SF映画

映画【未来世紀ブラジル】おつまみ【タコライス】

画像引用:IMDb 

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【未来世紀ブラジル】です。

情報管理社会(ディストピア)を描いた、

過激でシュールなSFコメディ映画です。

この映画はこんな人におススメ!!

●一風変わったSF作品を観てみたい人

●同じ様な毎日の繰り返しに嫌気がさす人

●どちらかと言えば、ハミ出て生きていきたい人

●シュールな世界観が好きな人

タイトル未来世紀ブラジル
製作国イギリス
公開日1986年10月10日(日本公開)
上映時間143分
監督テリー・ギリアム
出演ジョナサン・プライス、ロバート・デ・ニーロ、
マイケル・ペイリン、キム・グライスト
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他人の悪夢を覗き見たいと思った時に観る映画

今回は私の一番好きな映画監督の作品をおススメします。

イギリスの伝説的コメディグループ「モンティパイソン」のメンバーでもあり、

「フィッシャー・キング」や「12モンキーズ」などでも有名な監督です。

独特の世界観と美術デザイン性の高い作品群で知られ、

作風はシニカルでブラックジョーク満載の一筋縄では行かない映画ばかりです。

この作品は一応SF映画にカテゴライズされていますが、実際はジャンルの枠に

捉えることが困難な類の映画であるかと思います。

舞台は20世紀のどこかの国。

タイトルの「ブラジル」が何を意味しているのかはよく分かりません。

超管理社会で、人々の暮らしはナチスの様な情報局という組織の統制下にあります。

ジョージ・オーウェルの小説「1984」の様な所謂ディストピアというやつです。

主人公のサムはまるでフランツ・カフカの小説「城」の測量士の様な境遇にいます。

大きな組織の小さな歯車として、規律と抑圧の奴隷としての一生に帰する運命。

しかし、サムは毎夜夢に見る女神の様な女性に恋をし、安寧の道を大きく外れていきます。

ここまでは映画の定石の様に聞こえますが、テリー・ギリアム監督の

意地悪で、天邪鬼な表現者マインドは、どんどん観客を迷宮に誘い込みます。

断っておくのが遅くなりましたが、この監督の作品は決して万人受けはしません。

20世紀の窓から

映画では暗喩的オブジェとして、「ダクト」が象徴的に描かれています。

所謂空調設備の配管に使われる管ですね。

映画の世界では、各家庭や職場の屋根や壁に縦横無尽にダクトが張り巡らされていて、

これが体制の監視の目のメタファになっています。

人々の生活はダクトという物理的なもので中央政府とリンクしていて、

その抑制と管理体制はネット管理社会の予見ともいうべき不気味な描写になっています。

全体主義・共産主義からの大戦・冷戦の流れが20世紀の窓から見える景色だとするのなら、

今世紀の現状は健全であるのでしょうか。

格差と分離が進んだ21世紀にも争いはあります。

未来世紀は常に過去から照らされた光越しに見える景色なのです。

文化の交差点:タコライス

今日はおつまみというか、食事ですね。

沖縄生まれの異文化ミックス料理「タコライス」。

そもそもメキシコ料理の「タコス」の具材をご飯に乗せたものです。

沖縄という複雑な背景を有する土地柄、

文化的混沌というか、一種の融合が起こり易かったのかも知れませんね。

今回のレシピは古代米をミックスして炊いたご飯の上に、

レタスを敷いて、市販のタコスソースで煮込んだ豚挽肉を乗せ、

ミニトマト・チーズ・黒オリーブを散らし、最後に目玉焼きを被せる。

皿の上でそれらをグチャグチャに混ぜて食べると、

正に文化交流的な混沌とした味になります。

政治的、文化的、思想的な対立が悲劇を生んだ20世紀から、

映画や食文化を通じて、グチャグチャの融合を楽しめる21世紀に。

そんな小難しい事を考えながらお酒を飲んでいた訳では無いですが、

こんな映画考察(一応レビュー記事だと思っています)が、

一つくらいあっても良いのかなと思っていたりしています。

夢から覚めない

画像引用:IMDb 

この映画の様な超管理社会とまではいかないにしても、

我々が暮らすこの国も、この社会も基本的には厳粛な管理の元に成り立っています。

毎日の窮屈な生活の中で、夢の中でくらい自由で不条理な物語を享受したいと

願う気持ちを誰も贅沢とは呼べないでしょう。

しかしその夢から覚めない恐怖というのもまた、とても恐ろしい事だと思います。

メタバースではないですが、もう一つの世界が現実のものとなりつつある今。

夢から覚めずに生きていく事は、もしかしたらスタンダードになるのではないでしょうか。

主義という名の元に袂を分かち、対立していた前世代の人達から見れば、

この未来世紀の夢にどっぷりと浸りきった我々の行程のその先に、

悲劇が待っていたりしない様に、当たり前の平和があって欲しいと思ったり。

こんな事考えて映画を観ている時点で、

余りに夢見がち過ぎる中年だなと自責の念を感じたり。

兎にも角にも、大好きなテリー・ギリアム監督が、

とても丁寧に意地悪な映画を作ってくれた事は個人的に最高の幸せです。

ちょっと変わった映画を観たい。または誰かに映画通な一面を誇示したい。

そんな時には是非おススメします、この「未来世紀ブラジル」を。