毒の無いコメディ映画を観たい人
●相撲が好きな人
●何かに夢中になりたい人
タイトル | シコふんじゃった。 |
製作国 | 日本 |
公開日 | 1992年1月15日 |
上映時間 | 105分 |
監督 | 周防正行 |
出演 | 本木雅弘、清水美砂、柄本明、 竹中直人、田口浩正 |
本気になれるものを探している時に観る映画
今回は懐かしい日本映画の傑作のおススメです。
1989年公開の【ファンシイダンス】で評価を集めた周防正行監督が、
前作と同じく本木雅弘を主演に撮ったコメディ作品です。
大学3部リーグの弱小相撲部に半ば強引に集められた素人の学生達が、
次第に本気で相撲と向き合い、自分の殻を破っていくという物語。
個性豊かなキャスト達のエネルギッシュな演技が初々しく、
魅力的な会話劇と躍動するアクションが楽しめる作品になっています。
当時のバブル後期の華々しい雰囲気がそこかしこに感じられ、
軟弱な学生達が本気で人生にぶつかっていく姿を爽やかに描いています。
楽する事とモテル事にしか興味が無かった主人公の秋平が、
正に裸一貫で本気になれるものに夢中になっていく姿が感動的です。
心技体の演技合戦
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今作は日本アカデミー賞やブルーリボン賞、報知映画賞などを総ナメにし、
キネマ旬報ベストテンでも日本映画第1位の高評価を集めています。
人気アイドルとしてのイメージを脱却し、俳優としての評価を決定づけた本木雅弘。
テレビコメディアンとして知る人ぞ知る存在だった竹中直人。
コンビのお笑い芸人で、当時駆け出しの俳優だった田口浩正。
周防監督にスカウトされ今作が映画デビューとなった宝井誠明。
そんな彼等の若き向上心とエネルギーがぶつかり合って、
化学反応を起こした様に絶妙なアンサンブルを醸しだしている所が今作の魅力の一つです。
それまでの稽古の成果を立ち合いの一瞬に掛ける相撲の緊張感の様に、
心技体で競い合う演技の立ち合いが、観る者を惹き付けて止まないのです。
彼等の自然体の魅力を引き出した周防監督の演出力は目を見張るものがあります。
正に映画のストーリーと同じ様に、本気になって何かを成し遂げる事の面白さを、
俳優達は地で経験していくのです。
小津安二郎に憧れ、ピンク映画の世界に潜り込み、
豊富な助監督経験で得た演出へのこだわりが、
演者のエネルギーと見事に結合した作品になっています。
相撲に向けられた斜陽世界への偏愛は、
そのまま周防監督の映画愛であると言えるのかも知れません。
おつまみのインパクト
今回のおつまみは【ハリケーンポテト】です。
最近コンビニなどでも人気らしいのですが、
あれ食べたいと言ったら、妻がネットでレシピを見て作ってくれました。
若干切り込みに個性が滲み出ていますが、
カリッと揚げられていて美味しかったです。
おつまみも見た目の個性とインパクトが大事な時代。
キャストの個性を活かす名監督の様に、
素材を活かした個性的な一品です。
伝統の保守と破壊
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この映画のテーマとも言える伝統の保守と破壊。
相撲は日本の国技とも言われ、兎角伝統と確執を重んじる世界です。
この作品でも女人禁制の伝統や、過剰な上下関係に象徴される様な、
相撲の持つ近寄りがたい様な伝統への、ある種のアンチテーゼを読み解く事が出来ます。
そもそも相撲はスポーツや興行である前に神事であり祭事という側面があります。
土俵の神に対する様々な儀式が取り組みの前後にあり、
女性が土俵に上がる事はご法度とされています。
この映画では女性マネージャーが負傷した部員の代わりに、
男装して相撲を取るシーンがあります。
映画のタイトルであるシコふんじゃった。というのは、
相撲とは縁遠い若い学生や女性達が、
それまで禁じられたり、興味の対象外だった物に一歩踏み出した時の、
素直な感想としての一言なのだと思います。
その他愛の無い一歩がもたらす感慨が、
その人の人生を変えてしまう様な変化にも成り得るという事。
そこに伝統や常識を破壊する事の意味がある様な気がします。
本気になれるものを探している時に観る映画。
バブル期の狂乱に、生きる意味を模索する若者のリアルな姿を描いた作品。
個性豊かな才能のぶつかり合いが、映画に味わい深い笑いと感動を与えています。
何か夢中になれるものを探しているという人には、
打って付けの作品だと思います。
公開から30年以上の月日が経っても色褪せない魅力を持った映画のおススメ。