画像引用:©2012 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【アルゴ】です。
第85回アカデミー賞では作品賞を含む3部門の受賞。
1979年にイランのテヘランで実際に起きたアメリカ大使館占拠事件。
CIAの秘密工作部隊の作戦で大使館職員6人を映画撮影のクルーに仕立て上げ、
国外脱出を図るという実話を元にした作品です。
ベン・アフレックが製作・監督・主演をこなし、
ドラマチックな展開が手に汗握る、一級のサスペンスに仕上げられています。
この映画はこんな人におススメ!!
●中東問題に関心のある人
●ハラハラドキドキの展開を体験したい人
●歴史に埋もれた事実を知りたいという人
●嘘みたいな本当の話に興味津々な人
タイトル | アルゴ |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2012年10月26日(日本公開) |
上映時間 | 120分 |
監督 | ベン・アフレック |
出演 | ベン・アフレック、ジョン・グッドマン、 ブライアン・クランストン、アラン・アーキン |
嘘の様な本当の話が観たい時の映画
イギリスの詩人バイロンは「事実は小説よりも奇なり」という有名な言葉を残しましたが、
この映画は正に嘘の様な本当の話が元になっています。
1979年にイランで起きたアメリカ大使館占拠事件。
その最中に大使館職員6名を厳戒態勢のテヘランから救出させる為に、
CIAとハリウッドが手を組んだ壮大な作戦が実施されます。
それは6人の大使館職員を映画撮影のスタッフと思い込ませ、
空港から国外に脱出させるという荒唐無稽なプランでした。
これがイランの兵隊にバレてしまえば即時全員処刑されてしまいます。
タイムリミットも迫る中での緊迫した状況。
この嘘みたいな本当の話は、映画の持つフィクションの力を具現化する
最高の素材となったのです。
映画は作り話である事が前提ですが、
実話を元にした作品にも勿論、実際とは異なる描写が多く含まれています。
事実をそのままの形で伝える事が目的では無く、
その中にある真実を描く事に意義があるからです。
それは作家性であり、芸術性であり、娯楽性でもあります。
嘘の様な本当の話を、如何に本当の様に嘘をつくか。
何だかややこしいですが、この作品の成功にはそれを実現させた
見事な脚本と抑制された演出があったのです。
映画が人命を救う
![](https://eigahitotsumami.com/wp-content/uploads/2024/04/68236ac80b2c6800.jpg)
画像引用:©2012 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
物語の大筋は事実に忠実に描かれています。
冒頭のアメリカ大使館が過激派集団に占拠されるシーンなどは、
ニュース映像を見ているかの様な迫力のリアリティがあります。
この作品のダイナミズムは言わずもがな映像のリアリティなので、
美術、衣装、メイクに至る再現性は徹底的に成されています。
映画のエンドロールで実際の映像や人物が対比して映されますが、
正に見分けが付かない程のレベル。
映画の肝がディティールであるという事の実証です。
しかし一方、ストーリーの方は多いに創作が入ってきます。
細かい設定や展開において、
映画的誇張、盛り上げる為の演出、事実とは異なる描写が多々含まれます。
全体として余りにリアルなので、細部の差異が事実と違っていると批判も受けたそうです。
でもそもそもがこれはエンターテイメント作品です。
如何に面白く描くかという事を最優先すべき創作物なので、
事実との相違は当然で、そこに作り手の腕が発揮されるのも言わずもがな。
フィクション映画だという事を忘れさせてしまう程のリアリティを、
観客に感じさせたという時点で、既に作り手の大勝利なのです。
無理のない展開と誇張の緩急が、
観る者の価値観や常識の感覚を麻痺させて物語に没入させていく。
正に映画の魔法が最大限に効力を発揮しているという事なのです。
魔法の海老
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今日のおつまみは【海老とホウレン草のグラタン】です。
海老をこよなく愛する妻のリクエストで作りました。
どんな料理でもいい仕事をする海老は、
クリームソースとの相性も抜群。
今回は存在感のある殻付き有頭海老をたっぷりと使いました。
ほうれん草もこれでもかとたっぷり。
ソースは市販のものですが、いい出汁が出て絶品でした。
静かなヒーロー像
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画像引用:©2012 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
この映画でその才能を再評価されたベン・アフレック。
彼のキャリアが注目されたのは幼馴染のマット・デイモンと共に脚本を書き出演もした、
1997年の【グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち】。
それ以降も数々の話題作で重要な役を演じてきましたが、
当時は私生活のスキャンダルでキャリアは低迷気味な状況でした。
そんな彼が原点回帰で映画制作スキルの全てを注ぎ込んだのがこの作品でした。
この映画の主人公トニー・メンデスは人質救出のプロフェッショナル。
困難な状況にも冷静に対処する静かなヒーローです。
孤立無援の異国の地で逼迫する状況の中、指揮を執るトニーは
差し詰めスポーツチームの名指揮官の様。
困難なミッションに立ち向かい、自らの危険も顧みない行為は正にヒーローです。
そして本国で作戦の責任を担うCIAの上司、大使館職員達を匿ったカナダ大使、
作戦に協力したハリウッドのメイクアップアーティストやプロデューサー。
皆が前代未聞の救出作戦を成功に導いた隠れたヒーロー達でした。
この史実は、18年間国家機密として公開されて来なかったそうです。
彼等の命懸けの仕事は公にする事が出来なかったのです。
高バジェットのハリウッド大作でトップスターとなったベン・アフレックが、
キャリアの低迷から原点回帰する為に選んだプロットが、
この歴史の知られざる舞台裏で活躍した
影のヒーローだったというのは大正解だったようです。
嘘の様な本当の話が見たい時の映画。
映画というものが、何を目的に作られるものなのか。
ただ単にヒットをさせて大金を稼ぐ事だけに価値がある訳では無い。
勇気を持って困難に立ち向かった知られざるヒーロー達の活躍が、
観る者に大きな感動をもたらせる事の価値。
それが【アルゴ】というフィクション映画が成し遂げた真実の功績でした。