画像引用:IMDb
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【グリーンブック】です。
黒人ピアニストのツアードライバーとなったイタリア系の伊達男。
激しい人種差別が残る60年代のアメリカ南部を旅する2人の男の友情の物語。
主演の2人の素晴らしい演技と洗練された脚本が見事な作品です。
この映画はこんな人におススメ!!
●60年代のアメリカ文化を感じたい人
●人種差別について考えたい人
●旅する映画が観たい人
●男の友情の物語が観たい人
タイトル | グリーンブック |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2019年3月1日(日本公開) |
上映時間 | 130分 |
監督 | ピーター・ファレリー |
出演 | ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、 リンダ・カーデリーニ、 |
自分を変える出会いに憧れた時に観る映画
今回は所謂人種差別をモチーフにした作品です。
60年代のアメリカでは、南部を中心にまだ根深い人種差別が強く残っていました。
特に上流階級の白人達の社会にとって、
黒人は同じホテルやレストランを使用する事は出来ず、トイレさえ分かれていました。
俗に「ジム=クロウ法」と呼ばれたアメリカ南部の州法。
公然と差別が正当化、常習化されていた現実に衝撃を受けます。
映画の主人公、ヴィゴ・モーテンセンが演じるイタリア系アメリカ人のトニーも、
日常的に差別的な言動を取る人物。
ニューヨークのクラブで用心棒として働く彼は、マフィアとも関係の深い
腕っぷしで世間を渡ってきたタイプのタフガイです。
無骨で横柄な態度の、太々しいキャラクターである彼が、
マハーシャラ・アリが演じる有名黒人ピアニストの
ドン・シャーリーのツアー運転手になります。
それまで自分の価値観の中でのみ生きて来たトニーが、
ドンと接する内に次第に変化していく過程と、
2人の友情を描いた感動のヒューマンドラマになっています。
差別は人種間のみにあらず
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画像引用:IMDb
この作品では人種間の差別のみならず、
あらゆる分断と対立が描かれています。
都会と地方。富裕層と貧困層。男と女。そして白人と有色人種。
差別は環境や習慣の中で正当化され、常識として凝り固まっています。
互いの違いの本質が何であるのか?
それがどんな軋轢を生み出しているのか?
差別が当たり前の社会に生きていると、
そんな疑問すら沸いて来ない異常が常態化してしまいます。
主人公のトニーはドンとのツアーで、
都会を離れ、北部から南部に移動し、自分の常識から外に出てみて初めて、
事の異常さと素朴な疑問にぶち当たります。
高名なピアニストとして尊敬され、社会的地位もありながら、
黒人であるという1点のみでトイレさえ使用出来ない。
レストランに入る事も、ホテルに泊まる事も出来ない。
そしてその事に声を荒げたりたりしないドンの態度に、
トニーはそれまで感じて来なかった違和感を持つようになるのです。
あらゆる所に差別と対立はあり、自分もそれに組し助長していた事。
狭い価値観の中で、都合の良い優越感に浸っていた事。
そんな自分を含めた世界の有り方に怒りを覚える様になっていくのです。
人は育った環境の中で、強固な価値観に縛られて生きていきます。
そこから抜け出すには、自分の世界を外から見る事。
それを自分の考えで判断する事が大切なのだろうと思います。
トニーが図らずもドンとの旅で見た社会の歪。
それが1人の人間を深く理解し、新たな友情を築く第一歩になっていくのです。
夏の滋養メニュー
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今日のおつまみは【ゴーヤと叉焼炒め】です。
夏バテ対策に滋養たっぷりのゴーヤがおススメです。
ゴーヤの苦味と、叉焼の甘味を、
たっぷりの大葉が爽やかにバランスを取ってくれています。
味付けはシンプルに塩・胡椒と麵つゆ。
ボリュームもあって満足感あるメニューです。
やっぱり夏はゴーヤですね。
社会を捨て、ただ一人の人間として生きる事
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画像引用:IMDb
映画のもう一人の主人公・ピアニストのドン・シャーリーも、
トニーとの旅によって自分を変化させていきます。
裕福な環境で育ち、上等な教育を受け、才能を高く評価され、特別階級の暮らしをする。
黒人でありながら、その黒人社会にも入れず、白人社会からは差別され、
同性愛者としての孤独も抱えるドンは、自分の感情に蓋をする事で
均衡を保って来た様な人物でした。
そんな彼が何故あえて差別の激しい南部でのツアーを企画したのか?
そして何故自分とは真逆の性格を持った無骨なイタリア系の運転手を雇ったのか?
それはドン自身が変わりたいという渇望を抱えていたからに他なりません。
ホワイトハウスでの演奏経験もある自分の演奏家としての評価では無く、
1人の人間として自分の尊厳に立ち返りたいという欲求だったのでは無いでしょうか?
真逆の性質の2人は当然ぶつかり合い、理解し合う事は困難を極めます。
しかし旅が続く中で、互いの違いを認めそれを補完し合う事で心を通わせます。
2人が車の中で南部を代表する黒人伝統料理のフライドチキンを貪り食べるシーンは、
シンプルで痛快な構図を持った、胸空く様なユーモアとして忘れ難い場面です。
差別とはそもそも互いの違いの認識のリアクションの1つ。
それが最も醜い形で表現されたものだと思います。
この映画で主人公の2人が、
そのリアクションを美しい形で表現する事を可能にしたのは、
社会を離れ互いが1人の人間として接し合ったからなのだと思います。
みんな違う同じ人間。
自分を変える出会いに憧れた時に観る映画。
この作品は第91回アカデミー賞の作品賞を受賞しました。
多様性が叫ばれる現代で、一見そのテーマにピッタリの作品だったのかも知れません。
全く違うキャラクター同士が巻き起こす物語は映画の伝統ジャンルでもあります。
主演の2人素晴らしい演技も必見の作品です。
自分を変えたいとちらっとでも思う人は、
この作品で他人と向き合う事の大切さに触れるのも良いかも知れません。