画像引用:© 2011 Columbia Pictures Industries, Inc. and Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【ドラゴンタトゥーの女】です。
2011年公開のアメリカのサスペンス映画。
世界的ベストセラーとなったスティーグ・ラーソンの小説が原作。
監督は1995年の【セブン】や1999年の【ファイト・クラブ】など、
サスペンス映画の演出に定評のあるデヴィッド・フィンチャー。
主演には007シリーズでジェームズ・ボンドを演じたダニエル・クレイグ。
スタイリッシュな映像で原作の持つダークな世界観を見事に演出し、
謎に満ちた物語が強烈に観る者を惹き込んでいく作品になっています!
この映画はこんな人におススメ!!
●スタイリッシュな映像が観たい人
●推理物が好きな人
●強く賢い女が観たい人
●究極のフェミニズム映画を体感したい人
| タイトル | ドラゴンタトゥーの女 |
| 製作国 | アメリカ、スウェーデン、イギリス、ドイツ |
| 公開日 | 2012年2月10日(日本公開) |
| 上映時間 | 158分 |
| 監督 | デヴィッド・フィンチャー |
| 出演 | ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、 クリストファー・プラマー、ロビン・ライト、ステラン・スカルスガルド |
最強ヒロインの活躍を目撃したい時に観る映画
デヴィッド・フィンチャー監督と言えば、
卓越した映像センスで知られていますが、
今作はオープニングのタイトルバックから既に
ミュージックビデオの様なスタイリッシュさで完全に世界観に惹き込んでくれます。
2010年公開の【ソーシャル・ネットワーク】でアカデミー賞作曲賞を受賞した、
トレント・レズナーとアッティカス・ロスの二人が今作でもコンビを組み、
アメリカの人気オルタナティブロックバンド・ヤーヤーヤーズのヴォーカル、
カレン・Oが歌うレッド・ツェッペリンの名曲「移民の歌」は、
映画史上最高のオープニングと絶賛されました。
ヒロインの天才ハッカー、リスベットを演じたルーニー・マーラのファッションも含め、
この映画はヴィジュアル面での特徴が兎角言及されますが、
音楽や編集に於いても他の追随を許さぬクオリティを見せ付けています。
そして今作の最大の魅力は何と言ってもヒロインのキャラクター造形にあります。
背中にドラゴンのタトゥーを入れ、眉毛をそり落とし、
ピアスだらけのパンクファッション。
全身黒づくめのレザーを着て、颯爽とバイクを走らせるリスベットの姿は、
まるでロックスターの様で反骨精神が服を着ている様な存在感。
壮絶な環境に育ち、12歳で精神異常と診断され施設に入り、
後見人の管理下に置かれる謎の調査員というこのキャラクターが、
観る者の目を惹き付けて止まない、ルーニー・マーラのエキセントリックな演技も
相まって、忘れ難い登場人物として強烈に印象に残るのです。
男性優位社会に対する鮮烈なアンチテーゼ。
彼女の活躍こそが現代社会に対する爽快な復讐に映るのです。
復讐の女神

画像引用:© 2011 Columbia Pictures Industries, Inc. and Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.
物語は主人公の雑誌記者ミカエル(ダニエル・クレイグ)が、
裁判に負け失職中に依頼されたある事件の調査を中心に描かれます。
依頼主はスウェーデン有数の大財閥の元会長であるヘンリック。
その内容は40年前に突然失踪した姪のハリエットという名の少女の行方を捜す事。
その過程で調査の助手として嘗て違法ハッキングで自らの素性調査をした
天才ハッカーのリスベット(ルーニー・マーラ)をスカウトするのです。
富豪一族の複雑な人間関係が失踪事件の謎を更に難解にし、
調査を進める内にミカエルは何者かに狙撃される始末。
この危険な仕事の中で次第にミカエルとリスベットの二人は想いを寄せ合う訳ですが、
兎に角展開が早くて描写に無駄も隙も無いので気を引き締めて観ていないと、
あっと言う間に置いて行かれてしまう様なやや難解な作品でもある訳です。
事件の真相に迫っていくサスペンスフルな展開の中に、
主人公の二人の恋愛感情も絡んできて、
連続猟奇殺人事件の衝撃的なシーンもあったりして、
本当に緊張させられっぱなしの映画なのです。
そしてリスベットという人物の反骨精神がまた凄まじい。
何物にも縛られない自由を手にする為には、
他人も自分さえも傷付ける事を厭わない。
目的の為にはどこまでも冷徹に、
誰よりもタフにしがみ付いていく執念を持っているのです。
地位や名誉か金の力でマウントを取ってくる醜い男どもを、
正にこてんこてんに叩きのめす容赦の無い新しいヒロイン像が実に爽快なのです。
性差別に漫然と立ち向かうダークヒロインとしての立ち姿。
今作のタイトルでもあるドラゴンタトゥーの女の活躍の余りの鮮やかさが、
全編を通して暗雲の様に立ち込める暗い雰囲気を
気持ち良い位に吹き飛ばしてくれるのです。
おつまみの最強ヒロイン

今日のおつまみは【厚揚げの柚子味噌焼き】です。
地味だけど癖になる名わき役の食材。
ヘルシーだけどボリューム感もある厚揚げに、
柚子味噌をタップリと塗ってトースターでカリっと焼き上げ、
刻み九条ネギをこれまたたっぷりと。
味噌の香ばしさが日本酒にピッタリ。
簡単で飽きのこないこういったメニューこそが、
最強おつまみの称号に相応しいのでは無いでしょうか。
暗闇の中の純愛

画像引用:© 2011 Columbia Pictures Industries, Inc. and Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.
誰にも屈さず、誰にも媚びない復讐の女神であるリスベットが、
何故ミカエルにだけは心を許し惹かれたのか。
彼女はミカエルと実際に出会う前に、
大富豪ヘンリックの依頼でミカエルの素性を徹底的に調べ上げています。
パソコンをハッキングまでし、
あなた以上にあなたの事を知っていると豪語するまでに見知ったミカエルという男が、
リスベットにとっては生まれて初めて信用を置ける異性だったのでは無いでしょうか。
ミカエルは経済紙「ミレニアム」で主筆記者として、
大物実業家の汚職事件を記事にして逆に名誉棄損で訴えられ敗訴してしまいます。
職も財も社会的信用も失ったミカエルは、
それでも自身の信念を曲げずに戦い続けようとするファイターでもありました。
実直な性格で直観力に優れ、記者としても一流であったようです。
リスベットはハリエット失踪事件の謎を共に追う中で、
ミカエルの能力と人間性を瞬時に見抜き、
自分を必要とする他人の存在に生き甲斐を感じる様になっていくのです。
虐げられ、騙され、踏み躙られ続けてきた暗い半生の果てに、
誰かに必要とされる事に幼い子供の様な喜びを見出していくリスベットの姿には、
ミカエルに対する不器用過ぎる純愛が次第に芽生えていくのです。
邪魔者には容赦の無い鉄槌を下すダークヒロインの一面と、
鉄面皮の下にはにかむ少女の素顔を隠し持つギャップとが、
このリスベットというキャラクターをより味わい深くしている要因なのです。
事件はやがて富豪一族の余りに苛烈な暗部に深入りしていくのですが、
身の危険を顧みずに想いを寄せるミカエルの為に戦うリスベットの逞しさは、
映画史上稀に見るカッコ良さがあります。
全てに於いてハイスペックなリスベットに唯一欠けていた、
愛の力が加わった今となっては、
正に史上最強ヒロインの爆誕という次第なのです。
最強ヒロインの活躍を目撃したい時に観る映画。
その出自の為に孤独な生活を余儀なくされていたリスベット。
男性に虐げられた復讐心と己の修練によって、
社会の暗部でその才を駆使していた彼女ですが、
誰かの為に戦う事で変化した心情によって、
想いを寄せたミカエルにプレゼントと手紙を持って訪れるラストシーンは
実に切なくて印象に残ります。
共に生きる事は叶いませんでしたが、
シリーズの続編でまたこのコンビが観られたと期待したのですが、
今の所はそれも叶っていません。
しかし何が起きるか分からないのが映画の世界ですから、
希望は失わずにそれまではこのサスペンスの傑作を反芻する事をお勧め致します。



