画像引用:IMDb
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【リコリス・ピザ】です。
鬼才ポール・トーマス・アンダーソン監督の青春恋愛映画。
70年代のファッションやカルチャーにどっぷりと浸り、
突き抜けた爽快感が癖になる作品です。
この映画はこんな人におススメ!!
●ポール・トーマス・アンダーソン監督のファン
●70年代のファッションに興味がある人
●青春時代が懐かしい人
●運命の出会いを信じる人
タイトル | リコリス・ピザ |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2022年7月1日(日本公開) |
上映時間 | 133分 |
監督 | ポール・トーマス・アンダーソン |
出演 | アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、 ショーン・ペン、トム・ウェイツ、 ブラッドリー・クーパー |
運命の恋に突っ走りたくなった時に観る映画
今回の作品は青春映画の新たな金字塔です。
まるで世界は自分達を中心に回っているとでも言うかの様な無敵感。
若く、真っすぐ過ぎる危い姿が、何とも言えずに胸を打つ作品です。
物語は高校生の男の子ゲイリーと、10歳年上の女性アラナが
偶然出会うシーンから始まります。
ゲイリーがアラナに一方的に憧れてしまう初々しい様子が実に生き生きと描かれています。
アラナは年下の少年からの好意に嬉しさを感じつつも、
半信半疑で戸惑ってしまいます。
中々素直になれずにすれ違う二人がまた歯痒くも眩しい。
この青春映画のド直球に、ポール・トーマス・アンダーソン(以下PTA)監督特有の
変化球を織り交ぜた配球が実に見事に惹き付けてくれます。
ハリウッド映画への愛と皮肉。
70年代への望郷の念。
運命の恋路を彩る超個性的キャラクター達の暴走など、
目を離せない強烈な展開力。
現代最高の映画監督の一人、PTAの待望の新作は
その期待の遥か上を行く出来栄えで応えてくれました。
これだから映画ファンはやめられません。
青春は逃避行
70年代のアメリカはベトナム戦争の敗北と景気低迷。
先の60年代の政治的なムーブンメントは急速に白けていき、
個人的なカルチャーによりコミットしていく時代でした。
主人公のゲイリーは子役出身の俳優。
幼少期から偽善的なショービズ界にいた為にややシニカルな性格。
自分を取り巻く世界を窮屈に感じ、広い世界へ飛び出したい衝動を抱えています。
対するアラナも同じように自分の境遇に不満を持っていました。
敬虔なユダヤ教徒である家族への不満。
地味な仕事への不満。
ボンヤリとした未来への不安。
そんな二人が出会い、互いに共鳴し、
すれ違いながらも強く結ばれていく姿には、
自分を取り巻く世界からの逃避行というスリルへの
共犯者としてのシンパシーもあったのではないかと思います。
一人では出来ない大それた事も、
二人なら出来てしまう。
それ故に虚勢を張って失敗する事にもなるのですが、
それすら世界の中心では楽しめてしまう。
正に青春映画、少女漫画の世界観なのです。
若い二人が後先考えずに突っ走る様は、本当に美しいです。
そんな風に映画を遠い目で見る歳に自分もなったんだなぁとふと思います。
我が家のピザ
今日のおつまみはやっぱり【ピザ】です。
我が家のピザは市販のチルドピザにソース・チーズ・具材をマシマシ。
今日はソーセージと黒オリーブ、ピーマンとパプリカをトッピング。
どんなお酒にも合う鉄板メニューです。
因みに今日の映画【リコリス・ピザ】にはピザは出てきません。
リコリス・ピザとはレコードストアの名前だそうです。
映画愛に溢れた傑作
画像引用:IMDb
この作品はPTAの映画愛が全開に感じられる映画です。
青春映画【初体験/リッジモント・ハイ】や【アメリカン・グラフィティ】へのオマージュ。
全編フィルム撮影にこだわった粗い粒子の映像も懐かしさを増長します。
特に夜の街のシーンの光の質感が堪りません。
それと抜群のセンスで選曲されたスコアも素晴らしい。
音楽はレディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドが担当。
シーンの味わいを最大限に引き出す音楽の力をこれでもかと味わえる作品です。
主人公のゲイリーを演じて見事なデビューを飾ったのは、
PTA作品の常連俳優で2014年に亡くなった、
フィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマン。
大胆にして繊細なゲイリーを見事に実在的に演じてみせました。
この配役にもPTAの映画愛。
映画仲間に対するリスペクトを強く感じたりします。
閉塞感に満ちていた70年代のアメリカ社会から、
全速力で抜け出す様に疾走するゲイリーとアラナ。
決して明るいだけの未来では無いかも知れませんが、
無様なままに、不器用に、互いを信じる二人の姿は実に美しかったです。
運命の恋に突っ走りたくなった時に観る映画。
またしても最高傑作を更新してくれた我らが天才監督PTA。
こういう映画こそ何度も見返したい作品だと思います。