恋愛映画

映画【ワイルド・アット・ハート】おつまみ【きのことベーコンのリゾット】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【ワイルド・アット・ハート】です。

奇才デヴィッド・リンチ監督の常識破りな破壊的ラブ・ストーリーです。

この映画はこんな人におススメ!!

●超ハイテンションな映画が観たい人

●ワイルドな気分になりたい人

●ぶっ飛んだ映画を探している人

●デヴィット・リンチ初体験の人

タイトルワイルド・アット・ハート
製作国アメリカ
公開日1991年1月15日(日本公開)
上映時間124分
監督デヴィッド・リンチ
出演ニコラス・ケイジ、ローラ・ダーン、
ダイアン・ラッド、ウィレム・デフォー、
ハリー・ディーン・スタントン、イザベラ・ロッセリーニ

常識のその先に足を踏み入れたいと思った時に観る映画

またまた強烈な作品をおススメ致します。

映画の多様性を地で行く様な、孤高の奇才デヴィッド・リンチ監督作品です。

1990年のカンヌ国際映画祭においてまさかのパルムドール受賞。

超ハイテンションなバイオレンス・ロード・ムービーとして、

映画ファンの間では伝説的な作品として語り継がれています。

主人公のカップルを演じた若かりし頃のニコラス・ケイジとローラ・ダーンの、

タガが外れた様な強烈な演技は、一度観たら頭から離れる事は無いでしょう。

常識の外側にある痛快さ。何にも囚われない自由な姿。

破天荒で暴力的な男と、強迫症気味の女の物語なのですが、

互いを純粋に深く愛し合う姿には、一周通り越して美しさすら感じてしまいます。

映画は様々な愛の形をこれまでに表現してきましたが、

このカップル程互いを必要とし合い、信じ合う姿はちょっと記憶にありません。

既成概念では理解出来ない、ある意味で高次元過ぎる二人だけの世界に、

一歩足を踏み入れればもう後戻りは出来ません。

地獄まで一直線のハードな旅が始まってしまうのです。

おとぎの国の逃避行

物語の構図は逃避行です。

ヒロインの母親は病的なまでの愛情で娘を愛していますが、

それ故にカップルの中を引き裂こうと執拗に追い掛けてきます。

殺し屋を雇い、ニコラス・ケイジ演じるセイラーの命を狙うのです。

荒唐無稽なストーリーではありますが、

夢と現実の境が曖昧な悪夢的世界観に一旦引き込まれてしまうと、

自分の身に迫った危機の様な圧迫感がそこにはあります。

暴力と猥雑さで足の踏み場も無いような世界。

倒錯し、世界の軸が歪んだよう様な不快感。

観る者を不安にさせる事では右に出る者がいない監督の、

独壇場ともいうべき不穏なイメージが次々と眼前に展開します。

「オズの魔法使い」が作品の重要なメタファーとして言及されますが、

デヴィッド・リンチ監督はこの「おとぎの国」の人を陶酔させる麻薬的な部分に似た、

映像の魔力に精通した専門家だと言えます。

表面的な見た目の裏に隠された、否が応でも噴出してしまう人間の陰の部分を、

滑稽さと恐ろしさの絶妙なバランスで表現していくのです。

普段見て見ぬ振りをしている物を、

圧倒的なビジュアルイメージで、強制体験させられてしまう。

この【ワイルド・アット・ハート】という映画は、

観客を無傷では帰さないクリエイターとしてのエゴとアイデンティティが、

凝縮したような作品なのです。

米に染み込む旨味

今日のおつまみは【きのことベーコンのリゾット】です。

米の状態からバターで炒めながら徐々に徐々に水を足して炊いていきます。

具材はシンプルにタマネギとベーコンときのこ類のみ。

味付けは顆粒コンソメと塩・胡椒のみ。

具材から出る出汁を米が貪欲に吸収します。

一粒一粒に凝縮された旨味。

若きニコラス・ケイジのギトギトの油分すら出汁として吸収した、

この作品にピッタリのメニューと言えます。

地球はおバカが回している

画像引用:IMDb

色々と語りはしましたが、この映画は基本おバカ映画です。

そのおバカ振りが余りに真剣に振り切っているので、世界が驚いたんだと思います。

そして純粋に愛し合う二人の姿には微笑ましいものがあります。

観ていてこっちが照れてしまえる程にピュアなんです。

本気で愛し、本気でぶつかり、どこまでも破滅的で、

しかし諦めない不屈の精神も持ち合わせる。

このコンプライアンスにがんじがらめになった現代では到底不可能な、

自由で激しい表現に満ちています。

勿論、暴力描写や性的シーンには議論があると思います。

特定の人や団体を差別する様な表現はあってはならないとも思います。

しかし敢えて言わせて頂ければ、偉大な作品には常におバカな創造性が付き物でした。

常識から逸脱した、不謹慎ですらある個性の力無くしては、

文学も音楽も映画も進化し得なかったというのも間違いない事実だと思います。

ただ奇をてらう為に、話題を呼ぶ為に、薄っぺらい狂気を振りかざせばそれはバレます。

本気でおバカになれる事の難しさは、想像を絶する様な事なのではないでしょうか。

この【ワイルド・アット・ハート】という映画に詰め込まれたおバカな狂気は、

限りなくピュアな愛を描く事で、意外な程に腑に落ちる普遍性を獲得しています。

つまりは何だかんだ言って、デヴィッド・リンチの掌で転がされていたという事なんです。

理解するのではなく、感じる映画

もしレンタルショップにそんなジャンルの棚があれば、

この映画は陳列されるに最も相応しい作品と言えるでしょう。