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こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【ブルーバレンタイン】です。
演技派俳優のライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズ共演の恋愛ドラマ。
愛の始まりと終わりを深い余韻と共に描き切った名作です!
この映画はこんな人におススメ!!
●愛の始まりの高揚感を味わいたい人
●愛の終わりの絶望感も見てみたい人
●愛が人生に何を与えるのか知りたい人
●愛が人生から何を奪うのかも知りたい人
タイトル | ブルーバレンタイン |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2011年4月23日(日本公開) |
上映時間 | 114分 |
監督 | デレク・シアンフランス |
出演 | ライアン・ゴズリング、ミシェル・ウィリアムズ、 フェイス・ワディッカ、マーク・ヴォーゲル |
愛についてじっくりと考えたい時に観る映画
今回は本当に深い「愛」の物語です。
「愛」を描いた映画は古今東西、枚挙に暇がないですが、
今作品ほど痛烈に心に響く質感を持った作品も稀では無いでしょうか。
「愛」とは決して綺麗事では済まないものでもあります。
互いに違う価値観を持って生きてきた人間同士が、
「愛」という不安定な乗り物に乗って共に人生の航路を進み出す。
いい時もあれば、当然悪い時もある。
誰にも覚えがある様な切ない気持ちのすれ違いや、
時間経過によって生じる「ズレ」の様なものがもたらす、
「愛」の困難さをこの映画はとてもリアルに描いています。
正直に生きて行こうとするが故に、
気持ちが擦れていってしまったり、未来に希望を感じられなくなったり、
ぶつかり合ってしまったり。
映画は「愛」とは本当に厄介なものであり、
それ故に無くてはならないものでもあるという事を切に描いています。
このどこにでもある様な物語に、
きっとすべての観客が自分を重ねる事でしょう。
永遠の愛とは存在しないのか
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運命的な出会いから、互いの心の傷を理解し合って、
二人は「永遠の愛」を誓って結婚します。
人生とは偶然の連続であり、そこにはどんな可能性も潜んでいて、
些細な選択の違いで大きく方向が変わってしまうものです。
そこに正解というものは存在しません。
どんな選択肢が正しかったのかという結果もありません。
例え「永遠の愛」が人生の途中でついえてしまったとしても、
それは失敗であったという訳では無いのだと思います。
人生の岐路の度に、輝く様な時間を経験した事は失われません。
人は生きている限り、答えのない問題に悩むものですが、
その人生を前に進める力こそが、「愛」なのではないでしょうか。
「愛」とは推進力そのものの事で、
美しいだけではなく、醜いだけでもありません。
この映画の主人公の夫婦、ディーンとシンディも「愛」によって
その人生の帆に風を受けて前に進んできました。
月日が経ち、その「愛」に陰りが見えていたとしても、
人生を進めてきた「愛」の力そのものを否定する事は出来ないのです。
余りに多くの時間と「愛」を費やしてきた事が、
二人の素晴らしい演技によって我々観客にも伝わってきます。
過去と現在のオーバーラップで描かれる作品構成が、
更にその対比を色濃くしていきます。
色褪せてしまった様に見える「愛」ですが、
本当に「永遠の愛」は存在しないのか。
それは人生の様々な場面がフラッシュバックした時に、
どんな景色として心に映るのかという事だと思います。
すれ違ったり、離れ離れになる事はありますが、
過ぎ去った時間の中に刻み込められた「愛」は
失われる事は無いのだと思います。
永遠の食欲
今日のおつまみは【白エビと春菊のかき揚げ】です。
おつまみの新メニューに日々頭を悩ませる妻と、
いつものスーパーで買い物をしている時にふと目に留まった白エビ。
二人同時に「これはかき揚げにしたらきっと旨い」と思いました。
長年の付き合いが以心伝心し、今日のおつまみになっていきます。
春菊の風味と白エビの香ばしさが正にベストマッチでした。
熱々のかき揚げとよく冷えた白ワイン。
長い人生も既に後半戦ですが、
我々の食欲は永遠です。
愛について語るときに我々の語ること
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アメリカの小説家、レイモンド・カーヴァーの有名な短編に
「愛について語るときに我々の語ること」という作品があります。
4人の男女がテーブルを囲み「愛」について語りあう会話劇です。
そこで語られる「愛」はそれぞれの立場や関係性から複雑な形を取り、
その価値観によっても違う受け取り方をされます。
「愛」とは普遍なものでは無く、
あくまで主観によって見え方も感じ方も違うものだと思います。
「愛」そのものは形の無い定義不可能なものですが、
その「愛」がもたらすものはどこまでも実際的だと言えます。
映画【ブルーバレンタイン】はその物語でどこまでもリアルな夫婦の歴史を描き、
そこに定義不可能な「愛」の主観を観る者それぞれに考えさせます。
誰が悪いだとか、何が良くない要素であるとかは、
人それぞれ感想として持つかも知れませんが、
彼等の間に確かに存在した「愛」そのものが、
何物にも代え難い奇跡として観る者の心に深く刻み付けられるが故に、
この映画の切ない余韻は他人事では無くなっていくのです。
愛について語るとき、既に我々には愛が何であるか分かっているとは限りません。
むしろ分からないからこそ語るのでしょう。
愛についてじっくりと考えたい時に観る映画。
映画はハッピーエンドの幻想や希望に満ちた未来がとかくもてはやされます。
しかし現実はとても辛辣ですし、そこに寄り添う作品も必要だと思います。
もしかしたら人によっては理解出来ない、
或いは腹の立つような理不尽さを感じる物語であるかも知れません。
でも今作には「愛」にまみれた人間の姿が克明に描かれています。
目を背けたくなるような感情にも、「愛」によって形作られた歪さがあります。
そこに掛け替えの無い私達の物語があるのだと思います。
ちょっと大人の映画ですが、深い余韻を是非味わってはいかがでしょうか。