ヒューマンドラマ映画

映画【カモン カモン】おつまみ【鶏肉と夏野菜のチリソース炒め】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【カモン カモン】です。

伯父と甥の奇妙な共同生活。

演技を超えたケミストリーを体感出来る、

マイク・ミルズ監督渾身の人生讃歌。

この映画はこんな人におススメ!!

●子供との向き合い方に悩む大人

●大人との付き合い方に悩む子供

●演技を超えた関係性を観たい人

●家族の誰かと溝がある人

タイトルカモン カモン
製作国アメリカ
公開日2022年4月22日(日本公開)
上映時間108分
監督マイク・ミルズ
出演ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、
ギャビー・ホフマン
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世代を超えた友情に憧れた時に観る映画

今回のおススメは世代間の相互理解がテーマの作品です。

かつてフランソワ・トリュフォー監督は

「大人は判ってくれない」という作品で大人の不寛容に対する

少年の反抗を描きました。

いつの時代も大人は子供を理解出来ない。

子供も大人の理屈が分からない。

時に対立し、ぶつかり合うという図式は珍しくありません。

全ての大人はかつて子供だったというのに、

人生の悲喜こもごもを経験し大人になると、

子供の頃の気持ちや考え方を忘れていってしまうのです。

時代の違いによる世代間ギャップも勿論あります。

その時代その時代の常識や空気感というものがあるので、

自分の子供時代の尺度で測る事には無理が生じます。

普遍的かつ永遠のテーマですよね。

この映画はそこにじっくりと耳を傾け、

ゆっくりとした変化の中、

確かな希望を見出せる様な手触りを感じさせてくれます。

子供の頃にこんな大人に出会いたかったなぁと、

世代や関係性を超えた所に芽生える、

「友情」に熱くなれる作品になっています。

心の声に耳を澄ませる

映画の主人公、ホアキン・フェニックスが演じるジョニーは、

子供を専門にインタビューするジャーナリストです。

未来を担う子供達の生の声を、録音し記録として残すという使命を負っています。

「未来はどうなると思う?」「不安な事は何?」

子供達に向けられた質問はいたって凡庸なものですが、

真剣に答える子供達の意見は個性的で聡明なものばかり。

実際に映画本編とは関係無く行われたドキュメンタリーとしての

インタビューシーンが、映画に多様な側面を与えていて実に興味深いです。

これらのインタビューを聞いていると、

かつて自分が子供の頃に考えていた事や、不安だった事が蘇ってきます。

大人になった今もそれらは解決した訳では無く、

いつの間にか忘れてしまって、考えなくなっただけだと気付かされます。

生きる為に培われた様々な耐性が、感性を鈍らせてしまったとも言えそうです。

突然9歳の甥(ジェシー)と共同生活を強いられる事になった主人公のジョニーも、

試行錯誤しながら子供の気持ちを理解しようとしますが、やはり上手くいきません。

大人が思う程子供は単純では無く、複雑なひだで心を覆い隠しているからです。

寂しさや不安を表に出さないジェシーの挙動は、

自分を別の存在に置き換えて現実から目を逸らしている様にも感じられます。

理解しようと踏み込めば、その分だけ距離が離れる様なもどかしさ。

それは大人と子供だけに限らず、

人間同士の相互理解の難しさは何ら変わらないものです。

大人の視点から見た子供への固定概念や、またその逆も実に無意味なもので、

対等な存在として向き合う事で初めて回線が繋がるのだということ。

実に当たり前で単純な事を映画は教えてくれます。

相手の心の声に耳を澄ませる事は、

跳ね返って自分自身を知る事になる。

そこで出会う自分の姿は、以前と少し様子が違っていたりします。

ジョニーは自分自身が次第に変わっていくのを感じていきます。

食材の相互理解

今日のおつまみは【鶏肉と夏野菜のチリソース炒め】です。

鶏肉と茄子、ズッキーニをスイートチリソースで炒めた一品です。

鶏肉はどんな野菜とも相性の良い優等生。

茄子やズッキーニは肉の油を吸うと光る子です。

相手の長所・短所に合わせ、自分のポテンシャルを最大限に活かす仕事をする。

食材達の相互理解による幸せな形。

また時には想像外の組み合わせが化ける事もある。

料理には失敗を恐れぬチャレンジ精神が必要だったりしますよね。

人間関係も同様に試行錯誤を繰り返すしか無いのかも知れませんね。

全ての日常は二度と無い、唯一のもの

画像引用:IMDb

子供は何かを選んでそこにいるのではありません。

多くは選択の権利を持っていません。

生きる為に必死で周りに掴まれるものが無いか探します。

その掴まったものが壊れてしまわないか、細心の注意を払いながら。

9歳のジェシーにとって世界は、踏めば割れそうな氷上の様でした。

そこに現れた、つかの間の保護者たる伯父のジョニー。

ジェシーはいつもの通り、掴まっても壊れないものかを確かめる為に、

ジョニーを執拗に叩きます。

思慮深い上目でじっと見つめて、反応を見ています。

相手はどこまで自分と付き合う気があるのか。

どこがデッドラインで、離れて行ってしまうのか。

幼い子供がそんな処世術で生きる様になってしまうのは悲しい事でしょうか。

大人だって分からない事ばかりではないでしょうか。

大人も子供も不安でいっぱいなのです。

慣れない子守りと仕事に追われ疲弊するジョニーですが、

ジェシーとの日々の中で、自分自身の変化に気付いていきます。

何気ない日常の機微が、

その瞬間にしか存在しない掛けがえの無いものである事を知るのです。

幼いジェシーの中に自分自身を見ることで、

必死で相手を理解しようとしていた努力を止めにします。

互いに理解する事以上に、相手の気持ちを既に感じていたからです。

世代を超えた友情に憧れた時に観る映画。

これは大人と子供という関係性を超えた、

「友情」の物語です。