画像引用:IMDb
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【V フォー・ヴェンデッタ】です。
社会風刺に富んだサスペンスアクション映画。
独特の世界観と映像が強烈な印象を残す、
一筋縄では行かない個性派作品です。
この映画はこんな人におススメ!!
●アナーキー気質な人
●ダークヒーローが好きな人
●ちょっと変わった物語を求めている人
●自分の意思を尊重したいと思う人
タイトル | V フォー・ヴェンデッタ |
製作国 | アメリカ、イギリス、ドイツ |
公開日 | 2006年4月29日(日本公開) |
上映時間 | 132分 |
監督 | ジェームズ・マクティーグ |
出演 | ナタリー・ポートマン、ヒューゴ・ウィーヴィング、 スティーヴン・レイ、ジョン・ハート |
自分のアイデンティティを見失った時に観る映画
今回の映画も観る人を選ぶ作品かも知れません。
それは賛否両論の避けられないテーマであると言えるからです。
この作品には過激なテロリズムによる民衆発起が描かれています。
舞台は第三次世界大戦後のイングランド。
独裁政権による全体主義的な圧制が敷かれた架空の設定になっています。
ジョージ・オーウェルが1949年に発表した小説「1984」の様な世界観です。
分断統治の果てに国家に飼い慣らされた民衆は、
超管理社会の中で、徹底的な監視下に置かれています。
映画の中で度々繰り返される独裁者アダム・サトラーのTV演説シーンは、
小説「1984」の中で象徴的に描かれていた
「ビック・ブラザー」の「テレスクリーン」を彷彿とさせます。
誇張された表現に映るかもしれませんが、
右寄りの愛国心が大きな力によって既成の論調として増長していけば、
こんな世の中になっても不思議は無いのかも知れません。
TVや新聞、インターネットの情報が、偏った操作を施したとして、
私達がそこに疑問を持ち続けられるかは甚だ疑問です。
情報とは本当に強い力も持っているので、
我々のアイデンティティは常に不安定な皿の上に置かれていると言えます。
この映画ではイギリスの実在の革命家「ガイ・フォークス」の面を被った、
ダークヒーローが暗躍します。
派手なアクションや映像を楽しみながら、
国家や自由や自分のアイデンティティに対する思考に誘導される、
中々に骨太で風変りな映画であると思います。
民衆の脅威
映画は時代を映す鏡でもあります。
目まぐるしい変化を続ける現代社会において、
現実をそのままに切り取るドキュメンタリーと、
作家の考えをフィクションの形で表現する劇映画とは、
双璧をなす一卵性双生児の様なものなのかも知れません。
ナチスの台頭に対するチャールズ・チャップリンの「独裁者」。
ロシア革命の指導者レーニンを描いたセルゲイ・エイゼンシュタインの「10月」。
スペインにおけるフランコ独裁政権に対するビクトル・エリセの「ミツバチのささやき」。
映画作家は時には命懸けで社会に対するメッセージを発信してきました。
民衆にとって戦争の暴力と同じくらいに脅威であると言えるのが思想統制だと思います。
考える事を奪われ、或いは禁じられそれに慣らされていく事。
時の作家達も一人の人間ですので、それぞれ右に寄ったり左に寄ったりはしますが、
共通したメッセージとして、自分の思考を持つ事の重要さを説いているのだと思います。
情報に踊らされるのではなく、
多方になびくのではなく、
自分の自由な考えを持って行動する事の重要性。
それを奪おうとする者との戦いを描いているのが、
先に上げた名画達であり、今回の「Vフォー・ヴェンデッタ」という作品なのです。
この映画のダークヒーロー「V」は暴力的な革命家でもあります。
また彼の革命は個人的な復讐の為の行動でもあります。
見方に寄っては社会を著しく乱す犯罪者。
かたや独裁者に立ち向かう民衆のヒーローでもある。
物事に対して、自分の判断でどう捉えるかという事が試されている様です。
それが何を意味し何をもたらしたのかは、時を経て初めて分かる事なのかも知れません。
ヒーローは私達が作り出すのです。
おつまみ革命
今日のおつまみは【豚の角煮】です。
私の大好物です。
実はこの角煮は3回戦目で、継ぎ足し継ぎ足しで味が深まってきた
タレで煮込まれています。
特に今回の角煮は丁寧に時間を掛けて下茹でされていて、
プルップルの食感で絶品でした。
おつまみにも静かな革命が起こっています。
映画の多様性
画像引用:IMDb
色々と小難しい考察を書いてはきましたが、
この映画は単純にカッコいいアクションを堪能できる
エンターテイメント作品でもあります。
撮影や美術もこだわった作りで、その映像世界は目を見張るものがあります。
映画は様々な要素が集約して完結する総合芸術でもあります。
テーマやメッセージに兎角目が行きがちですが、
それを表現する為の技術やアイディアに制作者達は日々心血を注いでいるのです。
長い映画の歴史を見てみても、その多様性の広がりは凄いものがあります。
映画は更に自由に、無限の可能性を持って進化していく事でしょう。
どんな世の中が理想なのかは人ぞれぞれ考えが違うかも知れませんが、
その一つ一つが圧し潰される事の無い、
多様性を認め合える社会であって欲しいと願います。
自分のアイデンティティを見失った時に観る映画。
善悪の基準は時の風潮に左右され、
歴史の判断はくつがえります。
何に対しても自分の意思で評価する。
その自由を奪われない為に、映画には果たす役割があったりします。
一つのキッカケとして、ちょっと変わった映画に対する、
ちょっと変わった考察があってもいいかななんて思いつつ、
今回はこの「Vフォー・ヴェンデッタ」おススメ致します。