ドキュメンタリー映画

映画【ボーリング・フォー・コロンバイン】おつまみ【ピクルス】

画像引用:IMDb

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【ボーリング・フォー・コロンバイン】です。

突撃取材が代名詞のマイケル・ムーア監督による、

全米激震のドキュメンタリー作品です。

この映画はこんな人におススメ!!

●社会問題に興味がある人

●映画を通して何か考えたい人

●刺激的なドキュメンタリーを探している人

●かつての「電波少年」ファンな人

タイトルボーリング・フォー・コロンバイン
製作国アメリカ
公開日2003年1月25日(日本公開)
上映時間120分
監督マイケル・ムーア
出演マイケル・ムーア、チャールトン・ヘストン、
マリリン・マンソン、マット・ストーン
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問題提起されたいと思った時に観る映画

今回は衝撃的な内容で20年程前に世界中で物議を醸した作品です。

アメリカの銃犯罪の問題に対して、アカデミックな見地からではなく、

あくまで一人の人間の素朴な疑問から発した様な作りで迫っていきます。

その描き方は徹底してシニカルで、ユーモアに富み、難しい問題を描きながらも、

堅苦しくなく観られる様に工夫されています。

飄々としたムーア監督のキャラクターも相まって、(不謹慎であるのかも知れませんが)

楽しみながら、アメリカの抱える闇に向き合う事が出来ます。

1999年のコロンバイン高校銃乱射事件が映画の大きなテーマですが、

アメリカ史を網羅した構成になっていて、

なぜアメリカは他国に比べ銃犯罪が極端に多いのかが作品の主題になっています。

ドキュメンタリー映画というと、嘘の無い真実を描いたものという

イメージを持たれるかと思います。(所謂フィクションに対するノンフィクション)

確かに事実を描く事を前提としていますが、ドキュメンタリー映画にも

制作者の主観があって、素材を取捨択一する創作物であるという事もまた大前提です。

マイケル・ムーアという人物の考え方が、作品に大きな影響を与えている事は

言わずもがなです。

作品とは意図があり、表現したい趣旨があるのが当然で、

ドキュメンタリー映画とは事実をありのまま写す事を目的とした物では無いのです。

むしろ問題提起する力を最大限に発揮する為に、ノンフィクションに材を取った、

フィクションであるという言い方が正しい様な気がします。

それは編集という作業を介する事で、描きたい内容を効果的に再構築し、

監督の主張を効率的に伝える事になるからです。

この映画の稀有な点は、様々な客観的データを丁寧に並べた上で、

監督の主観的描写を徹底的に追及したエンターテインメント作品に到達している所。

そんな見方で、肩肘張らずに入れる作品だと思います。

恐怖を煽る消費社会の闇

映画の最も重要な問題提起は「なぜアメリカには銃犯罪が多いのか」です。

人それぞれに考え方が違うかも知れませんが、私はマイケル・ムーア監督の

着目点からのロジックが非常に的を得ていると感じました。

アメリカの指導階級が歴史的に敵を必要とし、その脅威を謳う事で、

軍備防衛を進めてきた事。

それには利権が絡み大きな財を生む産業になっている事。

排他的な風潮や教育が、他者を疑い、差別を生み、

過剰な自己防衛が銃を使った犯罪の遠因になっているという事。

(遠因というのは、百歩譲った控えめな表現ですが)

生命保険や医療保険の勧誘文句では無いですが、

恐怖や不安を煽る事は、最も簡単で効果的なプロモーションです。

恐怖を刷り込まれたアメリカ国民は自分の家族の安全を守る為に、

武装し、互いに監視の目を光らせるのです。

アメリカという国には「自由」を貴ぶというイメージがあります。

そして二言目には「権利」を主張するきらいがあると思います。

どちらも好ましい物だし、人間の尊厳に関わる大切な物だと思います。

しかしどうもそれが全ての人にもあるという事を忘れがちな人達の様な気がします。

勿論、アメリカ人に限った事ではありませんが、

何かしら怒りに駆られた時に、冷静に考える事の難しさを痛感します。

クールダウン

ここの所、真夏日が続いて食欲も落ちてしまいがちです。

でもそんな時ほど、栄養を摂取して夏バテを防がなければなりません。

今日のおつまみはそんな時にピッタリの【ピクルス】です。

これはミニトマトとパプリカとミョウガです。

市販の「かんたん酢」に漬けるだけで本当に美味しいんです。

勿論お酒のお供にもなります。

難しい社会問題に熱くなった時にも、

甘酸っぱいピクルスは優しくクールダウンしてくれます。

争いの無い世界

画像引用:IMDb

映画公開から20年近く経ち、アメリカ社会はどう変化したでしょうか?

言うまでもありません。

先日のテキサス州での小学校銃乱射事件も記憶に新しいですが、

むしろ悪化の一途を辿り、事態は深刻です。

アメリカ議会はようやく重い腰を上げ、銃規制法を成立させましたが、

それも抜本的な解決とは程遠い内容です。

問題の根は深く、また様々な要因が複雑に絡んでいるので、

解決の道は険しいと言わざるを得ないでしょう。

貧困や差別、イジメが動機になっている事件も多い様です。

狭い世界に閉じ込められてしまったと錯覚した若者達の、

逃げ場が無い事も原因の一つかと思います。

映画には銃で財を成す関連企業や団体に原因の一端があるという論調があります。

それはその通りで間違いの無い事実だとも思います。

しかしそれ以上に危いと感じるのは、

人間は「自由」で「平等」であらねばならないという強迫観念では無いかと思います。

それが自分達に与えられた当然の権利だと思い込んでいる事の危険性を、

誰もが認識せずに他者に対して主張する事。

その他者にも同じ権利があり、それはぶつかってしまう事もあるというのを、

忘れてしまう事。

その行き場の無いジレンマを抱えた若者の手の届く所に、

簡単に人を殺せる道具がある。

物事の本質的な問題からは目を逸らしながら、簡単な解決法しか取らない事。

それを「自分や家族を守る権利」と呼び続ける限り、

アメリカの銃乱射事件は無くならないと考えると、本当に胸が痛みます。