画像引用:(c)2020 PM AU FILM, LLC AND RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC ALL RIGHTS RESERVED
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【アメリカン・ユートピア】です。
強烈なメッセージと素晴らしいパフォーマンスが詰まった、
奇跡のショーの幕開けです。
この映画はこんな人におススメ!!
●トーキング・ヘッズが好きな人
●舞台劇が好きな人
●一流のミュージシャンの演奏が聴きたい人
●人生で初めての体験をしてみたいと思う人
タイトル | アメリカン・ユートピア |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2021年5月28日(日本公開) |
上映時間 | 107分 |
監督 | スパイク・リー |
出演 | デイヴィット・バーン、クリス・ギアーモ、テンディ・クーンバ、 アンジー・スワン、マウロ・レフォスコ |
血湧き、肉躍りたいと思った時に観る映画
今回の映画はミュージックドキュメンタリーです。
ニューヨークのブロードウェイで公演されたショーを、
「マルコムX」「ブラック・クランズマン」などで有名なスパイク・リー監督が
臨場感たっぷりの迫力ある映像で記録しました。
80年代、先鋭的な音楽で絶大な評価を受けたロックバンド「トーキング・ヘッズ」。
そのフロントマンだったデイヴィット・バーンが歌い、踊り、語り掛ける。
一瞬たりとも目を離す事の出来ない奇跡の様な107分間を味わえるでしょう。
バラエティ豊かな音楽。代名詞のアフリカン・ビートを激しく打ち鳴らす曲があり、
シニカルで意味深な歌詞を散りばめたポップソングあり、ダンスミュージック、ロック、
ジャンルの垣根を軽々と越え、躍動するバーンの歌声はどこまでも伸びやかで力強いです。
音楽の物語性が爆発する
このショーを貫くテーマは何なのか。
見る人によってそれぞれのテーマを感じることでしょう。
人と人との繋がりだったり。世界中で今も続く暴力に対抗しうる音楽の力だったり。
アメリカという国の歪な姿が透けて見えてくるように感じたり。
バーンの書く歌詞は単純な言葉のリフレインが、途方もなく広い世界を描き出します。
そこには所謂ロックバンドに対してイメージする反骨心や、表層的な攻撃性は無く、
静かな思索とひたすらにユーモラスな言葉遊びがあります。
長いキャリアの集大成のようなセットリストが、今この瞬間に生れ出てきたかの様な、
瑞々しさで響き渡る様子は、実に感動的でワクワクします。
バラバラの経緯で作り上げられた楽曲達のはずなのに、通して体感していると、
大きな一つの物語の様相を帯びてきます。
一人のアーティストの体から、そこにいる全ての聴衆の心の導火線に火が点けられ、
物語が爆発していく様を見ていると、その場に居合わせた観客の事が、
心の底から羨ましくなります。
観る事と食べる事
![](https://eigahitotsumami.com/wp-content/uploads/2022/05/IMG20220509181902_BURST000_COVER-1024x768.jpg)
今日のおつまみは「豚キムチ」。
映画とも音楽とも関係は無いですが、超一流のミュージシャンの演奏を聴きながら、
お酒とおつまみなんて最高です。自然とお酒は進んじゃいますよね。
このブログを書き始めてから、夫婦の晩酌にも少なからず変化が起きました。
毎日の食卓に並ぶ、酒の肴が公開される事になったので、
メニューや見栄えも考えていかなけばならない訳です。
映画ともマッチした料理なんかも考えていけたら面白いのですが。
(例えば映画に登場したメニューの再現など)
徐々に新しい試みをしつつ、楽しんで続けていければと思っています。
奇跡の体験
![](https://eigahitotsumami.com/wp-content/uploads/2022/05/cast-1024x492.jpg)
画像引用:(c)2020 PM AU FILM, LLC AND RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC ALL RIGHTS RESERVED
デイヴィット・バーンの書く歌詞には「家」がよく出てきます。
そこは閉ざされた箱であり、帰るべき場所、自分のあるべき姿でもあります。
目を背けたいような事を直視しなければならず、
確信を持って見ていたものが、幻であった事を知る。
表現をしていく上で「家」というモチーフには、
根源的な他者との距離感が暗喩されている様な気がします。
世界中のあらゆる音楽的マテリアルにコミットし、実験を繰り返し、
独自の音楽性を築いてきたデイヴィット・バーンの内なるメッセージには、
他者との関係性において味わい続けてきた敗北感と自己嫌悪が見える様です。
それは時には皮肉として現れ、しかし完全に失うことが出来ない希望に繋がったりします。
映画も音楽も不完全な人間という生き物が作るものです。
だからこそ不完全な我々聴衆の心の隙間に「家」を建て、
「街」を作り、「傷」を癒したり、「希望」を抱かせたりする事が出来るのでしょうね。
私も不完全な人間として不完全な文章を書いています。
そこに僅かばかりの「希望」を感じるからです。
この作品には本当に沢山の気付きがあります。
奇跡の体験は自分の内に起こる爆発でした。