画像引用:© 2025 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND DOMAIN PICTURES, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【罪人たち】です。
2025年公開のアメリカのホラー・アクション作品。
人種差別の激しかった1930年代のミシシッピ州の田舎町を舞台に、
ブルース音楽とギャング映画とヴァンパイア映画を大胆にミックスした、
常識破りのエンターテインメント作品になっています。
アカデミー賞に於いて史上最多となる16部門のノミネート。
全米大ヒットを記録した規格外の映画のおススメです!!
この映画はこんな人におススメ!!
●ブルースが好きな人
●三度の飯より吸血鬼な人
●黒人の歴史に興味がある人
●兎に角驚く様な映画が観たい人
| タイトル | 罪人たち |
| 製作国 | アメリカ |
| 公開日 | 2025年6月20日(日本公開) |
| 上映時間 | 138分 |
| 監督 | ライアン・クーグラー |
| 出演 | マイケル・B・ジョーダン、ヘイリー・スタインフェルド、マイルズ・ケイトン、デルロイ・リンドー |
ブルースの神髄に触れたいと思った時に観る映画
これは常識を遥かに超えた驚きの映画です。
映画ファンなら必見の作品と言えるでしょう。
第98回アカデミー賞に於いて、
史上最多となる16部門にノミネートされ、
脚本賞、主演男優賞、撮影賞、作曲賞の4部門を受賞しました。
興行的にも全世界で3億ドルを超える大ヒットとなり、
大きな社会現象となりました。
監督・脚本のライアン・クーグラーは、
2018年の大ヒット作【ブラックパンサー】の監督。
また【ロッキー】のスピンオフシリーズ【グリード チャンプを継ぐ男】でも、
主演を務めたマイケル・B・ジョーダンとは長年のコンビとなります。
黒人差別が根強かった1930年代のアメリカ南部ミシシッピ州。
そこで黒人労働者達の労働歌として生まれたのが「ブルース」です。
白人達からは「悪魔の音楽」と揶揄されていた「ブルース」の、
正に悪魔的な熱狂を捉えた映画中盤の演奏シーンの迫力。
差別に苦しんだ黒人達の自由への渇望を表現した音楽の力が、
まるで深い怨念の様に時代を交錯して描写される見事なシーンです。
この作品は派手なアクションやヴァンパイアホラー要素を売りにした
単なるエンターテイメント作品ではありません。
ブルースを通して長くアメリカ社会で分断され虐げれてきた人々の、
自由への戦いを暗に表現したブラックパワームービーでもあるのです。
相反する価値観

画像引用:© 2025 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND DOMAIN PICTURES, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
物語は1930年代のアメリカ南部の田舎町を舞台とし、
双子のギャング、スモークとスタック(マイケル・B・ジョーダンが一人二役)が
故郷の町に戻り酒場を開こうと画策する所から始まります。
そんな彼等が目を付けたのが類稀な音楽的才能に恵まれた従兄のサミー。
厳格な牧師の父親を持つ彼は音楽の力で自立したいと夢見る青年でした。
今作の設定でまず目を引くのは主人公が双子という所。
兄のスモークは寡黙な質実剛健、
目的の為なら手段は択ばない非情な所を併せ持つ頼りがいのあるタイプです。
対する弟のスタックは愛嬌のあるお調子者、
しかし危険に対する防衛本能が高く猪突猛進なタイプの人間です。
この兄弟のキャラクターの対比が面白く、
ストーリー展開にも大きく影響していく所も良く考えられています。
彼等は都会で稼いだ大金を元手に一攫千金のビジネスに動き出すのですが、
そこへ予想もしなかったこの世ならざる者達の襲撃を受けるという物語なのです。
ここでも生ける者と死せる者という相反する価値観の対立。
白人と黒人の対立、男と女の価値観の相違、年寄りと若者との考え方の違い。
あらゆる価値観の相違が一夜の狂乱の中で渦巻いていく様は、
観ていて目も眩むばかりの思索の洪水です。
監督のライアン・クーグラーが一貫して描いてきた、
社会が抱える歪と対立の歴史。
単純な勧善懲悪では裁く事の出来ない、
双方が抱える複雑な歴史と考え方。
どちらが「善」でどちらが「悪」であるとも断じ得ない、
ヴァンパイアでさえも生ける者達よりもある意味で自由で平等な存在として描く中に、
監督の思想に於ける深い考察を窺い知る事が出来る様です。
分断と対立が更に深く影を落とす現代に於いて、
「善」と「悪」の境界線は更に複雑で見極め難く、
私達は二元論では割り切れない本当の「自由」について、
もっと考えていかなければならないと示唆されている様な気がします。
おつまみの神髄

今日のおつまみは【生ハムとズッキーニのピザ】です。
よくスーパーで売られているチルドピザを我が家では具を足してアレンジします。
今回はソーセージピザの上にズッキーニと生ハムをプラス。
更にジェノバソースを掛けて味のプラス。
チルドピザとは思えない豪華なお味にパワーアップしました。
おつまみの神髄はアレンジに有り。
使い古されたテーマも視点を変えてアレンジすれば、
新しい価値観を持った作品に生まれ変わります。
負の歴史に夜明けはくるのか

画像引用:© 2025 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND DOMAIN PICTURES, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
映画の中盤に象徴的なシーンがあります。
主人公達が立て籠もる酒場を取り巻く、
この世ならざるヴァンパイア達の狂乱のシーンです。
彼等は実に楽しそうに、
黒人も白人も男も女も関係無く輪になり歌い踊っています。
これはアイルランド民謡の「ロッキー・ロード・トゥ・ダブリン」という曲。
アイルランド人達も多くアメリカに移民として渡ってきましたが、
奴隷強制労働者として連れて来られた黒人達とはまた違う、
苦しみを負ってきた人々でもある訳です。
これら負の歴史には誰が完全なる「悪」であるという話以上に、
長い歴史の中で人類そのものが犯してきた「罪」であるとも言えます。
そういった意味では誰しもが「罪人」であり、
その歴史は今にも引き継がれているのです。
黒人労働者達が生活の苦しみと人生の悲哀を吐露した「ブルース」が、
その後ジャズやロックのルーツになったのは有名ですが、
人間の根源にある「生」への渇望が、
音楽の形を取って人間にこの世ならざる「力」を与えるという事が、
この映画のテーマの根幹にあるのだと思います。
映画のエンドクレジットに於いて、
伝説のブルースギターリストであるバディ・ガイが、
老いたサミー役で出演し弾き語りを披露しています。
映画というフィクショナリティと、現実世界のリアリティとが、
えも言われぬ重厚な感慨を持って重なり合った名場面です。
罪深き人間が抱える深い「業」。
血生臭い歴史の中で「音楽」が紡いできた微かな「希望」。
何かそんな言葉にしたら途端に陳腐に成り下がってしまう様な大切なものが、
この映画には込められているのだと感じました。
ブルースの神髄に触れたいと思った時に観る映画。
音楽の偉大な力をこんな形で表現出来るとは本当に驚きました。
荒唐無稽なホラーアクションムービーとしての娯楽性も勿論あります。
しかし映画ファンにとってはやはりこの作品の根底に流れる、
「ブルース」という悲しくも美しい音楽が
人々にどう受け継がれてきたのかを、
感じ取って欲しいと思います。
これは何度観ても感動出来る娯楽作品です。
映画にはまだまだ本当に驚かされます。



