アニメーション映画

映画【THE FIRST SLAM DUNK】おつまみ【海老と三つ葉のかき揚げ】

画像引用:© I.T.PLANNING,INC. © 2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

この映画はこんな人におススメ!!

●スラムダンクのファンの人

●バスケットボールが好きな人

●熱いスポーツの世界を体感したい人

●人間の成長の物語を見たい人

タイトルTHE FIRST SLAM DUNK
製作国日本
公開日2022年12月3日
上映時間124分
監督井上雄彦
出演仲村宗悟、笠間淳、神尾晋一、
木村昴、三宅健太

あの頃の興奮を蘇らせたい時に観る映画

30年以上の時を経て、今尚色褪せない傑作漫画「スラムダンク」。

当時小学生だったわたくしころっぷも例に漏れずコミックが発売される度に、

夢中で読み耽っていました。(ジャンプは買わない派でした)

スポーツ漫画としての面白さも然る事ながら、

何と言っても登場人物達のリアルな描写が秀逸な作品で、

子供から大人まで楽しめる唯一無二の作品でした。

正直、コミックが完璧過ぎる作品なのでテレビアニメに関しては、

個人的には今一つという印象でした。

今回の映画化に関しても第一報を聞いた時には懐疑的な気持ちでした。

しかし脚本・監督が漫画の作者である井上雄彦氏が務める事を知って、

これは大事件だと思いました。

そして劇場公開後の大ヒット。

軒並みの高評価、勿論そのタイミングで観に行くべきだったのですが、

遂に劇場鑑賞を逃しレンタル開始のタイミングでやっと鑑賞しました。

結果は大満足の出来。

いや期待以上の大傑作でした。

子供の頃の興奮と感動が蘇り、

大人になった今だからこそ分かる人間ドラマの奥深さ。

革新的に進化したアニメーション技術が可能にした複雑な動きの描写。

スピーディでスリリングなカット割りや構図。

漫画では描かれなかった過去の物語と原作との見事なリンクの脚本。

伝説の作品の名を汚す事の無い、完璧なブラッシュアップ作品になっていました。

時を経て蘇る名シーンの数々

画像引用:© I.T.PLANNING,INC. © 2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

まず驚いたのは、キャラクターの動きの滑らかさ。

刻一刻と変化するバスケットボールゲームの臨場感を完璧に表現した、

CG動画のクオリティの高さ。

画面上のキャラクターがそれぞれに違う動きと表情を、

凄まじいスピードで変化させていく描写は本当にリアルで、

一切のストレスを感じる事無く観客をゲームに集中させてくれます。

原作ファンにとってはお馴染みのシーンでも、

これ程までの臨場感を持っての再現にはそれだけでもう感涙物です。

漫画とはコマの大きさや形、配置などの苦肉の策で「時間」というものを表現しますが、

アニメーションの利点を最大限に活かし、尚且つ緩慢な印象を一切与えずに

描写するのは並みの技術ではありません。

極限までこだわり抜いたカット割りが、原作シーンの迫力を損なう事無く

再現されているのは、やはり井上監督の手腕が大きかったのだと感じます。

本編の主役、桜木花道を脇に押しやり、

チームの屋台骨である宮城リョータを主役に据えたのも、

監督の大胆かつ現代の観客に合わせた聡明な戦略であったと思います。

メンタルモンスターの怪人タイプの花道では無く、

繊細で複雑な生い立ちを負ったリョータの物語にする事によって、

より現代にフィットしたテーマを獲得しています。

複雑で多様な世相への問題意識、

そしてその先にある普遍的な人間の成長。

仲間と切磋琢磨し強くなっていく青年の姿に、

暑苦し過ぎない現代的な理想の成長物語が描かれています。

天下無双のおつまみ

今日のおつまみは【海老と三つ葉のかき揚げ】です。

これまた妻の好物の海老様の登場。

三つ葉との組み合わせは甘味と苦味のコントラスト。

豊かな香りと海老の食感のバランス。

熱々を頬張って白ワインで流し込む。

まさに敵なし天下無双の山王工業高校の様なおつまみです。

終わらない物語

画像引用:© I.T.PLANNING,INC. © 2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

「スラムダンク」という作品の魅力を一言で表現するのなら、

「若者が自分を乗り越えていく物語」だと思います。

それぞれのキャラクターには越えられない壁、

勝てない相手、変えられない過去などがあります。

若者達は苦悩し、試行錯誤し、時には道を誤り、

己の存在の小ささを骨身に感じます。

そして残酷なまでに打ちひしがれてしまうのです。

しかしこの作品の素晴らしい所は、

それらを乗り越える為にこそ人間関係というものが存在している点なのです。

それはライバル、仲間、敵、親友、憧れの人、チームメイト。

自分一人の力では越えられなかった壁を、

彼等は周りの人間から受ける影響の力で乗り越えていくのです。

それは団体スポーツとしての素晴らしさでもありますが、

まさに青春物語の王道でもあります。

時にユーモラスに、時に熱く、青春のド真ん中でもがく姿。

それは観ている我々にとっても少なからず経験のあるものであり、

或いは経験したかったなぁと羨ましく感じる所でもあります。

それは時代を経ても終わらない永遠の物語。

変わらない人間存在のテーマなのです。

たかがスポーツ、たかが漫画、たかが青春と高を括っていると、

とんでもない感動が押し寄せてきて心を持っていかれてしまいます。

あの頃の興奮を蘇らせたい時に観る映画。

誰しも自分にとって大切な漫画というものがあるのでは無いでしょうか?

わたくしにとってはド真ん中世代だったこの「スラムダンク」と、

数え切れない程何度もアニメを観た、あだち充先生の「タッチ」です。

どちらもスポーツをテーマにした人間の成長物語です。

この令和の世に湘北高校のメンバーの雄姿がまた観られるとは想像もしていませんでした。

本当に一気に小学生のころっぷに戻っていました。