コメディ映画

映画【アメリ】おつまみ【チリコンカンライス】

画像引用:Ⓒ2001 UGC IMAGES-TAPIOCA FILM-FRANCE 3 CINEMA-MMC INDEPENDENT-Tous droits reserves

この映画はこんな人におススメ!!

●パリの街並を堪能したい人

●オシャレなインテリアや雑貨が好きな人

●都会の片隅で孤独を感じている人

●明日への希望を映画から分けて貰いたい人

タイトルアメリ
製作国フランス
公開日2001年11月17日(日本公開)
上映時間122分
監督ジャン・ピエール・ジュネ
出演オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、
ドミニク・ピノン、ジャメル・ドゥブーズ
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小さな幸せを感じたい時に観る映画

2001年に日本でも大ヒットし、

女性を中心にオシャレ映画として支持され続ける作品です。

監督は1991年の【デリカテッセン】で長編映画デビューした、

フランスの鬼才ジャン・ピエール・ジュネ。

1995年の【ロスト・チルドレン】でのノスタルジックでダークな世界観が注目され、

あの人気シリーズ【エイリアン4】の監督に抜擢されますが作品の評価は今一つ、

原点回帰でフランスに帰ってきて製作したのがこの【アメリ】でした。

その拘りの強い画面作りの粋をお洒落でポップな方向性にシフトし、

主人公のアメリの少し世間とはズレたキャラクター設定の妙も相まって、

サブカル好きの映画ファンの注目を集めました。

渋谷のミニシアター「シネマライズ」では記録的なロングラン大ヒットとなり、

映画誌のみならずファッション誌やカルチャー誌でも【アメリ】が特集され、

映画の枠を超えた社会現象ともなった作品でした。

目まぐるしく登場人物が紹介されていくオープニングのナレーションシーン。

大胆な色使いの美術や軽妙でシュールな展開などは、

後のウェス・アンダーソン監督にも通じる様な斬新で目を引く演出です。

映画の純粋な驚きと喜びに溢れた作風は、

老若男女を問わず愛されるエンターテイメント性と言えるでしょう。

相容れぬ独自の世界

画像引用:Ⓒ2001 UGC IMAGES-TAPIOCA FILM-FRANCE 3 CINEMA-MMC INDEPENDENT-Tous droits reserves

物語の舞台はパリのモンマルトル。

主人公のアメリは幼少期から空想好きのちょっと変わった女の子でした。

特異な環境で育った彼女は周りの人間と戯れる事を好まず、

自分の世界を確固として持ち独自の美学を貫くキャラクターでした。

それは安寧でもあり、孤独でもある閉鎖された世界。

そんな彼女がとある事をキッカケに、

他人の人生に小さな幸せを与え、それを自分の至上の幸福と考える様になっていくのです。

その類まれな想像力を駆使して用意周到な作戦を練って日常に些細な奇跡を起こす。

それは手段を択ばず、嘘も方便に、下手をすると違法行為にも成り兼ねない、

際どく独創的なプラン。

しかしそれは心優しき隣人達に、空想の力で与える人生の喜びなのでした。

都会の片隅で孤独を抱えて生きる市井の人々。

筋金入りの変わり者達が集まるモンマルトルのカフェを舞台に、

アメリは悪戯の様な作戦を練って彼等に小さな幸せを与えていきます。

アメリの好きな物は映画を見ている人の顔を見る事。

人の幸せを自分の幸せと感じられる人間なのです。

この物語は人間のコミニュケーションの多様性を示唆しています。

自分だけの他人には理解されない世界に籠っていようとも、

人の気持ちを理解して些細な影響を与えて交感する事は出来る。

相容れぬままに人は繋がる事が出来るという現代の寓話なのです。

幸福のカフェ

今日のおつまみは【チリコンカンライス】です。

実は今日のおつまみは妻の手料理では無く、

我々の大好きなカフェのテイクアウトメニューなのです。

そのカフェは情熱家の奥様が自家焙煎で美味しい珈琲を入れてくれて、

寡黙な旦那様のシェフが素晴らしい料理を出してくれるお店です。

シェフの料理はいつ行っても変わる事無く、

正直で誠実な味付けと盛り付けで提供されます。

その安心感と温もりが魅力のお店は、我々夫婦にとって掛け替えの無い場所になりました。

そんなすてきなカフェのある街に住めて、幸せな気持ちにさせてもらっています。

世界は孤独の集い

画像引用:Ⓒ2001 UGC IMAGES-TAPIOCA FILM-FRANCE 3 CINEMA-MMC INDEPENDENT-Tous droits reserves

アメリは周りの人間に些細な幸せをプレゼントして回ります。

それは小さな世界にコミットして自分以外の人間を知る旅でした。

感受性と責任感が人一倍強かったアメリは、

直接他人と打ち解ける事に尻込みしていましたが、

人を知るに連れ誰もが孤独で独自の世界に籠る住人である事を知っていきます。

この世界は孤独の集合体だったのです。

全ての人に好きな物と嫌いな物があって、

それは他人の理解を得る事は無く自分だけの思い出の中に埋没していく孤独です。

しかしそれだからこそ他人の人生と自分の人生は調和し得る、

互いが孤独を持ち寄るからこそ、触れ合う事の喜びが存在する。

このエスプリに満ちたお洒落なフランス映画は、

単純明快で最大公約数的なハリウッド映画とはまた違った方法で、

人生の素晴らしさを我々に教えてくれています。

小さな幸せを感じたい時に観る映画。

アメリが恋に落ちた相手も孤独であり独特な世界に籠る青年でした。

究極的に回りくどい方法でその想いを伝えようとするアメリ。

彼女の空想の力は加速し、様々な人々の人生に影響を与えていきます。

そして彼女が与えた些細な思いやりは周り巡って彼女に返ってくるのです。

世界が孤独の力で繋がっていく奇跡の様なおとぎ話。

映画の魔法が随所に感じられる素晴らしい作品だと思います。

是非、未見の方はご鑑賞下さい!